ティーマのマグカップをオーブンで調理に使っている人は、まだ少数派です。
イッタラ ティーマ シリーズは、ある一人のデザイナーの信念から生まれました。フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランクが手がけた前身の「キルタ(KILTA)」は、1953年にアラビア社から発売されました。「ディナーセットを粉砕せよ!」というセンセーショナルなキャッチコピーとともに登場したキルタは、当時の常識だった「食器は揃いのセットで買うもの」という概念を根底からひっくり返しました。
「必要な装飾は色だけ」というカイ・フランクの哲学は、ティーマ マグカップの形を見れば一目瞭然です。余計な装飾や凸凹が一切なく、円形の胴体に小ぶりなハンドルが付いただけの、これ以上削れないシンプルさ。それでいながら、持ちやすさと使いやすさは際立っています。
キルタは1974年に一度生産終了となりましたが、1981年に現代の生活家電に合わせた大幅なリニューアルを経て「ティーマ(Teema)」として復活しました。このリニューアルで電子レンジ・オーブン・食洗機・冷凍庫に対応するという大きな進化を遂げています。その後2003年にはアラビア社からイッタラ社へとブランドを移行し、現在に至ります。
注目すべきは、1981年のティーマ発売以来、シリアルボウルとマグカップだけは形もサイズも変わらずに今日まで生産が続いているという事実です。つまりティーマ マグカップは、40年以上もまったく同じ形で作り続けられてきた「完成形」なのです。これが数十年単位で愛され続ける理由の一つといえます。
| 年代 | できごと |
|---|---|
| 1953年 | 前身「キルタ(KILTA)」をアラビア社から発売。デザインはカイ・フランク。 |
| 1974年 | キルタが一度生産終了となる。 |
| 1981年 | 「ティーマ(Teema)」として刷新。オーブン・レンジ・食洗機・冷凍庫対応に。 |
| 1989年 | カイ・フランク逝去。その後はオイバ・トイッカとヘイッキ・オルヴォラが監修。 |
| 2003年 | アラビア社からイッタラ社へブランドを移行。 |
| 2025年 | イッタラのロゴ刷新に伴い、ティーマも新バックスタンプへ順次移行開始。 |
前身のキルタを含めれば、ティーマ マグカップは誕生から70年以上にわたって世界中の食卓で使われてきたことになります。これは一つの食器として異例の長寿命です。ロングセラーが証明です。
参考:ティーマの歴史と詳細ラインナップが分かる公式まとめページ
TEEMA|ティーマまとめ - scope(スコープ)
ティーマ マグカップを選ぶとき、多くの人が最初につまずくのがサイズ選びです。300mlか400mlか、100mlの差は小さいようで、実際に手に取ると印象がかなり異なります。
まず数字で確認してみましょう。
| 比較項目 | 300ml | 400ml |
|---|---|---|
| 高さ | 約8cm | 約9cm |
| 直径 | 約8cm | 約9cm |
| マグカップ自体の重さ | 約267g | 約334g |
| ハンドルの高さ | 約4cm | 約4.5cm |
| 公式価格(税込) | 3,630円 | 4,180円 |
高さも直径もちょうど1cmの差です。重さは約67g、つまり卵1個分ほど400mlのほうが重い計算になります。コーヒーを8分目まで入れた状態での重さは300mlが約421g、400mlが約552gになります。女性が片手で持つと、400mlはそれなりにずっしり感じることもあるでしょう。
それでも400mlを選ぶ理由があります。ハンドルが5mm大きく指がかけやすいため、持ちやすさという点では400mlが上という声も多いです。また、飲み物をたっぷり楽しみたい方、朝食でコーヒーをたくさん飲む方、スープを入れて使いたい方には400mlが使い勝手のよいサイズです。
一方、300mlが向いている場面もあります。こだわりのドリップコーヒーや紅茶を丁寧に味わいたい方、飲む量が少なめの方、他の飲み物とセットで食卓に並べる方などは300mlの方がしっくりくるでしょう。結論は用途次第です。両サイズを揃えて使い分けるというのも、長く使っているユーザーの間では定番の楽しみ方になっています。
ティーマ マグカップのカラーは、定番色だけでも複数あり、毎年シーズナルカラーや限定色が加わります。色選びで迷う方は非常に多く、これはティーマを持つ人の「あるある」です。
現行の定番カラーは、ホワイト・リネン・パールグレー・ハニー・ヴィンテージブルー・ブラックなどが主軸です。人気色のトップはホワイトで、次いでリネン・パールグレーが人気を争っています。
🎨 定番カラーの特徴
- ホワイト:どんな料理・食器とも合わせやすい万能色。清潔感と明るさがあり、迷ったらまずこれ。
- リネン:2021年に日本先行発売されてから定番入りした新星カラー。ホワイトより温かみのあるオフホワイトで、和食にもなじみやすい。
- パールグレー:落ち着いた上品さがあり、ナチュラルインテリアにもモダンなインテリアにも対応。
