1つのアプリだけで売ると、サービス終了で売上がゼロになります。
陶器の手作り品を販売アプリで売り始めるとき、多くの方が最初に迷うのが「どのプラットフォームを選べばいいか」という点です。代表的なのは、minne(ミンネ)・Creema(クリーマ)・iichi(イイチ)の3つで、それぞれユーザー層も売れやすい価格帯も異なります。
minneはGMOペパボ株式会社が運営する国内最大規模のハンドメイドマーケットで、アプリのダウンロード数は1,546万件以上を誇ります。ユーザーの中心は20〜30代の女性で、3,000〜4,000円前後の比較的手頃な価格帯の作品が売れやすい傾向にあります。陶器の豆皿やミニカップなど、日常使いできる小物と相性が良いプラットフォームです。
Creemaは1,200万件超のアプリダウンロード数を持ち、2023年度の注文単価が平均5,480円とminna(約3,921円)より高めです。つまり高価格帯が許容されやすい土壌があります。20〜40代の女性が中心ですが、質やデザインを重視するユーザーが多く、手ろくろで丁寧に仕上げた陶器や釉薬にこだわった一点モノなどが評価されやすいです。
iichiは成約手数料が20%とやや高めですが、「ここでしか手に入らない品質の高いもの」を求めるユーザーが集まるプラットフォームです。陶芸・木工・ガラスなどクラフト性の高い作品に特化したカテゴリも充実しており、伝統的な技法を活かした陶器や、10,000円を超える高単価作品でも購買意欲の高いユーザーに届けやすい環境があります。まとめ買いをするユーザーが多く、1名のお客様から5万円以上の購入が入るケースも報告されています。
| アプリ名 | 手数料 | 初期費用 | ユーザー層 | 陶器との相性 |
|---|---|---|---|---|
| minne | 約10.66%(税込) | 0円 | 20〜30代・女性中心 | 小物・日用使い向け |
| Creema | 約10.67%(税込) | 0円 | 20〜40代・品質重視 | こだわり・中〜高価格帯向け |
| iichi | 20%(税込) | 0円 | クラフト好き・工芸愛好家 | 高価格・一点モノ向け |
陶器作品の価格帯や方向性によって最適なプラットフォームは変わります。まずはminnとCreemaを併用して始めるのが基本です。高単価ブランド路線を目指すならCreema+iichiの組み合わせも有効です。
参考リンク:minne・Creema・iichiの手数料・ユーザーデータ・利益シミュレーションを詳細に比較した記事です。
【2026年最新版】売れるのはどこ?minne・Creema・iichiを比較 - ハンドメイド日和
多くの初心者が陥るのが「材料費だけで価格を決めてしまう」というミスです。これをやると、手数料・送料・梱包材費・制作時間を考慮したとき、実質的な時給が最低賃金を下回るケースが頻発します。
ハンドメイドの価格設定の基本として、原価率30%が目安とされています。つまり、材料費が1,000円であれば、販売価格は1,000円 ÷ 0.3 ≒ 3,333円が適正ラインです。
さらに、minneやCreemaを使う場合は送料にも手数料がかかるという点が盲点になりやすいです。たとえば5,000円の作品にゆうパック(700円)で送料無料設定をした場合、(5,000円+700円)× 10.66% ≒ 609円が手数料として引かれます。送料を作家負担にしていると、この手数料が二重に意識されない形で利益を削っていきます。
陶器は他のハンドメイド品と比べて梱包コストが高いという特徴もあります。プチプチ(エアーキャップ)・ダンボール・紙パッキンなど、割れ物対策の梱包材だけで1点あたり100〜300円程度かかることが珍しくありません。これも原価に含めることが鉄則です。
具体的な計算例を見てみましょう。陶器の湯のみ1個を販売するとします。
「えっ、12,000円は高すぎでは?」と感じるかもしれませんが、これがiiichiやCreemaで評価される高品質な陶器作品の実態に近い価格帯です。minneで安売りすることは、自分の労働を安く見せることにつながります。価格は「いくら稼ぎたいか」ではなく「いくらかかっているか」から逆算するのが原則です。
参考リンク:minneが公式に解説する販売価格の考え方と原価の計算式についての解説ページです。
陶器はハンドメイド作品の中でも特に梱包に気を遣う必要があるカテゴリです。一度割れてしまうと修復不可能な場合がほとんどで、返品・再送対応、最悪の場合は補償交渉というコストが発生します。
梱包の基本は「二重保護」の考え方です。まず作品をプチプチ(気泡緩衝材)で包み、その後ダンボール箱に入れて隙間を新聞紙や紙パッキンで埋めます。この際、内側で作品が動かないように固定することが最重要です。配送中は荷物が何度も上下左右に揺さぶられますが、隙間があると衝撃が直接作品に伝わります。
