ドベで接着した部分は焼成中に剥がれます
「ドベ」は西日本で広く使われる方言で、最下位やビリを意味します。この言葉は愛知県や長野県から西の地域で一般的に使用され、東日本の「ビリ」との境界線は長野から静岡にかけて存在します。
参考)「どべ」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
語源については諸説ありますが、「泥灰」「泥屁」「泥吐」などが候補とされ、確定的な起源は不明です。ただし江戸時代の歌舞伎用語「ビリ」よりも古い言葉であることが分かっています。
参考)https://sashichi-ohnishi.readymade.jp/hida_dialect/etymology_e/dobe.html
地域によってさらに多様な表現があります。石川県では「ゲベ」、大阪や兵庫の一部では「ベッタ」「ベヘタ」、北海道では「ゲッパ」「ゲレッパ」と呼ばれるのが特徴的です。高知県では約4割の人が「ビリケツ」と呼び、青森・岩手・秋田でも3~4割が同様の表現を使います。
参考)「ドベ」と「ビリ」の境界線は、長野から静岡にかけて存在する!…
つまり最下位の呼び方ですね。
陶芸における「ドベ」は、粘土を水で溶かしてペースト状にした接着剤を指します。電動ろくろで成形する際に出る削りカスを密封容器に保存し、水を加えて練ることで作られます。
ドベは陶芸作品の制作において不可欠な材料です。取っ手や装飾パーツを本体に取り付ける際、ドベを使わずに接着すると、焼成時に部品が取れてしまいます。接着面にキズを入れてドベを塗り込み、しっかりと圧着することが基本の手順です。
参考)https://ameblo.jp/doronko-master/entry-10996286895.html
硬さの目安は歯磨き粉より少し柔らかめ程度が適切です。この一貫した質感を保つことで、均一な接着が可能になります。
参考)よくある質問
これが基本です。
ドベの作り方は非常にシンプルで、少量の粘土に少量の水を混ぜるだけです。ろくろ挽きで出た削りカスを利用するのが一般的ですが、新しい粘土を使って作ることもできます。
削りカスから作る場合、粘土の小さな粒が残りやすく滑らかに混ざらないことがあります。これは削りカスが千切れやすいことが原因です。密封容器で保管し、使用時に適量の水を加えて調整するのがコツです。
参考)小皿の高台を削ってドベで装飾 (一般開放にて) : めざせ陶…
土殺しの技法を使ってドベを作る方法もあります。この方法では綺麗なドベが作れる上、土殺しの練習にもなるというメリットがあります。
配合の原則です。
ドベにお酢を加えると、接着力が大幅に向上します。200gのドベに小さじ一杯のお酢を加えるのが標準的な配合比率です。よく練ってから使用することで、接着面の強度が高まります。
この方法は焼成中の剥離を防ぐために有効です。接着した部分が焼成中に一部欠けたり、最悪の場合は木端微塵に弾けたりする失敗を経験した陶芸家も多いでしょう。お酢入りドベを使うことで、こうした失敗のリスクを減らせます。
接着面を広くするために、あえてひび割れを広げてからお酢入りドベを塗る技法もあります。この方法により接着面積が増え、より強固な接合が実現します。
参考)https://www.juen.ac.jp/lab/takaishi/ronnbunn/kototekijissenn.pdf
お酢を使った強力なドベの作り方について詳しく解説している陶芸家のサイト
無料で試せます。
「ドベ」という言葉は、方言と陶芸用語で全く異なる意味を持ちますが、語源に共通点がある可能性が指摘されています。方言の「ドベ」は「泥」を意味する言葉として東北・北陸・中国・四国地方で使われており、これが最下位の意味に転じたとされます。
参考)どべ – 【公式】鹿児島弁ネット辞典(鹿児島弁辞…
陶芸用語の「ドベ」も泥状の粘土を指すため、同じ語源から派生した可能性があります。鹿児島では「ドベ」がぬかるみや水底に溜まった泥土を意味しており、泥との関連が明確です。
飛騨方言では「ドベ」は頭高アクセントで発音され、接頭語としての「ど」ではないことが分かっています。この音韻的特徴は、単独の語として古くから存在していたことを示唆します。
意外ですね。
ドベを使った接着で最も多い失敗は、焼成中に接着部分が剥がれることです。これを防ぐには、接着面に必ずキズを入れてからドベを塗り込む必要があります。キズを入れることで接着面積が増え、物理的な引っ掛かりも生まれます。
接着後はしっかりと圧着することが重要です。軽く押さえるだけでは不十分で、余分なドベが押し出されるくらいまで圧力をかけます。この工程を省略すると、見た目ではくっついているようでも焼成後に取れてしまいます。
急激な温度上昇も割れの原因になります。器の温度上昇が炭の温度上昇についていけない場合、接着部分から割れが生じやすくなります。
参考)失敗例と対策法
圧着が条件です。
「ドベ」と「ビリ」の境界線は、東海道側では愛知と静岡の間、中山道側では山梨と長野の間あたりに存在します。この分布パターンは、旧畿内方言が西日本を中心に方言周圏論的に拡散し、飛騨山脈を越えて長野県まで達した結果と考えられています。
「ビリ」は近世語で江戸歌舞伎の言葉として1773年の「歌舞伎・和布苅神事」に記録されています。江戸時代に江戸で「ビリ」が生まれたものの、それ以前から畿内を中心に「ドベ」が存在していたため、西日本では置き換わることがありませんでした。
東京都と神奈川県では「ドベ」の投票も目立ちますが、これは関西出身者が多いためと推測されます。カレーの肉の東西境界(愛知~岐阜)と比べると、「ドベ」の領土はやや東側に狭いのが特徴です。
ビリとドベの境界線について詳細なアンケート結果を掲載したJタウンネットの記事
歴史が深いですね。
ドベは密封できる容器に入れて保存することで、長期間使用できます。ろくろ挽きの際に出る削りカスを捨てずに保管しておけば、必要な時にすぐドベが作れます。
保存中に水分が蒸発して硬くなった場合は、水を追加して練り直せば元の状態に戻ります。逆に水分が多すぎる場合は、容器の蓋を開けて適度に乾燥させるか、新しい粘土を少量加えて調整します。
ドベは接着剤としてだけでなく、装飾にも活用できます。スポイトやスプーンで模様を描いたり、盛り上がった質感を作ったりする際に使われます。余ったドベを再度粘土として利用することも可能です。
ドベの作り方を動画で詳しく解説している岩元陶房のYouTubeチャンネル
再生が可能です。