炭酸マグネシウム塩体に悪い?添加物の安全性と健康影響

塩に含まれる炭酸マグネシウムは本当に体に悪いのでしょうか?食品添加物としての用途や健康への影響、精製塩と天然塩の違いについて科学的根拠をもとに詳しく解説します。あなたの健康に関わる真実とは?

炭酸マグネシウム塩体に悪い影響

この記事のポイント
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炭酸マグネシウムの役割

塩の固結防止剤として使用され、サラサラの状態を維持する食品添加物

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安全性について

食品安全委員会で評価され、適切な使用では安全性に懸念がないと判断

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過剰摂取のリスク

マグネシウムの過剰摂取は下痢や腎機能低下時の高マグネシウム血症に注意

炭酸マグネシウムとは何か

 

炭酸マグネシウムは、白色の粉末状の化合物で、食品添加物として幅広く使用されています。塩などの粉末製品において固結防止剤として機能し、湿気による固まりを防いで製品をサラサラの状態に保つ役割を担っています。天然のマグネサイト鉱石を精製するか、硫酸マグネシウムと炭酸ナトリウムの化学反応によって合成されるのが一般的です。

 

参考)炭酸マグネシウムの塩は体に悪い?食品添加物の用途・危険性・副…

炭酸マグネシウムは塩以外にも、パン、チーズ、ヨーグルト、清涼飲料水、粉末調味料など多様な食品に添加されています。pH調整剤、膨張剤、栄養強化剤としても利用され、食品の品質向上や栄養価の増強に貢献しています。固結防止剤として機能する理由は、炭酸マグネシウムの粒子が細かく、表面積が大きいため食品中の水分を吸着しやすい特性を持つからです。

 

参考)固結防止剤

炭酸マグネシウム塩の体への安全性

炭酸マグネシウムが食品添加物として使用される場合、厚生労働省や食品安全委員会による評価で安全性が確認されています。水酸化マグネシウムや塩化マグネシウムなど他のマグネシウム塩と同様に、適切に使用される場合は安全性に懸念がないとされ、ADI(1日摂取許容量)を特定する必要がないと評価されています。国際的にも、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でマグネシウム塩について「ADIを特定しない」と評価されています。

 

参考)https://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20070913sfcamp;fileId=103

しかし、炭酸マグネシウムは水に溶けにくい性質があり、一般的には乾燥剤にも使われることから、身体に吸収されにくいという指摘もあります。精製塩に添加される炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムについては、人体に悪影響がある可能性も否定できないとする見解も存在します。ただし、天然塩と比較して精製塩が問題視される主な理由は、添加物よりもミネラルバランスの欠如にあります。

 

参考)なぜ天然塩は体に良いのか?精製塩をさけるべき理由も解説

食品グレードの炭酸マグネシウムは一般的に安全であると認識されているものの、消費者は食品添加物に対してより慎重になり、天然またはオーガニック食品への傾向が高まっている現状があります。

 

参考)食品グレード炭酸マグネシウム市場規模は2037年までに550…

マグネシウム過剰摂取による健康リスク

マグネシウムを過剰に摂取した場合、最も一般的な健康被害は下痢、軟便、腹痛などの消化器症状です。これは、マグネシウムが水分を抱える性質を持ち、さらに腸を刺激する作用があるためです。炭酸マグネシウムは、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、酸化マグネシウムと並んで下痢を引き起こしやすい形態として知られています。

 

参考)マグネシウムの取りすぎ?注意すべき症状についても解説!│健達…

通常の食事によるマグネシウム過剰摂取では過剰分が尿中に排泄されるため、健康な人では過剰症になることはほとんどありません。しかし、腎機能が低下している場合には高マグネシウム血症が生じやすくなり、吐き気、嘔吐、食欲不振、めまい、ふらつき、低血圧、不整脈、呼吸障害、意識障害といった深刻な症状が現れる可能性があります。

 

参考)マグネシウムの働きと1日の摂取量

サプリメントや「にがり」(主成分は塩化マグネシウム)などで通常の食事以外からマグネシウムを過剰に摂取すると、健康な人でも下痢などの副作用が起こることがあります。日本の食事摂取基準では、サプリメントなど通常の食品以外からの摂取量を成人で1日350mg(小児は体重1kgあたり5mg)に制限しています。

精製塩と天然塩のミネラル含有量の違い

精製塩と天然塩の最も大きな違いは、ミネラル成分の含有量にあります。精製塩は99.5%以上が塩化ナトリウムで構成されており、製造工程の「イオン交換膜法」によってカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル成分がほとんど取り除かれています。一方、天然塩は海水や岩塩を天日や平釜でじっくりと結晶化させて作られるため、塩化ナトリウム以外のミネラル分を含んでいます。

 