重要なのが配送伝票の記載です。ヤマト運輸や日本郵便の場合、伝票に「ワレモノ」と明記するか、「割れ物注意シール」を段ボール外側に貼ることで、配送員が丁寧に扱うよう注意が促されます。記載がないと、通常の荷物と同じ扱いになるリスクがあります。
送料の選び方も陶器販売では重要なポイントです。薄型の封筒で送れる「ネコポス」や「クリックポスト」は、陶器には不向きです。宅急便コンパクトや宅急便(ゆうパック)を使い、しっかりしたダンボール箱に入れて送るのが基本です。
梱包コストを抑えたい場合は、100円ショップやホームセンターで購入できるプチプチロールやS・Mサイズのダンボール箱を活用すると、1点あたりの梱包費を150〜200円程度に抑えられます。配送費と合わせて事前に計算し、販売価格に反映させておくことが大切です。
陶器の梱包は手間に感じることもありますが、無事に届いたときのお客様からの「丁寧な梱包でした」という口コミは、次の購入者への信頼につながります。梱包が原因のクレームをゼロにすることが、アプリ内での評価を上げる一番の近道です。
参考リンク:陶芸家が実践する割れない梱包方法と発送のコツを紹介した動画コンテンツです。
陶芸家が実践!陶器を割らないように梱包する方法 - YouTube
「趣味の延長で少し売るだけだから税金は関係ない」と思っている方は要注意です。副業としてアプリで手作り品を販売し、年間の所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要になります(会社員・パート従業員の場合)。
ここで気をつけたいのは「所得20万円」とは「売上20万円」ではないという点です。所得とは、売上から経費(材料費・梱包材費・送料・アプリ手数料など)を差し引いた純利益のことです。たとえば売上が30万円でも、経費が15万円あれば所得は15万円となり、申告不要になります。
一方、注意したいのが住民税の申告です。副業所得が20万円以下であっても、住民税の申告は1円からでも必要です。確定申告さえしなければバレないと思っている方もいますが、住民税の申告を怠ると後から追徴課税が発生する可能性があります。
また、陶器制作のための経費として認められるものは思ったより広い範囲です。
これらをきちんと記録・集計することで、所得を正確に算出でき、過剰に税金を払うことを防げます。家計簿アプリや会計ソフト(例:freee、マネーフォワード)を活用すると、年末の集計作業が大幅に楽になります。
副業所得が年間20万円を超えそうな場合は、年明け2〜3月の確定申告期間を見据えて、日々の収支記録を習慣化しておくことが条件です。
参考リンク:ハンドメイド作家が確定申告で経費計上できる項目と申告方法をわかりやすく解説した記事です。
ハンドメイド作家の確定申告ガイド!税負担を抑えるポイントも紹介 - BASE U
多くの入門記事では「どのアプリが一番売れるか」という比較に終始しています。しかし実際に売上を伸ばして安定させるためには、1つのアプリに依存しない「複数出品戦略」が不可欠です。
実例として、あるハンドメイド作家がdクリエイターズ(docomoのハンドメイドマーケット)に集中した結果、月間売上が50万円に到達しましたが、サービス終了によって一夜にして売上がゼロになったケースがあります。これは特定のプラットフォームに全てのお客様情報と集客を依存していたために起きた事態です。
大切なのは、アプリのお客様はあくまでそのプラットフォームのユーザーであって、作家のファンではないという認識です。つまり、アプリが終了すれば顧客リストも同時に失います。
そこで推奨される戦略が、minne+Creema の2サイト同時運用をベースに、BASEで自前のネットショップURLを確保するという3段階の設計です。
さらに陶器作品は、国内に留まらずEtsy(エッツィー)という海外向けプラットフォームとの相性も注目されています。Etsyは190か国以上のユーザーが利用する世界最大級のハンドメイドマーケットで、日本の伝統的な陶器・工芸品はとくに欧米ユーザーからの評価が高いとされています。販売手数料は6.5%+出品料0.20ドル/点と比較的リーズナブルで、英語の商品説明さえ準備できれば参入できます。
複数プラットフォームを同時運用する際に懸念されるのが管理の手間ですが、在庫数を余裕を持って設定し、1か所で売れたら他を一時停止するなど、シンプルな運用ルールを設けておけば問題ありません。重要なのは、どこか1か所が閉鎖してもゼロにならない安全網を最初から作っておくことです。これが陶器販売の安定した収益化における最も重要なポイントです。
参考リンク:Etsyを使った海外販売のメリット・始め方・売れているショップのコツを詳しく解説した記事です。
ハンドメイドの海外販売!日本の作家にEtsy(エッツィー)がおすすめな理由