エッチングガラスは「汚れが目立たない」と思われがちですが、表面の凹凸に油分や埃が入り込み、カスミガラスより3倍以上のメンテナンス手間がかかることがあります。
エッチングガラスとは、ガラスの表面をサンドブラスト(砂による研磨)や薬品処理によって微細な凹凸をつくり、光を乱反射させる加工を施したガラスのことです。この凹凸によって光はやわらかく透過しながらも、向こう側の輪郭はぼやけてプライバシーを守れる仕組みになっています。陶芸作品のマット釉薬のような質感、と言えばイメージしやすいでしょうか。表面はしっとりとしたサテン仕上げのような手触りで、光の当たり方によって上品な輝きを放ちます。
リクシルのエッチングガラスには、他メーカーにはない注目すべき仕様があります。一般的なエッチングガラスは片面だけを加工し、裏面は素地(通常の透明ガラス)のままです。ところがリクシルの「ラシッサ」シリーズでは、表裏の両面が同じエッチング仕上げになっているのです。これは見る角度や光の向きが変わっても均一なマット感が保たれるということで、どの方向から見ても美しい仕上がりを実現しています。リビングと廊下の両側から同じ品質の見た目を楽しめる、というのは実際に住んでみると大きな違いです。
また、ガラス面の大きいドアには「熱処理ガラス(強化処理ガラス)」が採用されています。通常のガラスと比べて割れにくく、万が一割れた場合でも細かな粒状に砕けるため、大きな破片による怪我のリスクを大幅に軽減します。インテリアの美しさと安全性を両立しているのがリクシル製エッチングガラスの大きな強みです。
薬品で処理する特性上、ガラスの見え方が箇所によって微妙に異なる場合があります。これは製品の欠陥ではなく、手仕事に近い加工由来の自然なムラ感です。陶芸の窯変(ようへん)のような個体差として楽しめます。
参考:リクシル公式ラシッサ「金物とガラス」バリエーションページ
LIXIL ラシッサ|ガラスバリエーション詳細(公式)
「エッチングガラス」と「カスミガラス(型板ガラス)」は混同されやすいですが、製法も仕上がりも異なります。これは原則として覚えておきたいポイントです。
カスミガラスは、溶けたガラスを型ロールで押し出す際に片面へ凹凸模様を転写した「型板ガラス」の一種です。表面はぼこぼこした手触りで、光は通しながらも向こう側の姿は見えにくくなります。一方でエッチングガラスは、一度製造した平板ガラスを薬品で腐食させて表面を荒らしたもので、仕上がりはよりきめ細かく上品なマット感が出ます。視覚的な高級感という点では、エッチングガラスの方が一段上の印象があります。
| 項目 | エッチングガラス | カスミガラス(型板ガラス) |
|------|------|------|
| 加工方法 | 薬品・サンドブラストによる表面腐食 | 溶融ガラスを型ロールで転写 |
| 手触り | しっとりとしたマット感 | 片面がボコボコした粗い凹凸 |
| 高級感 | ⭐⭐⭐⭐(高め) | ⭐⭐⭐(標準) |
| 価格 | やや高め | 比較的リーズナブル |
| プライバシー性 | 中程度 | 中程度 |
| 水濡れ時の透け | 比較的少ない | やや透けやすい |
リクシルのラシッサシリーズでは、エッチング・カスミ・モール・アンティーク・ステンドなど、複数のガラスデザインから選べます。予算重視であればカスミガラスが選択肢になり、デザイン重視・質感重視ならエッチングガラスという使い分けが基本です。エッチングガラスが条件です。
参考:すりガラス・かすみガラスの種類について詳しく解説されているページ
窓ガラスの種類と特徴・目的別の選び方|窓リフォーム研究所
リクシルにはエッチングガラスを採用した室内ドア・引戸が複数のシリーズにラインアップされています。代表的なのは「ラシッサ」と「TA(ティーエー)」の2シリーズです。これは使えそうです。
ラシッサシリーズはデザイン性を重視した上位ブランドで、「ラシッサS」「ラシッサD パレット」「ラシッサD ラテオ」「ラシッサD ヴィンティア」「ラシッサD キナリモダン」「ラシッサD ノースフォレスト」など、個性豊かな6つのレーベルが展開されています。カラーバリエーションは全28色と豊富で、ガラスも透明・カスミ・エッチング・モール・アンティーク・ステンドガラスなど6種類以上から選択できます。ハンドルは11タイプ、丁番色は6色から選べるため、インテリアにこだわる方にとってはまさに理想のカスタマイズが可能です。ハンドルのひとつひとつに厳選したカラーが組み合わされており、例えば「サークルJ」ハンドルには深みのあるダークアンバー色、「スクエアM」にはヘアラインが入ったリュクスシルバーなどが用意されています。
TAシリーズはよりベーシックなデザインと、わかりやすいシンプルな商品体系が特長の室内ドア・引戸シリーズです。どんなスタイルのお部屋にもなじみやすく、選びやすさを重視した設計です。エッチングガラス仕様は「EGT」という品番で展開されており、片開きドアや引戸・引き違い戸など各種タイプに対応しています。インターネット通販での取り扱いも多く、DIYリフォームを検討している方にも選ばれています。
