グラスウール断熱材の断熱性能は、厚さに直接比例して向上します。 密度や繊維の太さが同じ製品であれば、75mmより100mmの方が断熱効果が高くなるという明確な法則があります。 これはグラスウールが空気層を多く含む構造であるため、厚みを増すことで熱の移動を遮断する空気室が増加するためです。
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断熱性能を示す指標には熱伝導率(λ値)と熱抵抗値(R値)の2つがあります。 熱伝導率は断熱材の厚さが1mにおける値のため、実際の断熱性能を評価するには厚さも考慮した熱抵抗値(R値)で判断する必要があります。 R値は「断熱材の厚さ÷熱伝導率」で計算され、この数値が大きいほど優れた断熱性能を持つことになります。
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高性能グラスウールは通常品よりも細い繊維径4~5マイクロメートルで製造されており、繊維本数が約4倍、空気室の大きさが約4分の1になるため、同じ厚さでもより高い断熱性能を発揮します。 例えば高性能グラスウール16Kの熱伝導率は0.038W/m・Kで、通常グラスウール16Kの0.045W/m・Kよりも優れています。
参考)https://www.isover.co.jp/products/glasswool/insulation
グラスウール断熱材の推奨厚さは、施工部位によって大きく異なります。天井は最も厚い断熱材が必要とされ、断熱等級5以上を目指す場合、3~7地域では熱抵抗値R4.4以上が基準となり、厚さ170mm以上の製品が推奨されます。 さらに高断熱住宅では厚さ250mm、熱抵抗値7.1㎡・K/Wを達成する製品も登場しています。
参考)https://materialpedia.net/html/user_data/pdf/0112_AFGCS567.pdf
壁の断熱では、6・7地域でG1性能を実現する場合、普通のグラスウール16Kで105mm厚が標準的です。 ただし北海道など寒冷地では付加断熱が必要となり、より厚い施工が求められます。 高性能グラスウール36K製品なら105mm厚で断熱等級6の基準をクリアできます。
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床断熱については、ネオマフォームなど高性能素材では45mm程度で十分ですが、グラスウールの場合は根太床で95mm程度の厚さが必要になります。 外気に接する床では、断熱等級を上げるため121mmの専用ボード製品も用意されています。 断熱材の厚さ選定では、地域区分と目指す断熱等級に応じた熱抵抗値基準を満たすことが重要です。
参考)グラスウールかんたん商品選定
グラスウール断熱材の断熱性能は、密度と厚さの組み合わせで決まります。密度は1m³あたりの重量kgで表され、10K~96Kまで多くの種類が用意されており、数値が大きいほど断熱性が高くなります。 密度が増えるとグラスウール中の空気室がより細分化され、熱が移動しにくくなるためです。
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同じ厚さでも密度が異なると断熱性能に差が生じます。例えばグラスウール10Kの熱伝導率は0.050W/m・K以下ですが、24Kになると0.040W/m・K以下まで向上します。 さらに高性能グラスウールでは、通常品16Kの0.045に対し、高性能16Kは0.038と約15%も性能が向上します。
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最適なバランスは用途によって変わります。住宅用では高性能グラスウール16Kが最もポピュラーで、新築からリフォームまで幅広く対応できます。 壁には16K~24K、天井には16K~20K、床には20K~24Kの密度が一般的に選ばれます。 密度を上げるとコストも上昇するため、必要な断熱性能と予算を考慮し、適切な密度と厚さの組み合わせを選択することが重要です。
参考)グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、…
グラスウール断熱材のコストは厚さや密度に応じて変動します。断熱等級4から6へグレードアップする場合、材料費だけで約60万円の差額が発生します。 しかし防湿シートの施工費やサッシのグレードアップを含めると、実際には200万~300万円のコストアップになる可能性があります。
参考)断熱等級を上げる時のコストとグラスウールの厚みと性能はどの位…
厚さを増やした投資の回収年数も重要な検討ポイントです。断熱等級5への投資は年間光熱費削減により約1年で回収できますが、等級6では12~18年かかります。 他の断熱材と比較すると、グラスウールは最も経済的で、セルロースファイバーはグラスウールの約2.5倍、ロックウールは約1.1倍のコストとなります。
参考)断熱材ランキングTOP9|性能・施工性・価格を徹底比較
施工時の注意点として、グラスウールは隙間なく充填することが最も重要です。 柱や梁の間にぴったりと施工し、圧縮しすぎないよう適切な厚さを保つ必要があります。 また室内側に防湿層を連続させることで、壁体内への湿気侵入を防ぎます。 防湿層の連続性が損なわれると断熱欠損となり、結露や構造体の腐食原因になります。 施工者は適切な防護具(マスク、手袋、ゴーグル)を着用し、安全に作業することも欠かせません。
参考)グラスウールの断熱施工マニュアル||グラスウール断熱材・吸音…
グラスウール断熱材は、ガラスを主原料として製造される鉱物繊維です。原料には硅石(SiO2)が主成分として使われ、副原料として長石、石灰岩、苦灰岩、ソーダ灰、ほう砂などの鉱石が加えられます。 興味深いことに、現代のグラスウールは主に資源ごみからなるリサイクルガラスを使用しており、環境配慮型の断熱材として注目されています。
参考)ロックウールとグラスウールの違いとは?断熱性能・耐熱性能・吸…
製造プロセスでは、これらの鉱石原料を高温で溶かし、髪の毛よりも細い繊維に加工して綿状に成形します。 通常のグラスウールの繊維径は平均7~8μm程度ですが、高性能グラスウールでは4~5μmまで細くなります。 この繊維の細さが、断熱性能を大きく左右する要因となっています。
グラスウールと類似の断熱材であるロックウールは、玄武岩などの天然岩石や溶鉱炉で生成された溶融スラグといった鉱物を原料とします。 両者は原料の鉱石が異なりますが、いずれも無機質の鉱物繊維であるため不燃性が高く、火災に強い特性を持ちます。 このように、グラスウール断熱材は鉱石資源を有効活用した建材であり、リサイクルガラスの利用により持続可能性も高い製品といえます。
参考)http://downloads.hindawi.com/journals/amse/2017/3938965.pdf
グラスウール(短繊維)の特長/断熱性 - 硝子繊維協会
断熱性能の基本原理や密度・繊維径と断熱性能の関係について詳しく解説されています。
グラスウールの断熱施工マニュアル - 旭ファイバーグラス
施工方法や気密・防湿層の施工ポイントなど、実務に役立つ情報が充実しています。
断熱性 - マグ・イゾベール株式会社
高性能グラスウールの断熱メカニズムや
高性能グラスウールの断熱メカニズムや繊維構造の詳細が図解付きで紹介されています。

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