キャッツアイ効果が現れるためには、宝石内部の針状インクルージョンが重要な役割を果たします。針状インクルージョンとは、宝石が形成される過程で結晶内部に取り込まれた微細な鉱物や空洞のことを指し、これが平行に配列することで光の反射が起こります。具体的には、ルチルと呼ばれる針状結晶や、チューブ状の空洞が代表的なインクルージョンとして知られています。
参考)宝石の光学効果「キャッツアイ(シャトヤンシー、変彩効果)」と…
この針状インクルージョンに光が当たると、繊維状の構造に沿って光が反射されます。重要なのは、インクルージョンが一方向に平行に並んでいることで、無数の針状構造が同時に光を反射し、その反射光が集まることによって一条の明るい光の帯が形成される仕組みです。インクルージョンの長さが充分にあり、密集して存在していることも、はっきりとしたキャッツアイ効果を生み出すための必須条件となります。
参考)SUWA / 宝石辞典 / 宝石2 / 1章 / キャッツア…
トパーズなど一部の宝石では、針状に見えるものが実際には細長いチューブ状の空洞であるケースもあり、これらも同様に光を反射してキャッツアイ効果を生み出します。
参考)https://xn--jckl7co5qb5j.net/?mode=f85
キャッツアイ効果における光の反射メカニズムは、単なる表面反射ではなく、宝石内部での複雑な光学現象です。平行に並んだ針状インクルージョンに光が入射すると、各インクルージョンの表面で光が反射されます。この反射光は宝石の表面に向かって放出されますが、ここで重要なのがカボションカットの役割です。
参考)https://www.istone.org/chatoyancy.html
カボションカットのドーム状の曲面が、インクルージョンから反射された光を一点に収束させる働きをします。この収束効果により、無数の微細な反射光が一条の明るい光の帯として視覚的に認識されるようになります。光源を動かすと、この光の帯が左右に移動して見えるのは、入射角の変化に応じて反射光の収束位置が変わるためです。
興味深いことに、この光の帯が現れる位置は宝石の表面そのものではなく、表面から少し離れた内部空間です。そのため、宝石を傾けると予想以上に光の帯が大きく移動して見える現象が起こります。カボションカットの高さによっても効果の見え方が変わり、高すぎるカットでは細く明確な帯が出るものの左右の動きが少なくなり、低すぎると帯が広がってぼやけてしまいます。
| カボションカットの高さ | 光の帯の特徴 | 視覚効果 |
|---|---|---|
| 高い | 細く明確な帯 | 動きが少ない |
| 適切 | バランスの取れた帯 | 美しい移動効果 |
| 低い | 広くぼやけた帯 | 不明瞭 |
キャッツアイ効果を美しく見せるためには、カボションカットの技術が極めて重要です。カボションカットとは、宝石の表面を滑らかなドーム状に仕上げるカット方法で、下側は平ら、上側が丸く膨らんだ形状をしています。このカット法は光の反射ではなく、石そのものの光沢や内包物の美しさを生かすために用いられます。
参考)カボション・カット - Wikipedia
キャッツアイ効果を最大限に引き出すためには、宝石の底面をインクルージョンの方向に平行になるようにカットすることが必須条件です。もし底面がインクルージョンに対して傾いてカットされると、光の帯が中心からずれたり、斜めに横切ったりしてしまい、美しいキャッツアイ効果が得られません。また、カボション面の曲率も重要で、曲面が光を適切に収束させることで、シャープな光の筋が現れます。
クリソベリルキャッツアイの場合、市場に出回っているほとんどの製品がカボションカットで仕上げられています。これは、ブリリアントカットなどのファセットカットでは、針状インクルージョンによる光の反射効果が分散してしまい、一条の光の帯として認識できないためです。カボションカットの真骨頂は、まさにこうした特殊な光学効果を持つ原石の魅力を最大限に引き出す点にあります。
参考)キャッツアイ効果とは?
