軟玉と硬玉は見た目が似ているものの、鉱物学的には全く別の物質です。硬玉(ジェダイト)の化学式はNaAlSi₂O₆で、主成分はヒスイ輝石と呼ばれる単斜輝石に分類されます。一方、軟玉(ネフライト)の化学式はCa₂(Mg,Fe)₅Si₈O₂₂(OH)₂で、透閃石-緑閃石系の角閃石グループに属する鉱物です。
参考)https://www.istone.org/jade2.html
両者が長い間同じ翡翠として扱われてきたのは、どちらも緑色で半透明または不透明の緻密な石であり、肉眼での区別が困難だったためです。18世紀まで、中国では軟玉が「玉」として珍重されていましたが、その後ミャンマーから硬玉が輸入されるようになると、鮮やかな緑色の硬玉が好まれるようになりました。
参考)ヒスイ - Wikipedia
比重にも違いがあり、硬玉は約3.3~3.5、軟玉は約2.9~3.1と、硬玉の方がやや重くなっています。この物理的特性の違いは、専門家が両者を鑑別する際の重要な指標となっています。
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モース硬度は鉱物の「傷つきにくさ」を示す指標です。硬玉のモース硬度は6.5~7で、軟玉は6~6.5とわずかに硬玉の方が高くなっています。この硬度は水晶(硬度7)とほぼ同程度で、ナイフで傷をつけることは困難です。
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しかし興味深いことに、「硬度」と「靭性(割れにくさ)」は別の概念です。硬玉と軟玉はどちらも非常に高い靭性を持ち、ダイヤモンドより割れにくいという特性があります。ダイヤモンドは単一元素が規則正しく並ぶため特定方向に弱い部分がありますが、翡翠は微結晶が不規則に絡まった多結晶体であるため、衝撃に弱い方向がなく割れにくいのです。
参考)ジュエリーこぼれ話 href="http://www.kanda-diamond.com/bbp02.php?itemid=149" target="_blank">http://www.kanda-diamond.com/bbp02.php?itemid=149amp;raquo; ヒスイ (翡翠)
この高い靭性により、縄文時代には翡翠が石斧などの実用的な道具にも使われていました。古代の遺跡から槍の穂先にヒスイを付けたものが発見されているのは、狩りの際に地面に落ちても割れにくかったためと考えられています。
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色味は両者を見分ける重要な手がかりとなります。硬玉は緑色のほかに、白、紫(ラベンダー翡翠)、青、赤、オレンジ、黄色、黒色など多彩な色のバリエーションがあります。高品質な硬玉は透明度が高く鮮やかな緑色を示し、特に透明度が高くて半透明の最上質のものは「琅玕(ろうかん)」と呼ばれます。琅玕の中でも特に透明度の優れたものは、裸石を新聞紙の上に置くと文字が透けて見えるほどです。
一方、軟玉の色は主に緑色から暗緑色ですが、硬玉に比べるとくすんだ色調のものが多く見られます。黒色や白色、灰色、黄色、褐色などの色も存在しますが、全体的に硬玉ほどの鮮やかさはありません。軟玉の白色はそれなりに美しいものの、緑色は硬玉の鮮やかさには及ばないことが多いのです。
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光沢の違いも見分けのポイントです。硬玉がガラス光沢に近い鋭い輝きを持つのに対し、軟玉は「油脂光沢」と呼ばれる、まるで表面に薄く油を塗ったようなしっとりとした輝きを持つ傾向があります。
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電子顕微鏡で観察すると、硬玉と軟玉の結晶構造には明確な違いがあります。硬玉は微細な粒状(砂糖粒状)の結晶が緻密に集合した構造を示します。一方、軟玉は細い繊維状結晶がフェルトのように絡み合う「繊維状(フェルト状)」の構造が特徴的です。軟玉を構成する透閃石-緑閃石は、アスベストにもなる鉱物と同系統であることも興味深い事実です。
参考)日本の国石|ミクロ探偵団|ミヤマ株式会社 環境分析測定href="http://www.miyama-analysis.net/micro/2020/03/Jade-micro.php" target="_blank">http://www.miyama-analysis.net/micro/2020/03/Jade-micro.phpamp;リサ…
光に透かして結晶を観察すると、石の繊維が直角に近い87度で交わっていれば硬玉、斜めの角度(124度)で交わっていれば軟玉と判別できます。
硬玉の表面には「エクボ」と呼ばれる特徴的な構造が見られることがあります。これは繊維状結晶の集合構造により部分的な硬さの違いが生じ、研磨の際に表面に極くわずか薄皮を剥がしたような構造が部分的に現れるものです。このエクボは硬玉特有の特徴として、専門家による鑑別の際に重要な判断材料となっています。
産地も両者で大きく異なります。高品質な硬玉の主要産地はミャンマーで、その他日本でも新潟県糸魚川地域などで産出されます。意外なことに、中国では硬玉は一切産出しません。中国がその流通を独占していたため「中国=硬玉」とのイメージが定着しましたが、実際には硬玉はミャンマー産が中心です。現在ではミャンマーでの産出量も減少しており、今後も硬玉の価格は高騰すると予想されています。
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一方、軟玉は世界各地で産出され、中国西域のホータン地域、台湾、カナダ、ニュージーランド、シベリアなどが主要産地です。特に中国のホータン地域で産出される軟玉は高品質で、「羊脂白玉」と呼ばれる最上質のものは非常に希少で高価値とされています。
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価値の違いは極めて顕著で、硬玉の方が軟玉より1000倍以上も高価な場合があります。軟玉には彫刻や置物としての価値はあるものの、宝石としての価値はほとんどないとされています。日本で翡翠といえば硬玉(ジェダイト)を指し、これが「本翡翠」と呼ばれる理由です。一方、中国では伝統的に軟玉を「玉」として珍重してきた歴史があり、古い時代には特に白色のものが好まれていました。
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