珪質(けいしつ、siliceous)とは、成分として珪素(Si⁴⁺)を含む岩石や鉱物に用いられる性質を表す地質学用語です。珪素の頭文字にちなんで名付けられたこの用語は、珪長質の類義語としても使われ、対義語は苦鉄質となります。
参考)珪質 - Wikipedia
珪質な岩石には花崗岩、流紋岩、片麻岩、砂岩、白色凝灰岩などが含まれます。地質学において、「珪」は二酸化珪素(すなわち石英)を、「長」は長石を表しています。つまり石英や長石に富み、鉄やマグネシウムには乏しい岩石を珪質と呼ぶのです。
参考)用語の解説|地質を学ぶ、地球を知る|産総研地質調査総合センタ…
珪質岩石の中でも特に重要なのが、海洋底に沈殿した珪質プランクトンの集合が石英の集合体となったチャートです。チャートは火打ち石にも使われるほど、地表では最も硬い岩石のひとつとして知られています。
参考)https://kinmiraisha.com/sub-02-intro/int-26-chart.htm
チャートの形成メカニズムは、深海底における珪質生物遺骸の集積によって説明されます。放散虫などの珪質プランクトンの骨格はオパールと呼ばれるSiO₂から構成されており、これが海底に堆積した後、長い年月をかけて石英の集合体へと変化していきます。
参考)301 Moved Permanently
層状チャートの形成については、主たるシリカ部と境界となる粘土の薄層によって層構造が形成されるという特徴があります。この層状構造は以下のような特性を持ちます:
参考)https://sgul.repo.nii.ac.jp/record/2793/files/JB-101-031.pdf
参考)https://researchmap.jp/yoshikoi_56/published_papers/16468374/attachment_file.pdf
中・古生代のチャートの多くは、CCD(炭酸塩補償深度)を超えるような深海底で形成され、プレートにより移動し、大陸縁辺部に付加したと結論されています。日本列島の成立史においても、チャートは付加体地質学の重要な研究対象となっています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosocabst/2010/0/2010_0_48/_pdf/-char/ja
国立科学博物館の珪質堆積岩に関する詳しい解説
日本国内における珪質岩石の分布は、地質構造と密接に関連しています。丹波帯には古生代石炭紀からジュラ紀新世に至る丹波層群が分布し、その中の三畳紀層状チャートが重要な珪質岩石として知られています。特に京都市右京区保津峡、南丹市美山町五波谷林道、河内谷林道などで典型的な露頭が観察できます。
参考)砥石型珪質頁岩および炭素質珪質頁岩|京都府レッドデータブック…
珪質頁岩の分布に関しては、新第三紀中新世後期の女川層の分布が顕著な日本海側に多く分布する傾向があります。山形県を中心とする地域では、凝灰岩内にノジュールとして形成された珪質頁岩が産出し、これらは先史時代の石器材料として重要な役割を果たしてきました。
参考)https://www.gmnh.pref.gunma.jp/wp-content/uploads/bulletin22_7.pdf
参考)https://www.nihonkaigaku.org/library/group/i090401-t5.pdf
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/shigentosozai1953/83/946/83_946_341/_pdf
岩手県では129の鉱山が稼働しており、珪石が製鉄、セメント工業、化学工業用の主原料として県内外に供給されています。年間90,000トン以上が生産され、珪素鉄や金属珪素鉄の原料として利用されているのです。
珪質鉱物・岩石は資源として扱われる際に「珪石」という鉱石名で呼ばれます。鉱物としては石英、岩石としてはチャート、珪質砂岩、珪岩、石英片岩などが珪石に分類されます。
参考)珪石 - Wikipedia
石英を成分とする砂は珪砂(けいしゃ・けいさ)と呼ばれ、石英を主体としたケイ化物からなる鉱石が珪石です。珪石は軟珪石と硬珪石に大別され、それぞれ異なる用途に利用されています。
参考)石英 - Wikipedia
⚙️ 珪石の種類と等級
珪石は産業用として注目されており、炉材としての利用価値が高いです。日本各地で層状チャート中の黒色のマンガン鉱床が採掘されてきた歴史があり、チャートとマンガン鉱床の密接な関係も知られています。
三畳紀の層状チャートの基底部には砥石型珪質頁岩があり、その中に黒色珪質頁岩が挟在します。この炭素質珪質頁岩は炭素含有量が極めて高く、三畳紀初頭における海洋の嫌気的環境または海洋生物の大量死等のイベントを示すものとして地質学的に重要です。
珪石・珪砂は現代産業において極めて広範な用途で利用される重要な鉱物資源です。主要な産業利用分野としては、セメント製造、ガラス工業、陶磁器製造、半導体産業などが挙げられます。
セメント製造においては、大量の石灰石と粘土に少量の珪石と鉄滓をそれぞれ細かく粉砕し、混合した後に焼成することでセメントクリンカーを得ます。これを少量の石膏と混ぜて粉砕することでセメントが完成するのです。
🏭 産業別の珪石利用
農薬キャリアとしての利用は特に興味深い応用例です。微粉砕した珪石の粉に薬剤をコーティングしたものが市販の農薬として販売されており、珪石自体には何も効能はありませんが、農薬の効能以外に農地へ影響を与えることなく散布できる点が利点となっています。
また、ニューセラミックス原料としての利用も近年拡大しています。チャートは珪石として古くから陶磁器原料粉砕用、耐火煉瓦材などに使用されてきましたが、技術革新により電子基板の添加剤など高度な用途にも展開されているのです。
珪石の採掘と加工を行う専門企業の詳細情報
珪質鉱石は、その硬度と化学的安定性から、産業の基盤を支える重要な資源として今後も需要が継続すると予測されます。特に半導体産業における高純度シリコンの需要増大に伴い、良質な珪石資源の確保がますます重要になっていくでしょう。

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