- ハニー:2018年の復刻以降定番入り。程よいイエローで食卓に明るさをプラスできる。
- ヴィンテージブルー:1950年代のキルタからインスピレーションを得たレトロな青み。個性を出したい方に。
- ブラック:アラビアのパラティッシ・ブラックなど柄物食器と合わせると引き締まる。
色を選ぶときは、まず「ベースカラー(土台色)」を1色決めることが重要です。ホワイトかリネンをベースにすると、他のカラーと組み合わせやすく、色合わせが失敗しにくくなります。組み合わせは最大3色程度に抑えると、テーブルがまとまります。これが基本です。
また、廃盤になったカラーや限定色も存在します。ヴィンテージブラウンやパウダーはマグを除き生産終了となっており、在庫限りで販売が終了しています。気になるカラーがあれば早めの購入を検討するとよいでしょう。
参考:ティーマの色選びを詳しく解説した記事
【保存版】イッタラティーマの色選び迷子さんへ - ウニノイエ
陶磁器に詳しい人でも、「マグカップをオーブンで調理に使う」という発想はなかなか出てこないものです。しかしティーマ マグカップは、飲み物を入れるだけでなく調理にも使える食器として設計されています。これは意外ですね。
ティーマの裏面には「DISHWASHER / MICROWAVE & FREEZER SAFE / OVEN TO TABLE」という刻印があります。食洗機・電子レンジ・冷凍庫・オーブン、現代の生活家電すべてに対応しているという宣言です。
具体的にどう使えるかというと、マグカップに材料を直接入れて電子レンジで加熱し、スフレやカップケーキを作ることができます。また、冷凍庫に入れてフローズンドリンクや食材の保存に使うこともできます。オーブン調理であれば、スープやグラタンをそのまま食卓に出すことも可能です。
ただし注意点があります。直火への使用は不可です。また、急激な温度変化(熱い状態からすぐ冷水をかけるなど)は破損の原因になります。冷凍庫から出してすぐ電子レンジで加熱するような使い方は避けるのが安全です。冷凍庫対応の食器は少ないです。
この「食洗機・レンジ・オーブン・冷凍庫」のフル対応という点は、他の陶磁器ブランドのマグカップと比較したときの大きな差別化要素です。忙しい日常の中で、食器を「調理道具」として扱えることは、食卓の自由度を格段に上げてくれます。
🔥 ティーマ マグカップで試したい調理活用例
- 電子レンジで600W約90秒加熱するだけで作れる「マグカップケーキ」
- スープやシチューをそのまま冷凍保存し、レンジで温め直して食卓へ
- 下ごしらえの計量カップ兼容器として使い、そのままレンジ調理
- 小さなグラタンやキッシュをオーブンで焼いて、そのままテーブルに出す
これらの使い方を試したことがない方は、ぜひ一度活用してみてください。これは使えそうです。
参考:イッタラ公式よくある質問ページ(使用可能な調理器具について確認可能)
よくあるご質問|イッタラ&アラビア公式オンラインストア
ティーマ マグカップを購入するとき、商品説明に「生産国:フィンランド/タイ」と書かれているのを見て戸惑う方がいます。「北欧ブランドなのにタイ製?」と感じるのは自然な疑問です。
実は、イッタラグループ(アラビアを含む)は2000年代から生産拠点の一部をタイなどに移しています。タイ製も正規品であり、品質管理はフィンランドで行われています。偽物ではありません。フィンランド製とタイ製は両方とも本物です。
ただし、フィンランド製とタイ製では若干の質感の違いがあるとも言われています。フィンランド製は胴体の立ち上がりがカクっと折れ曲がったような印象で、タイ製はよりなめらかな立ち上がりになっているという違いが指摘されています。どちらが好みかは人によります。
また、シールの有無についても誤解されがちです。イッタラのシール(iマーク)が貼ってあるかどうかは、真贋(本物か偽物か)とは無関係です。出荷状態によってシールが貼られていないケースもあり、シールがないからといって偽物というわけではありません。シールなしは問題ありません。
2024年にはイッタラのブランドロゴが刷新されたため、2025年10月から順次新バックスタンプへの切り替えが進んでいます。旧ロゴ品と新ロゴ品が混在している状態が続いており、コレクターの方にとっては旧ロゴ品の入手が今後難しくなる可能性もあります。バックスタンプが切り替わり始めているのが現在の状況です。
並行輸入品を安く購入する方法も知っておくと役立ちます。正規輸入品は公式ストアや正規代理店で購入できますが、楽天やAmazonなどに出品されている並行輸入品は正規品より大幅に安く購入できるケースがあります。2025年時点での参考価格として、公式サイトでは300mlが3,630円、400mlが4,180円である一方、楽天の並行輸入品では300mlが1,695円〜2,399円程度で流通しています。賢く購入したい方はこの価格差を活用しましょう。
参考:フィンランド製・タイ製の違いや並行輸入品についての詳細解説
イッタラに「偽物」はある?——シールなし・タイ製・並行輸入品について