ハイドロキシアパタイトは歯のエナメル質の約97%を構成する主要成分であり、歯磨き粉に配合することで歯の健康維持に直接働きかけます。薬用ハイドロキシアパタイトは約50ナノメートルという超微細粒子で、歯の表面に存在するミクロの傷や凹凸に入り込み、歯垢を物理的に吸着除去する特性を持っています。この吸着作用により、虫歯の原因菌であるミュータンス菌の棲み処となるプラークを効率的に取り除くことができます。
参考)ハイドロキシアパタイトの効果は?市販の歯磨き粉も紹介
ポーランドのポズナン医科大学が行った臨床研究では、ハイドロキシアパタイト入りの歯磨き粉の虫歯予防効果が、1956年以来使用されているフッ素入りの歯磨き粉と同程度であることが示されました。試験終了時点で虫歯が増えていなかった人の割合は、ハイドロキシアパタイト群が89.3%、フッ素群が87.4%という結果でした。日本国内の研究でも、同成分配合歯磨き剤を使用した群は、プラセボ群と比べて男子では36%、女子では56%という優れた虫歯抑制率が確認されています。
参考)薬用ハイドロキシアパタイト|株式会社サンギ 公式企業サイト
株式会社サンギの公式サイトでは、薬用ハイドロキシアパタイトの虫歯予防メカニズムと長年の研究成果が詳しく解説されています
歯のエナメル質は日常的に「脱灰」と「再石灰化」を繰り返しています。脱灰とは、食事や飲料に含まれる酸によって歯の表面のミネラル(カルシウムやリン酸)が溶け出す現象です。通常は唾液に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンが酸を中和し、歯のエナメル質を修復する「再石灰化」が起こります。
参考)再石灰化 | APAGARD
ハイドロキシアパタイト配合歯磨き粉は、この再石灰化プロセスを強力にサポートします。ナノサイズのハイドロキシアパタイト粒子が、エナメル質表層の極めて微細な穴を通過し、初期虫歯(ホワイトスポット)のスカスカになった部分にミネラルを補給します。歯の表面に存在するリンタンパク質は通常、カルシウムイオンなどが結合するのを妨げますが、初期虫歯の内部にはこの阻害物質が存在しないため、効果的に再石灰化が進行します。
参考)楽天市場
従来のフッ素がエナメル質表面にフッ化アパタイトを形成して間接的に再石灰化を促すのに対し、ハイドロキシアパタイトは歯と同じ構成成分であるため、エナメル質と象牙質に直接再石灰化を促進できる点が大きな特徴です。
参考)https://davids-usa.jp/pages/hydroxyapatite
アパガード公式サイトの再石灰化のメカニズム解説では、初期虫歯の修復プロセスが図解で分かりやすく説明されています
ハイドロキシアパタイトは、歯の白さを取り戻す効果も持ち合わせています。歯の表面には目に見えないミクロの傷が存在し、これらの傷に色素やプラークが入り込むことで、歯が黄ばんで見えてしまいます。薬用ハイドロキシアパタイトはこのミクロの傷を埋めて修復し、歯の表面を滑らかに整えることで、光の反射が均一になり、歯本来の自然な白さが戻ります。
参考)ホワイトニング効果のある歯みがき粉とは? href="https://www.ito-dc-nagoya.jp/whitening-effect/" target="_blank">https://www.ito-dc-nagoya.jp/whitening-effect/amp;#8211; 名…
さらに、歯の表面がなめらかになることで、コーヒーやワイン、タバコのヤニなどによる新たな着色汚れが付着しにくくなる予防効果も得られます。ナノハイドロキシアパタイトは歯の表面をコーティングし、ステイン(汚れ)の沈着を物理的に防ぐバリア機能を発揮します。
参考)https://fs-eiko.co.jp/products/apatite
海外の研究では、ハイドロキシアパタイト含有歯磨き粉を使用したホワイトニング効果が検証されており、ナノ粒子の濃度が高いほど漂白効果が優れていることが確認されています。市販のホワイトニング歯磨き粉では、ハイドロキシアパタイトとポリリン酸ナトリウムなどの成分を組み合わせることで、より高い着色除去効果を実現している製品も登場しています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9361657/
ハイドロキシアパタイトとフッ素は、どちらも虫歯予防に効果的な成分ですが、そのメカニズムと特性には明確な違いがあります。フッ素は再石灰化効果と歯質強化、抗菌作用に優れており、特にエナメル質表面にフッ化アパタイトという酸に強い層を形成する点で高い評価を得ています。一方、ハイドロキシアパタイトは歯と化学的に同一の成分であるため安全性が高く、着色やバイオフィルム(歯垢)対策において優位性があります。
参考)フッ化物とハイドロキシアパタイトの違いは? - 表参道の歯医…
フッ素を避けたい方や、より自然な成分でケアしたい方には、ハイドロキシアパタイト配合の歯磨き粉が適しています。特に小さなお子様や妊娠中の方、フッ素の毒性や副作用を懸念される方にとって、薬用ハイドロキシアパタイトは安心して使用できる選択肢となります。
参考)虫歯の最大予防はハイドロキシアパタイト配合歯磨剤
一方で、高濃度フッ素配合歯磨き粉(1450ppm)は、虫歯予防を最優先する場合に推奨されます。知覚過敏がある方には、研磨剤なしで知覚過敏ケア成分を配合したタイプや、ナノハイドロキシアパタイト配合のものが有効です。ナノハイドロキシアパタイトは象牙細管の微細な穴を塞ぎ、刺激の伝達をブロックする効果が期待できるためです。
参考)【2025年最新版】フッ素入り歯磨き粉おすすめ10選!効果・…
ドルミーレ表参道歯科のコラムでは、フッ化物とハイドロキシアパタイトの効果比較表が掲載されており、成分選びの参考になります
ハイドロキシアパタイト配合歯磨き粉の効果を最大限に引き出すには、正しい使用方法が重要です。まず、歯ブラシに適量(約1.5~2cm程度)を取り、口腔内全体にペーストが行きわたるように意識しながらブラッシングします。薬用成分が歯の表面に作用するよう、1本1本の歯を丁寧に磨くことが大切です。
参考)よくある質問|アパガード公式通販 SANGI SHOP
強い力でのブラッシングは避け、優しい力で歯と歯ぐきをケアしてください。強くこすりすぎると、歯ブラシで歯ぐきや歯を傷つける可能性があります。特に研磨剤を使用しすぎると、アパタイト結晶自体を傷つけてしまうため注意が必要です。
参考)歯を強く!歯の再石灰化
歯磨き後のすすぎは、少量の水で軽く行うのがポイントです。過度にすすぎすぎると、せっかくの有効成分が流れてしまいます。また、歯と歯の間にもペーストが行きわたるよう、歯間ブラシやフロスとの併用も効果的です。
参考)アパガードリナメル - 株式会社オーラルケア
ハイドロキシアパタイト配合歯磨き粉は、朝晩の歯磨きだけでなく、食後の使用も推奨されます。食事後は口腔内が酸性に傾き、脱灰が起こりやすい時間帯です。このタイミングでハイドロキシアパタイトを補給することで、再石灰化プロセスをより効率的にサポートできます。
参考)アパデント|APADENT
アパガード公式通販のよくある質問ページでは、効果的な歯磨き方法と使用量について詳しく説明されています