電子銃は、陰極から電子を放出させて陽極に向かって加速することで電子ビームを生成する装置です。この基本原理は、固体中の電子を高熱や高電界によって空間に放出させ、電界で加速すると同時に電子レンズで収束させてビーム状に照射する仕組みに基づいています。陰極から放出された電子は、陰極と陽極の間に印加された電圧によって加速され、所定のエネルギーを持つ電子ビームとして形成されます。
参考)電子銃
電子を放出する陰極は、熱電子銃ではフィラメント、電界放出型電子銃やショットキー電子銃ではエミッタと呼ばれます。陰極材料には、タングステンや六ホウ化ランタン(LaB6)などの仕事関数の低い材料が使用され、熱エネルギーや高電界によって効率的に電子を放出できる特性が求められます。陽極は電子を引き出すとともに加速する役割を持ち、陰極と陽極の電位差が電子ビームのエネルギーを決定します。
参考)electron gunとは何? わかりやすく解説 Webl…
電子銃の機能は、陰極から放出された電子を加速し、あるビーム径の中に必要な大きさの電流を引き出すことにあります。電子ビームの品質は、陰極の材料特性、電極配置、真空度などの複数の要因によって決まり、高分解能が求められる用途では特に精密な制御が必要です。
参考)電子銃(electron gun)
熱電子放出型電子銃は、陰極を加熱することで固体中の電子に熱エネルギーを与え、空間に取り出す方式です。この方式では、タングステンや六ホウ化ランタン(LaB6)などのフィラメントが電子源として使用され、1,500℃から2,800℃程度の高温に加熱されることで電子が放出されます。熱電子源は安価で安定な電子放出が得やすいため、ブラウン管などに広く用いられています。
参考)電子銃 - Wikipedia
タングステンフィラメントは融点が高く化学的安定性に優れているため、高温用途に適した材料として長年使用されてきました。一方、六ホウ化ランタン(LaB6)は、タングステンよりも低い仕事関数を持ち、より低温で効率的に電子を放出できる特性があります。LaB6は真空中で化学的に安定しており、高い電子放射率と長寿命を実現できるため、電子顕微鏡や電子ビーム溶接などの高精度用途に採用されています。
参考)電子ビームタングステンフィラメントの百科事典 - Tungs…
熱電子放出型電子銃では、加熱しているためアウトガスの吸着が少なく、長寿命で安定的な電子線放出が行えるという利点があります。しかし、熱電子を放出しやすくするためにショットキー効果を使った改良型も開発されており、電子顕微鏡や電子線描画装置などに用いられています。この改良により、より高い輝度と安定性を実現できるようになりました。
電界放出型電子銃は、高電界により固体表面近傍のポテンシャルバリアを薄くすることで、量子力学的トンネル効果を利用して空間に電子を取り出す方式です。この方式では、陰極先端に強い電界をかけることで、電子を固体内に閉じ込めていたポテンシャル障壁が低くなると同時に薄くなり、電子がトンネル効果によって真空中に放出されます。トンネル効果により、電子はポテンシャル障壁の頂上を越えることなく直接透過して放出されるため、加熱の必要がありません。
参考)電界放出電子銃
電界放出型電子銃の基本構造は、先端を鋭く尖らせたエミッター、引き出し電極、加速電極から構成されます。引き出し電極に印加された引き出し電圧によって所定の電流量の電子をエミッター先端から放出させ、さらに加速電極に印加された加速電圧によって所定のエネルギーまで加速されます。この方式の利点は、微細な電子源(点電子源)が得やすく、また高い電流密度が得られるため、高分解能電子顕微鏡や電子線描画装置、進行波管などに用いられています。
電界放出型電子銃では、仮想光源径が数nm程度と非常に小さく、高い陰極電流密度からくる高輝度と微小光源の持つ高干渉性が、電子線ホログラフィーなど電子の波動性を利用した応用に有利です。ただし、電界放出型電子銃を満足に動作させるためには超高真空技術が必要であり、電子銃室の真空度管理が重要な技術的課題となります。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvsj2/55/2/55_2_64/_pdf/-char/ja
ウェーネルト電極は、熱電子銃の構成要素の一つで、陰極と陽極の間に置かれた1~2mm程度の口径の穴を持つ円筒状電極です。この電極には陰極に対してマイナスのバイアス電圧が与えられており、放出電子の量を制御する役割を果たします。バイアス抵抗で誘起されるバイアス電圧を印加することで、電子銃から出る発散電子ビームを収束させる作用があります。
