刻印が「緑色」のナルミは、実はボーンチャイナ時代より前の希少品で、フリマで数百円で売られていることがあります。
「オールドナルミ」という言葉は、コレクターやアンティーク好きの間で自然発生的に使われるようになった呼び方で、鳴海製陶が製造した旧い時代のナルミ食器を指します。明確な定義はありませんが、一般的にはボーンチャイナへ全面移行した1972年(昭和47年)以前の製品、あるいは旧式のバックスタンプ(裏印・刻印)が押された製品を指すことが多いです。
鳴海製陶株式会社は、1946年(昭和21年)に愛知県名古屋市緑区鳴海町で「扶桑金属工業の鳴海製陶所」として産声を上げました。戦後の復興期に洋食器の製造を始め、1947年にはすでにニューヨークへの輸出を開始しています。当時の食器は全て手絵付けで製造されており、量は少ないものの品質は高いものでした。その後1950年に独立して「鳴海製陶株式会社」となり、1965年に日本初のボーンチャイナ量産化という快挙を達成。1972年には全ての洋食器生産をボーンチャイナに切り替えました。
つまりが大まかな整理です。「オールドナルミ」と呼ばれる品物の多くは、創業から1972年頃までの間に作られた硬質磁器(通常の磁器)製の食器ということになります。
バックスタンプとは、食器の底面(高台の内側)に印字されたブランドマークのことです。陶磁器業界では「裏印」「刻印」とも呼ばれ、ナルミの場合は「NARUMI」のブランドロゴや「NARUMI SEITO K.K.」「MADE IN JAPAN」などの文字が組み合わされています。このバックスタンプを見ることで、真贋判定や大まかな製造時期の判断ができます。これが基本です。
ナルミのバックスタンプには複数の種類があり、時代によってデザイン・色・文字が変化しました。ただし、ノリタケのように「この刻印は〇年〜〇年製造」と明確に年代が公式発表されているわけではなく、コレクターが実物を元に推測・分類しているのが現状です。刻印の詳細な年代対応表は存在しないと考えておくのが正直なところです。
鳴海製陶株式会社の公式社史(Wikipedia):創業から現在までの詳細な歴史年表が確認できます
オールドナルミの刻印は、大きく分けると「文字の内容」「色」「デザインの形状」という3つの要素で分類できます。オークションや中古市場でも、この3つを確認することが価値判断の第一歩になります。
まず文字内容の変遷について見ていきましょう。最も古い時代の刻印には「NARUMI SEITO K.K.」という文字が使われています。これは「NARUMI SEITO(鳴海製陶)K.K.(株式会社)」を意味し、現在の社名表記「Narumi Corporation」に変更される前の、より古いスタイルです。オークファンなどフリマ・オークションサイトでも「NARUMI SEITO K.K. 刻印」として出品されている食器が散見されます。これは古い証拠です。
次に、「NARUMI CHINA」という刻印の食器も存在します。これは磁器(china)であることを示すもので、ボーンチャイナに移行する前の硬質磁器製品に多く見られます。ボーンチャイナに移行してからは「NARUMI BONE China」または「NARUMI FINE China」という表記が主流となりました。「BONE China」「FINE China」いずれも製品の品質・素材を表すもので、「China(中国製)」という意味ではありません。公式FAQでも明記されている重要な点なので覚えておくと便利です。
刻印の色についても年代の目安になる要素です。オークション出品物の説明文には「刻印/緑」という記載が頻繁に登場します。緑色のバックスタンプはボーンチャイナへの全面切り替え以前の、比較的古いロットに見られる特徴のひとつとされています。一方、現行のナルミ製品に使われているバックスタンプは金色のものが多く、旧来の緑・黒といった色の刻印は「古いナルミの証」として注目されています。
| 刻印の特徴 | 推定時期・特徴 |
|---|---|
| NARUMI SEITO K.K.(緑・黒) | 昭和20〜40年代前後の初期ロット |
| NARUMI CHINA(黒・緑) | ボーンチャイナ移行前の磁器製品 |
| NARUMI BONE China(金・黒) | 1965年以降のボーンチャイナ製品 |
| NARUMI FINE China(金) | 現行〜比較的新しいロット |
また、フェニックス(鳳凰)マークが入った刻印も存在します。オークション情報でも「オールドナルミ ハンドペインティングプレート 鳳凰マーク」という出品が確認されており、これはハンドペイント(手描き絵付け)製品に使われた特別なスタンプと見られています。手描き品は職人が1枚1枚絵付けを行うため、完全な量産品とは異なる希少性があります。
