シアノアクリレート接着剤の特徴と種類や用途

シアノアクリレート接着剤の特徴と用途

シアノアクリレート接着剤の基本的な仕組み

 

シアノアクリレート接着剤は、主成分であるα-シアノアクリレートが通常モノマー（単量体）状態で存在し、粘度が非常に低い液体です。被着材表面に吸着している微量の水分に触れると瞬時にアニオン重合という化学反応が起こり、急速に硬化してポリマーへと変化することで被着材同士を強力に接着します。

 

参考）瞬間接着剤の特徴と注意点 【通販モノタロウ】
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シアノアクリレートには電子吸引性のシアノ基とカルボニル基という2つの非常に強い活性基が存在しており、これらの活性基が瞬間的な接着を実現する鍵となっています。この化学反応の開始剤となるのは、水分子(H-OH)やメタノール(CH3-OH)、水酸化ナトリウム(NaOH)などの分子構造中のOH-基で、これがシアノアクリレートに作用して重合・硬化が進行します。

 

参考）https://www.threebond.co.jp/technical/technicalnews/pdf/tech21.pdf
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東亜合成の「アロンアルフア」に代表されるように、シアノアクリレート系瞬間接着剤は工業用、医療用、家庭用まで幅広く使用されています。

 

参考）瞬間接着剤　アロンアルフア
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シアノアクリレート接着剤の主な種類と特性

シアノアクリレート接着剤には、主成分となるシアノアクリレートの種類によって様々なタイプが存在します。代表的なものとして、メチル、エチル、ブチル、イソブチル、オクチル、メトキシエチル、エトキシエチルなどがあり、工業用、医療用、まつげエクステ用など用途によって使い分けられています。

 

参考）https://marierushlash.com/blogs/blog/differences-and-characteristics-of-eyelash-extension-glues
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特に一般的なのがエチルシアノアクリレートとブチルシアノアクリレートです。エチル系は硬化速度が速く、強度が高い一方で、ブチル系はやや硬化速度が遅いものの、柔軟性があり刺激が少ないという特徴があります。粘度についても、低粘度タイプ(2～3mPa·s)から高粘度タイプ(4,000～6,000mPa·s)まで幅広い選択肢があり、隙間のサイズや被着材の種類に応じて適切なものを選ぶことができます。

 

参考）シアノアクリレート瞬間接着剤
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耐熱性においても種類によって差があり、汎用のエチルシアノアクリレートではゴムやプラスチックで80℃程度、金属で120℃程度が上限ですが、特殊な高耐熱タイプでは最大250℃まで対応可能な製品も存在します。

 

参考）https://www.jstage.jst.go.jp/article/mls/28/1/28_6/_pdf/-char/ja
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シアノアクリレート接着剤と鉱石標本の接着

鉱石や石材の接着において、シアノアクリレート系接着剤は非常に有効です。流木や岩などのレイアウトには、水や湿気によって秒単位で固まるシアノアクリレート成分入りの接着剤が推奨されています。石材用の瞬間接着剤は、石材のキレツ、破れ、穴埋め、および石材相互の接着、さらに石材とプラスチック・金属・ゴムの接着にも使用できます。

 

参考）アクアリウム専用接着剤とは！エビにも安心・用途別おすすめ製品…
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アクアリウムの石組レイアウトでは、石と石の間に補助材を挟み、そこにシアノアクリレート系接着剤を浸み込ませることで接着します。石材用のシアノアクリレート接着剤は一般的な瞬間接着剤よりも高い強度を発揮し、接着剤を流し込むだけで容易に接着作業が可能です。

 

参考）【石組レイアウト用】液状接着剤｜石と石をしっかり接着◆動画解…
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鉱石標本の仮止めや展示用の固定においても、シアノアクリレート接着剤は優れた性能を発揮します。天然石の亀裂補修にも適用でき、石材の保存や修復作業に活用されています。

 

参考）https://www.monotaro.com/s/q-%E7%9F%B3%E6%9D%90%E7%94%A8%E7%9E%AC%E9%96%93%E6%8E%A5%E7%9D%80%E5%89%A4/
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シアノアクリレート接着剤に適した材質と不向きな材質

シアノアクリレート接着剤は広範囲な被着材料に対して強力な接着性を発揮しますが、すべての材質に適しているわけではありません。適している材質としては、金属(スチール、アルミ、亜鉛)、ゴム(天然・合成)、プラスチック(アクリル、ABS、塩化ビニルなど)、セラミック、グラスファイバ、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、磁石、フェライトなどがあります。

