皇室御用達の陶器ブランドの中でも特に有名なのが、大倉陶園、香蘭社、深川製磁、辻精磁社です。大倉陶園は1919年に創業し、「良きが上にも良きものを」という精神のもと、現在の天皇皇后両陛下のご成婚時にも晩餐会の食器を納めた実績を持ちます。香蘭社は1879年創業の有田焼の老舗で、1896年に宮内省御用達の栄を授かりました。深川製磁は明治27年創業で、パリ万国博覧会で最高賞のメダーユドールを獲得し、宮内庁御用達として認められています。
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辻精磁社は霊元天皇の時代に禁裏御用窯元となり、日本で初めて磁器食器を皇室に納めた唯一の「禁裏御用窯元」です。明治から昭和初期まで宮内省御用達、戦後は宮内庁御用達を拝命し、現在も皇室御用窯元として活動しています。これらのブランドは、それぞれが独自の製法と美意識を持ち、皇室の格式にふさわしい最高品質の陶磁器を製作してきました。
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皇室御用達の老舗は、数百年の歴史を持つものも少なくありません。例えば塩瀬総本家は1349年創業で、室町時代から天皇家の御用達として足利将軍家や織田信長、豊臣秀吉、徳川家康も食したと伝えられています。黒江屋は1689年創業、虎屋も江戸時代から続く和菓子の老舗として知られています。
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これらの老舗が長く続いてきた理由は、品質への絶対的なこだわりと、宮内庁御用達であることへの誇りと責任です。制度として発足した1891年当時は「宮内省御用達」と呼ばれ、商品の品質はもちろん、宮内省への納入実績や信用など厳しい審査を通ったものだけが名乗ることを許されました。御用達を承るには厳しい審査があり、宮内庁に品質や信頼を認められた業者のみが名乗ることができたのです。
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宮内庁御用達制度は、明治24年(1891年)に宮内省による産業奨励政策の一環として始まりました。当初は2年以上同じ営業に従事していること、博覧会などで優れた商品と認められたこと、これらの経歴が公的機関の文書で証明されることが条件でした。しかし御用達を店の宣伝に利用する業者が増えたため、昭和10年(1935年)に制度を改め、5年以上宮内省に出入りした業者であること、称標の有効期限を5年とすることなどが追加されました。
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第二次世界大戦を経て宮内省は昭和24年(1949年)に宮内庁となり、「宮内省御用達」は「宮内庁御用達」に変わりました。さらに昭和29年(1954年)に制度そのものが廃止され、現在に至ります。廃止の具体的な理由は公表されていませんが、皇室の権威にあやかりたい業者からの売り込みが激しくなったためではないかといわれています。
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皇室御用達の陶器は、色の白さ、磁器質の硬さ、肌のなめらかさが特徴です。大倉陶園では最高級のカオリンという原材料を使用し、世界でも類を見ない1460度の高温で本焼するなど、他を圧倒する技法で作られています。日本画の技法を用いた手書きの繊細さは群を抜いており、白磁の皿に描かれた花は、本当にそこに存在するかのような美しさを持ちます。
参考)皇室御用達!大倉陶園の歴史と魅力
深川製磁は透き通るような青色の染付と赤絵を特徴とし、この青色の染付はフカガワブルーと呼ばれ多くの人に親しまれています。欧州の人々のために日本美の追求を意識してデザインされ、歴史的なデザインとインターナショナルな絵付けが魅力となっています。香蘭社は有田焼の伝統である白磁の美しさや繊細な絵付けの技術を継承しながら、アール・ヌーヴォーなどの西洋の美術様式を取り入れた独自の華やかでエレガントなデザインを確立しました。
皇室御用達の品を選ぶ際は、格式とブランドの信頼性を重視することが重要です。皇室にゆかりのあるブランドを選ぶことで、品質やデザインの信頼性が高まります。素材の品質も見逃せないポイントで、上質な原料や伝統工芸の技術が活かされた素材を選ぶと、長く愛用できます。
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デザインの品格とフォーマル性も求められます。フォーマルな場面にふさわしい洗練されたデザインが特徴的です。職人技による精巧な仕立ても、品質の高さを決定づける要素となります。宮内庁御用達には献上と納入の2種類があり、業者から無料で提供する「献上」と、官需要に基づき宮内庁の予算でお買い上げいただく「納入」に分かれます。
参考)宮内庁御用達 - 陶磁器 うつわのセレクトショップ 東京 赤…
皇室御用達の品は、意外にも私たちの身近に多く存在し、オンラインショッピング等を通じて気軽に商品を購入することができます。大倉陶園や深川製磁は公式オンラインショップを運営しており、ブルーローズシリーズやフカガワブルーの製品など、代表的なシリーズを購入できます。楽天市場などのモールでも皇室御用達の商品が多数取り扱われており、価格比較やレビューを参考にしながら選ぶことができます。
参考)【楽天市場】皇室 御用達の通販
陶香堂のような宮内庁御用達の陶磁器セレクトショップも存在します。陶香堂は1949年に御用達を拝命し、制度廃止後も1961年の吹上御所完成時や1990年の即位の礼に際して食器を納めるなど、現在までに皇室・各省庁に3万点以上のうつわを納めてきました。食品や日用雑貨など手が届くものも多く、令和の時代にふさわしいギフトとしても最適です。
参考)大切な人への贈り物に!「皇室ゆかりの逸品」伝統と信頼の25品…
大倉陶園公式サイト - 高級洋食器の製造販売と歴史が詳しく紹介されています
深川製磁公式サイト - 有田焼の伝統と革新の陶磁器ブランド
香蘭社公式サイト - 有田焼の老舗窯元の製品と歴史