オールドナルミの刻印から年代を読み解く際には、いくつかの確認ポイントがあります。ただし前提として、ナルミはノリタケと違い「バックスタンプの年代対応表」を公式に公開していません。買取業者のFAQにも「バックスタンプからナルミ食器の年代を特定するのは難しい」と明記されているほどです。これは重要な前提です。
その上で、コレクターが参考にする判断材料を紹介します。
① 「NARUMI SEITO K.K.」の有無
「K.K.」は株式会社を意味する旧式の表記で、鳴海製陶の独立初期(1950〜1960年代)に多く使われていたとされます。現行品にはこの文字は入っていないため、「NARUMI SEITO K.K.」の刻印があれば昭和中期以前のものである可能性が高まります。
② 「MADE IN OCCUPIED JAPAN」の有無
これは非常に重要な見分けポイントです。日本が連合国の占領下に置かれていた1945〜1952年の間に輸出された食器には、「MADE IN OCCUPIED JAPAN」という刻印が入ることがありました。この刻印がある食器は製造年代が確定でき、海外でも高い収集価値が認められています。ナルミの場合も初期輸出品にこの刻印が入っている可能性があります。
③ 「BONE China」の有無
1965年以降のボーンチャイナ量産化成功後の製品には「BONE China」の表記が入ります。逆にこの表記がない磁器製品は、1965年以前もしくは移行期の製品と考えられます。ボーンチャイナへの全面移行は1972年なので、1965〜1972年の間は磁器とボーンチャイナが混在していた時期です。
④ 刻印の印字方法
古い食器は刻印がハンコで手押しされているため、若干のにじみや位置のズレが見られることがあります。現代の印刷転写技術が使われた食器と比べると、手押し刻印はレトロな風合いがあります。均一でない印字は古いものの証と言えます。
⑤ 絵付けの質感
オールドナルミの食器は手絵付け(ハンドペイント)や転写技術の初期段階のものが多く、現代の精巧なプリントとは異なる温かみのある絵柄が特徴です。手書きの場合はペインターのサインが入っていることもあり、そのような品は特に希少価値があります。
なお、刻印の「緑色」「黒色」の違いに関しては、同じ時代でもシリーズや製品ラインによって使い分けられていた可能性があるため、色だけで年代を断定するのは避けた方が無難です。色は参考程度に捉えておくのが原則です。
高く売れるドットコム・ナルミ買取ページ:バックスタンプによる真贋判定や査定ポイントが詳しく解説されています
オールドナルミの買取・流通相場を見てみると、刻印の種類と品物の状態によって大きく価格差があることがわかります。
オークファンのデータでは「オールド ナルミ」の直近30日の平均落札価格は約4,500円程度とされています。ただしこれは平均であり、個別の品物によって差は大きく、ごく安いものだと1枚数百円から、状態・希少性の高いものは数万円に達することもあります。
特に注目なのがビンテージのティーセットです。「NARUMI ナルミ オールドミラノシリーズ ティーセット(カップ&ソーサー・ティーポット・シュガーポット・クリーマーセット)」は55,000円という高値がつくケースも確認されています。カップ&ソーサーの単品とは比較にならない価格差です。これは使えそうです。
価値を左右する主な要素をまとめると以下の通りです。
- 旧刻印の種類:「NARUMI SEITO K.K.」など初期のバックスタンプが残っていること
- セット枚数:単品よりも5客セット・ディナーセットなど揃いのものが高価
- 手描きかどうか:ハンドペイント(ペインターサイン入り)は希少性が高い
- 状態:欠け・割れ・金彩の剥がれがないこと
- 箱・付属品:オリジナル箱つきは査定額アップ
- デザインの独自性:鳳凰マーク入り・昭和レトロ柄など珍しい絵柄
買取業者の参考価格として、ミラノシリーズのコーヒーカップ&ソーサー(現行品含む)が3,000円前後、ミラノプレート6枚セットが2,000円前後というデータがあります。オールドナルミの旧刻印品はこれより高くなる傾向がありますが、残念ながらナルミ全体の買取相場は1,000〜5,000円程度が一般的で、マイセンやウェッジウッドほどの高価格帯にはなりにくいのが現実です。厳しいところですね。
ただし、コンディションが完璧で旧刻印が確認できる未使用品・希少デザインの食器に関しては、専門知識を持つ査定員のいる買取店やオークションに出すことで、相場を大きく上回る額がつくこともあります。「古いから価値がない」と思って捨ててしまうのは非常にもったいない行為です。手元に旧刻印のナルミ食器がある場合は、まず無料査定に出してみることをおすすめします。
オークファン・オールドナルミ価格相場ページ:直近の落札価格や価格推移が確認できます