参考)市販にてスーパーで売られている精製塩と天然塩『岩塩』の違いと…

精製塩に炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムが添加されるのは、固結防止のためであり、栄養補給を目的としたものではありません。これらの添加物は塩の結晶同士の接触をなくして固まりを防ぎ、サラサラの状態を保つ効果があります。天然塩に含まれるマグネシウムは、筋肉をゆるめる働きがあり、疲労回復や便秘予防、高血圧予防などの効用が期待できます。

 

参考)https://www.shiojigyo.com/siohyakka/select/quality-shape-shokuyoen.html

精製塩が体に良くないとされる主な理由は、塩化ナトリウムだけを多く摂取することで体内のミネラルバランスが崩れ、脱力感や倦怠感などの不快症状を引き起こす可能性があるためです。また、精製塩の摂取を続けることで、老化や病気の原因となる活性酸素が体内で発生しやすくなるという指摘もあります。

項目 精製塩 天然塩
塩化ナトリウム含有量 99.5%以上 80〜95%程度
ミネラル含有 ほとんど含まれない カルシウム、カリウム、マグネシウムなどを含む
製造方法 イオン交換膜法 天日・平釜での結晶化
味の特徴 塩辛さが強い まろやかで甘みや旨味がある
添加物 炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど 基本的に無添加

日本人のマグネシウム摂取不足と健康への影響

日本人の多くが慢性的なマグネシウム不足に陥っている実態があります。厚生労働省の調査によると、日本人の約7割が推奨量を下回るマグネシウム摂取量であることが報告されています。令和元年国民健康・栄養調査におけるマグネシウムの1日の摂取量平均は247.1mgで、推奨量と比較すると不足気味です。

 

参考)マグネシウム不足の症状と原因|セルフチェックや改善策 - 東…

マグネシウム不足の主な原因として考えられるのは「食生活の半欧米化」と「精製塩の過剰摂取」です。戦後、日本人の伝統的な食生活が大きく変化し、特に大麦や雑穀などの全粒穀物の摂取が減少しました。逆に高脂肪、高カロリーの摂取が増え、結果としてマグネシウムの摂取量が減少したと考えられます。

 

参考)マグネシウムと生活習慣病 現代の日本人の食生活はマグネシウム…

マグネシウムが不足すると、不整脈が生じやすくなり、慢性的な不足は虚血性心疾患、動脈硬化症などのリスクを高めます。また、吐き気、精神障害などの症状が現れたり、テタニー(筋肉の痙攣)を起こしやすくなったりします。さらに、長期的なマグネシウム不足は、骨粗鬆症、心疾患、糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性が示唆されています。

💡 マグネシウムを多く含む食品

マグネシウムは補酵素として300種類以上の酵素の働きを助けており、エネルギー産生機構に深く関わっています。栄養素の合成・分解過程のほか、遺伝情報の発現や神経伝達などにも関与し、カルシウムと拮抗して筋収縮を制御したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、血小板の凝集を抑え血栓を作りにくくしたりする作用もあります。

炭酸マグネシウム含有塩を選ぶ際の注意点

塩を選ぶ際には、炭酸マグネシウムなどの添加物の有無だけでなく、総合的な観点から判断することが重要です。精製塩には固結防止のために炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムが添加されていますが、これらは栄養補給を目的としたものではなく、塩をサラサラに保つためのものです。

 

参考)固化防止剤 - Wikipedia

健康を考慮するなら、炭酸マグネシウムが添加された精製塩よりも、天然のミネラルを含む天然塩を選ぶことが推奨されます。天然塩に含まれるマグネシウムは体内で吸収されやすく、本来の生理機能をサポートする形で摂取できます。ただし、天然塩であっても塩化ナトリウムが主成分であることに変わりはなく、過剰な塩分摂取は高血圧や胃がん、食道がんのリスクを高めることが報告されているため注意が必要です。

 

参考)塩が体に悪い理由と影響は?自然海塩がおすすめ

腎機能が低下している方や高齢者は、マグネシウムの過剰摂取による高マグネシウム血症のリスクが高くなるため、特に注意が必要です。また、便秘薬として酸化マグネシウムを長期間服用している場合、体内にマグネシウムが少しずつ蓄積され、健康な人でも高マグネシウム血症を発症するおそれがあります。

🔍 塩選びのチェックポイント

炭酸マグネシウムが添加された塩は、食品添加物として安全性が確認されているものの、天然のミネラルを含む塩と比較すると栄養的なメリットは少ないといえます。日常的に使用する塩を選ぶ際には、単に「体に悪い」という二元論ではなく、自分の健康状態や食生活全体のバランスを考慮した上で、適切な選択をすることが大切です。

健康長寿ネット - マグネシウムの働きと1日の摂取量
マグネシウムの基本的な働きや推奨摂取量、不足時の影響について詳しく解説されています。

 

食品安全委員会 - 水酸化マグネシウムの食品添加物指定に関する報告書
マグネシウム塩類の食品添加物としての安全性評価について、科学的根拠に基づいた詳細な情報が記載されています。

 

 


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