ラシッサとTAの価格差については、TAのエッチングガラスドアが市場実勢で47,000〜55,000円前後(本体のみ)であるのに対し、ラシッサのガラスタイプドアは50,000〜70,000円以上になる場合もあります。工事費を含めると、一枚のドア交換だけで総額8万〜15万円程度になることもあります。つまり予算とデザインの優先順位で選ぶのが条件です。
参考:リクシル公式TAシリーズ製品情報
室内ドア・引戸 TA(ティーエー)|LIXIL公式
陶芸やクラフトが好きな方であれば、エッチングガラスの表面に宿る独特の質感に惹かれる方も多いのではないでしょうか。陶器の「貫入(かんにゅう)」や「マット釉」に通ずる、光の乱反射によって生まれる奥行き感がエッチングガラスにはあります。
採光という面では、エッチングガラスは非常に優れた機能を持っています。廊下に面した室内ドアにエッチングガラスを採用すると、リビングの光が廊下にやわらかく漏れ出し、窓のない廊下でも暗くなりにくい空間になります。逆に廊下側から光が差し込んだときも、リビングの様子が直接見えることなく明るさだけが届くため、プライバシーを確保しながら開放感を演出できます。これは透明ガラスにはできない、エッチングガラスならではの両立です。
光が変化する時間帯によって表情が変わるのもエッチングガラスの面白さです。朝の斜光が当たるとガラス全体が白く輝き、昼間の直射光ではシャープに光り、夕方の間接光では柔らかい陰影が生まれます。陶器の釉薬が焼成によって様々な表情を見せるように、エッチングガラスも光の条件によって多彩な顔を持ちます。
またリクシルのラシッサでは、エッチングガラスを「ハイドア(天井高に近い高さのドア)」に採用することも可能です。ハイドアにガラスが入ると、縦方向への光の広がりが生まれ、天井が実際より高く感じられる視覚効果もあります。部屋全体をすっきりと見せたい場合に非常に効果的な選択肢です。
エッチングガラスのお手入れは、見た目が地味なだけに「汚れが目立たないから楽」と思いがちです。ところが実際には、表面の微細な凹凸に油分・埃・手垢が入り込みやすく、放置すると汚れが固着して落としにくくなります。長持ちさせるために、正しいお手入れの習慣が必要です。
日常のお手入れ方法としては、乾いた柔らかい布で軽く拭くだけで十分です。ガラスクリーナーをスプレーして固く絞った布で拭く方法も有効ですが、スクレーパーやメラミンスポンジのような研磨力のあるものは使わないようにしましょう。エッチング加工の凹凸が削れてしまい、せっかくのマット感が損なわれます。厳しいところですね。
水垢が気になってきた場合は、クエン酸水(水200mlに対してクエン酸小さじ1杯)を布に含ませてガラス面に当て、数分置いてから柔らかく拭き取る方法が有効です。クエン酸はアルカリ性の水垢を中和して溶かすため、力を入れずに汚れを落とせます。ただしクエン酸は金属部分(ハンドルや丁番)に直接触れると変色の原因になるため、ガラス面だけに使うことが条件です。
リクシルのエッチングガラスは「薬品処理で箇所ごとに見え方が異なる場合がある」と公式でも案内されています。これはガラスの欠陥ではなく特性によるものです。同じ面を異なる照明で見ると表情が変わるのも、陶器と同様にエッチングガラスが持つ個体差の魅力といえるでしょう。
参考:エッチングガラスの特徴と掃除方法について詳しい外部記事
エッチングガラスとは?エッチング加工の魅力と特徴|ガラス工事ドットコム
陶器や焼き物が好きな方の多くは、素材そのものの質感、光との関係、時間とともに変化する表情に惹かれています。じつはエッチングガラスはその感性に非常に近い素材です。
たとえば白マット釉の陶器をコレクションしている場合、エッチングガラスのドアとの組み合わせは視覚的に非常にまとまりが出ます。陶器の白マット・グレーマット・アイボリーとエッチングガラスのすりガラス調の質感は、同じ「光を吸収しつつ拡散させる表面」という共通点があるからです。リクシルのラシッサDシリーズのカラー「ラテオ」(グレイッシュなモダンカラー)や「キナリモダン」(和の柔らかさを持つカラー)は特にそのような雰囲気にマッチします。
ミニマルな陶芸作品を壁面に飾るような空間であれば、ドアはエッチングガラス付きのラシッサSをホワイト系(クリエホワイト)で選ぶと、作品の邪魔をせず空間全体に統一感が生まれます。一方で民藝調・柳宗悦テイストが好みであれば、ラシッサDヴィンティアの「ラフオーク」や「カームチーク」をエッチングガラスと合わせると、手仕事感のある素材感が醸し出されます。
インテリアの細部までこだわる陶器好きであれば、ガラスデザインだけでなくハンドルの選択も大切です。ダークアンバーカラーのサークルJハンドルは、金彩を施した陶器や備前焼のような渋みのある釉薬と相性がよく、空間全体に「本物の素材」を感じさせるコーディネートに仕上がります。これは使えそうです。
リクシルの全国ショールームでは実際に色とガラスを手で触って確認できます。陶器のマット釉に触れるような感覚でエッチングガラスに触れてみると、選ぶ基準がよりクリアになるでしょう。まずはショールームへ足を運ぶことを確認するのが最短の選び方です。
参考:リクシルのラシッサシリーズ全体の特長ページ
リビング・寝室・居室|ラシッサ|特長|LIXIL公式

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