クリソベリルキャッツアイは、キャッツアイ効果を示す宝石の中で最も有名で、単に「キャッツアイ」と呼ばれる場合は通常この宝石を指します。クリソベリルのモース硬度は8.5で、ルビーやサファイアに次ぐ硬さを持ち、水晶よりも頑丈な性質があります。この高い硬度により、日常使用にも適した宝石として男性にも人気があります。
参考)2月の誕生石・【クリソベリルキャッツアイ】についてSt.Ma…
クリソベリルキャッツアイの最大の特徴は、非常にシャープで明確な光条です。光の帯は石の端から端までまっすぐに伸び、線がぶれることがありません。地色は半透明で、緑がかった黄色や褐色が一般的ですが、最高品質のものは「蜂蜜色(ハニーカラー)」と呼ばれます。光源を動かすと、光に近い側がハニーカラーに、遠い側が半透明なミルキー色に見える色の変化も珍重される特徴です。
参考)キャッツアイが現れる宝石の種類と見分け方を【プロが徹底解析】…
興味深いことに、クリソベリルはアレキサンドライトと同一の鉱物であり、稀に変色効果とキャッツアイ効果の両方を持つ「アレキサンドライトキャッツアイ」も存在します。クリソベリルキャッツアイの主な産出地はスリランカ、タンザニア、ブラジル、インドで、特にスリランカは古くから知られた産地です。スリランカでは「悪魔から身を守る宝石」として信じられてきました。
SUWA - 諏訪貿易株式会社の宝石辞典では、クリソベリルキャッツアイの詳しい鑑別ポイントや品質評価について解説されています
キャッツアイ効果はクリソベリル以外にも、多くの宝石で観察される現象です。代表的な宝石としては、トルマリン、アパタイト、オパール、ムーンストーン、アクアマリン、エメラルドなどが知られています。準貴石としては、クォーツ、タイガーズアイ、ホークスアイなども挙げられます。これらの宝石では、宝石名の後に「キャッツアイ」をつけて呼ぶのが通例です。
参考)宝石の特殊効果~キャッアイ効果・スター効果・遊色効果・シラー…
各宝石のキャッツアイ効果には微妙な違いがあります。例えば、オパールキャッツアイの場合、石の内部にある繊維状組織が密接に一方向に並ぶことで効果が現れますが、クリソベリルとは異なる柔らかな輝きを持ちます。トルマリンキャッツアイは色彩が豊富で、ピンク、緑、青など様々なカラーバリエーションがあります。
参考)キャッツアイ宝石の色と種類|キャッツアイになる理由と代表宝石…
見分け方の工夫として、クリソベリルキャッツアイは光条が非常にシャープで明確であることが特徴的で、他の宝石ではここまで鮮明な一条の光は現れにくいとされます。また、地色や比重を利用した「浮沈法」などの鑑別技術により、石の種類を絞り込むことができます。キャッツアイ効果を持つ宝石は、見る角度や光の加減によって美しさが変化するため、実際に手に取って様々な角度から観察することが重要です。
参考)キャッツアイ・シャトヤンシー特集
| 宝石名 | 特徴 | 色彩 |
|---|---|---|
| クリソベリルキャッツアイ | 最もシャープな光条 | 蜂蜜色、褐色 |
| トルマリンキャッツアイ | 色彩が豊富 | ピンク、緑、青など |
| アパタイトキャッツアイ | 希少性が高い | 青、緑系 |
| オパールキャッツアイ | 柔らかな輝き | 多彩 |
実際に宝石を購入する際には、光源を当ててキャッツアイ効果の明確さを確認し、光の帯が中心にくっきりと出るものを選ぶことが推奨されます。商品ページの動画などで、光の帯の移動する様子を確認するのも効果的な選び方です。
カラッツ Gem Magazine - キャッツアイ宝石の色と種類について、豊富な写真とともに詳しく解説されています

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