参考)ウェーネルト電極
ウェーネルト電極は、陰極から放出される電子の量を調整するだけでなく、陰極、ウェーネルト電極、陽極の三つで作られるレンズ作用により、クロスオーバー(電子ビームの最小断面)を形成する役目も持っています。この静電レンズ作用により、電子ビームの収束性が改善され、より高品質な電子ビームを得ることができます。
参考)ウェーネルト電極
実際の電子銃では、ウェーネルト電極の設計が電子ビームの特性に大きな影響を与えます。電極の形状や口径、バイアス電圧の設定によって、ビーム電流、輝度、収束性などが変化するため、用途に応じた最適化が必要です。また、長期使用により陰極材料がウェーネルト電極内面に付着すると電子放出が不安定になるため、真空度の管理とともに定期的なメンテナンスが重要です。
参考)https://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1957/02/1957_02_08.pdf
電子銃の安定動作には、陰極周辺の超高真空環境が不可欠です。特に電界放出型電子銃では、真空度が10⁻⁷ Pa台に劣化するとエミッションがちらつく現象が観察され、長期間の安定動作には10⁻⁸ Pa以下の超高真空が必要とされます。このため、差動排気方式が電子銃部分の真空度向上に広く採用されています。
参考)RHEEDユニット『PHD-30K-034』 パスカル
差動排気方式は、電子銃室と加速管やサンプル室など真空度の異なる領域の間に小さなオリフィス(開口部)を設け、それぞれの領域を独立した真空ポンプで排気する技術です。この方式により、加速管側の真空度が比較的低い場合でも、電子銃側を1桁から1.5桁高い真空度に保つことができます。実際の運用では、電子銃室にスパッタイオンポンプ(SIP)と非蒸発型ゲッター(NEG)ポンプを併用することで、電界放出型陰極の動作をより安定化できることが報告されています。
参考)https://www.pasj.jp/web_publish/lam1985/un24.pdf
差動排気条件の設計では、オリフィスの直径が重要なパラメータとなります。オリフィスを大きくすると電子ビームの通過は容易になりますが、真空度の差動効果が低下します。逆に絞りすぎるとビームをカットしてしまうため、電子ビームの開き角と必要な真空度のバランスを考慮した設計が求められます。こうした真空技術の進歩により、電子銃ビームの変動が抑制され、始動時のビーム成立時間の短縮も実現されています。
参考)https://patents.google.com/patent/WO2024189799A1/ja
電子銃は、電子顕微鏡の中核部品として重要な役割を果たしています。走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)では、電子銃から発生した電子ビームを試料に照射し、試料から放出される二次電子や透過電子を検出することで、光学顕微鏡では観察できないナノスケールの構造を可視化します。電子銃の種類によって達成できる分解能が異なり、高分解能が求められる用途では電界放出型電子銃が選択されます。
参考)電子顕微鏡のページ
ブラウン管(CRT)は、電子銃から放出された電子ビームを偏向ヨークに巻いたコイルから出る磁界で曲げ、蛍光面を発光させて画像を得る表示装置です。電子銃から放出された電子ビームは、サーチライトのように水平方向・垂直方向に走査して蛍光体を発光させます。ブラウン管では、熱電子放出型電子銃が安定性とコストの面で優れているため、テレビジョンやオシロスコープなどに長年使用されてきました。
参考)https://www.tdk.com/ja/tech-mag/hatena/018
電子銃の応用は、観察や描画といった情報処理的な役割だけでなく、電子ビームが持つ高密度エネルギーを利用した材料加工分野にも広がっています。電子ビーム蒸着では、電子銃から発生した高エネルギーの電子ビームを蒸着材料に照射して加熱・蒸発させ、基板上に薄膜を形成します。この技術は、光学薄膜のコーティングや半導体製造プロセスなど、幅広い産業分野で利用されています。
参考)真空蒸着用電子銃|製品情報|ULVAC SHOWCASE
JEOL 電子銃用語集
電子銃の基本構造や種類、関連用語について詳しい解説が掲載されています。
Wikipedia 電子銃
電子銃の原理や種類、歴史的発展について包括的な情報が提供されています。

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