オールドナルミを単なる「古い食器」として捉えるのではなく、刻印を軸にしたコレクションという視点を持つと、食器の楽しみ方が格段に広がります。これは使えます。
まず「刻印違い集め」という方法があります。同じミラノシリーズ・同じシルキーホワイトシリーズでも、製造年代によって刻印のデザイン・色・文字が異なります。同じ皿でも刻印だけ異なるセットを揃えるのは、上級コレクターならではの楽しみです。メルカリやYahoo!オークションで「旧刻印」「旧バックスタンプ」「NARUMI SEITO」といったキーワードで検索すると、通常の検索では出てこないレアな出品に出会えることがあります。
次に「ハンドペイント品の発掘」も魅力的なテーマです。オールドナルミの時代には、職人が手描きで絵付けを行う製品が存在しました。ペインターのサインが入った品は、大量生産品とは全く異なる一点もの的な価値があります。鳳凰マークの入ったハンドペイントプレートがオークションで8,000円前後で取引されていることからも、その価値の高さが伺えます。
また、ナルミが1968年に製品を納入した事例として「ティファニー(ニューヨークの高級宝飾店)」が挙げられています。つまりオールドナルミの中には、かつてティファニーの棚に並んでいた時代と同じ技術・品質で作られた食器が含まれているかもしれません。これは非常にロマンのある話ですね。
実際に使って楽しむ、というアプローチも見逃せません。オールドナルミはあくまでも生活食器として作られたものです。コレクターが「使えないお宝」として飾るだけでなく、昭和の時代のマダムたちが実際にカレーを盛り、紅茶を注いでいた食器として日常使いする楽しみ方も、オールドナルミならではの魅力と言えます。
コレクションをより充実させたい方には、フリマアプリの「メルカリ」やオークションサービスの「Yahoo!オークション」が活用しやすい場です。「ナルミ 旧刻印」「オールドナルミ SEITO」「昭和レトロ ナルミ」などのキーワードを組み合わせることで、一般的な検索では埋もれてしまう希少な品物を発見できる確率が上がります。アプリで気軽に検索してみてください。
メルカリ・ナルミ旧刻印検索ページ:現在流通している旧刻印ナルミの相場感や出品状況が一覧で確認できます
実際に手元の食器がオールドナルミかどうかを確認する際、どのような手順で見ていけばよいのかをまとめます。具体的な流れを知っておけば、フリマや骨董市で食器を手に取ったときにすぐ判断できるので便利です。
ステップ1:食器の底面を確認する
まず食器を裏返し、底面(高台の内側)を見てください。バックスタンプが印字されているはずです。印字がない場合やシールだけの場合は、ナルミの食器ではない可能性があります。なお、バックスタンプが薄くなっていたり、一部消えかかっていても、それ自体は古さの証拠となります。
ステップ2:「NARUMI」の文字を確認する
バックスタンプの中に「NARUMI」の文字が含まれているかを確認します。「NARUMI SEITO」「NARUMI CHINA」「NARUMI BONE China」など、文字の構成を確認します。偽物の場合はフォントやロゴの形が微妙に異なることが多いため、本物のバックスタンプの画像と見比べるのが有効です。
ステップ3:色と形状を記録する
刻印の色(緑・黒・金など)、文字の種類(「SEITO K.K.」「BONE China」など)、デザイン(鳳凰マーク・社章ロゴなど)を記録またはスマートフォンで撮影しておきます。メルカリやオークションで同じ刻印の出品物を検索することで、大まかな年代と相場を把握できます。
ステップ4:絵柄や金彩の状態を確認する
刻印だけでなく、絵付けの状態も価値に影響します。金彩(金色の縁取りや装飾)が残っているか、絵柄に褪色がないかも確認します。絵付けのタッチが均一でない場合はハンドペイントの可能性があります。
ステップ5:セットで揃っているか確認する
バラ売りの1枚よりも、5客セット・10客セットで揃っている方が圧倒的に価値が高くなります。カップ・ソーサー・ポット・クリーマーが揃ったティーセットは特に需要が高く、買取・売却時の価格に大きな差が生まれます。セットで揃えることが条件です。
もし「これはオールドナルミかもしれない」と感じたら、捨てる前にまず専門の買取業者に無料査定を依頼することを強くおすすめします。1枚数百円に見える食器でも、刻印の希少性・絵柄・状態が揃えば思わぬ高値になることがあります。判断は専門家に委ねるのが最も安全な方法です。
日晃堂コラム・ナルミ食器とは:ナルミの歴史やシリーズ、買取に関する基礎知識がわかりやすくまとめられています

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