 

参考）DCM DIY倶楽部.com
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一方で、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂は難接着性材料として知られており、そのままではシアノアクリレート接着剤が効果を発揮しにくい特性があります。これらの材質に対しては、POPプライマーなどの専用プライマーを併用することで接着が可能になります。

 

参考）プラスチック用接着剤 - 接着剤
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また、シアノアクリレート接着剤は耐溶剤性がほぼないため、溶剤に触れる用途には不向きです。非極性溶剤への耐性はある程度ありますが、極性溶剤に対する耐性は非極性溶剤より劣るため注意が必要です。
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シアノアクリレート接着剤の硬化促進と補助材の活用

シアノアクリレート接着剤の性能を最大限に引き出すためには、硬化促進剤(アクセラレーター)や補助材の活用が効果的です。被接着面が多孔質であったり、平滑でない場合の接着、間隙充填接着、肉盛り接着を行う際には専用の硬化促進剤が使用されます。

 

参考）https://www.taoka-chem.co.jp/business/pdf/catalog_cyanobond.pdf
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硬化速度を向上させる表面活性剤や白化を抑制する表面活性剤も用意されており、用途に応じて選択できます。難接着材料を接着可能にするプライマーも市販されており、ポリエチレンやポリプロピレンなどの難接着性プラスチックに対しても対応が可能です。
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石材の接着では、接着する部分が凸凹であったり、染み込みがある場合、接着する部分に促進剤をあらかじめ塗布し、乾燥後に接着剤を滴下することで接着強度を高めることができます。自動車や機械部品の接着、補修においても硬化促進剤の併用による充填・接着が行われています。
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シアノアクリレート接着剤の保管方法と使用上の注意点

シアノアクリレート接着剤を適切に保管することは、性能を維持する上で非常に重要です。開封前は冷蔵庫での保存が推奨され、開封後は乾燥剤入りのチャック付アルミパックに入れ、直射日光・高温多湿を避けて保存する必要があります。塩基性物質との混在は避けることも重要なポイントです。

 

参考）beaupro
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有効保存期間は製品によって異なりますが、一般的に冷蔵庫など(5～10℃、禁冷凍)の冷暗乾所で適切に保存した場合、3ヶ月から6ヶ月程度とされています。開封する回数が少ない場合でも、使用期限は守る必要があります。

 

参考）接着剤
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使用時の注意点として、シアノアクリレート接着剤は発熱する可能性があることを理解しておく必要があります。水分との急激な化学反応により発熱することがあり、試料片との組み合わせによっては十数秒で最高170℃近くに達する場合もあり、やけどの危険性があります。特に布やティッシュペーパーなどの多孔質素材に大量に染み込ませた場合、急激な発熱が起こりやすいため十分な注意が必要です。

 

参考）瞬間接着剤による発熱・やけどについてのお知らせ
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国民生活センター:瞬間接着剤の使用によるやけどに関する注意喚起資料

シアノアクリレート接着剤の耐久性と限界

シアノアクリレート系接着剤は強力な接着力を持つ一方で、耐久性においていくつかの限界があります。高温環境下では、主成分シアノアクリレートの重合物が熱に弱いため、接着層の分解や界面の歪蓄積などによる強度低下が起こります。一般的な汎用エチルシアノアクリレートでは、ゴムやプラスチックで80℃程度、金属で120℃程度が耐熱の上限とされる場合が多くなっています。
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水分や湿度の影響も受けやすく、これが高温と組み合わされることで影響が大きく出ることもあり、被着体によっては比較的低温かつ低湿度でも注意が必要です。さらに、シアノアクリレートの硬化物は硬くて脆いため、衝撃に対しては弱いという特性があります。エチル・シアノアクリレートは特に脆いため耐衝撃性に劣り、耐衝撃性が必要な場合はブチル・シアノアクリレートの使用が推奨されます。
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耐溶剤性についてもほぼないと言ってよく、溶剤に触れる用途には不向きとされています。ただし、これらの短所である低い耐久性を逆に活用し、再資源化を考えた場合には薬品による溶解などで剥離することも可能という易解体性の利点にもなります。
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瞬間接着剤シアノン SW 50ｇ（低粘度）