エッグコドラーは「卵を調理するだけの道具」だと思っていませんか?実は食洗機に入れると、陶器が内部から割れて修復不能なダメージを受けます。

エッグコドラーを初めて見た人の多くは、「可愛いジャムの瓶かな?」と思うようです。それほどこの器は、調理道具らしくない愛らしい見た目をしています。ところが正体は、イギリスを代表する卵料理「コドルドエッグ」を作るための専用調理器。見た目と用途のギャップが大きいのも、この器の魅力のひとつです。
エッグコドラーを世に広めたのは、イギリスのウスター市で1751年に創業した老舗陶磁器メーカー「ロイヤルウースター(Royal Worcester)」です。陶磁器メーカーとして初めて英国御用達の称号「Royal」を冠した名窯であり、エッグコドラー専用器を初めて商品化したことでも知られています。ウスターソースで有名なあのウスター市と同じ場所で生まれた、というのも興味深い話です。
「coddle(コドル)」という言葉自体に「とろ火で煮る」という意味があります。つまり器の名前そのものが調理方法を表しているのです。これは英語圏らしい、実用的な命名センスといえます。
現在ロイヤルウースターは新品のエッグコドラーを製造していません。そのため流通しているものはすべてヴィンテージ品となっており、アンティーク市場での平均落札価格はヤフオクで約4,300円前後です。レアなパターンやジャンボ・マキシムサイズになると2万円を超えることもあります。「こんなに小さな陶器が?」と驚く方も多いでしょうが、これが現実の市場価格です。
ロイヤルウースター以外にも、ウェッジウッドや現代のブランドでも作られています。陶器好きにとっては、器を集めながら料理も楽しめる一石二鳥のアイテムだといえます。
キヤアンティークスのエッグコドラー紹介記事(ロイヤルウースターの歴史とレシピ紹介)
エッグコドラーの使い方はシンプルですが、いくつかのポイントを知っているかどうかで仕上がりが大きく変わります。基本の手順を確認しましょう。
まずエッグコドラーの内側全体に薄くバターを塗ります。これには2つの目的があります。ひとつは食材のこびりつきを防ぐこと、もうひとつはコドルドエッグ独特のコクと風味を生み出すことです。卵が大きい場合は蓋の内側にもバターを薄く塗っておくと、仕上がりがきれいになります。
次に卵を1個割り入れ、塩・こしょうを少々ふります。蓋をしっかり締めたら、鍋で沸騰させたお湯の中へ。このとき重要なのがお湯の量です。コドラーの肩の部分(蓋のギリギリ下)まで浸かる深さが理想的で、蓋の中にお湯が入らないよう注意します。
| 火加減 | 湯煎時間 | 仕上がり |
|---|---|---|
| とろ火〜弱火 | 約6〜7分 | 白身やわらか・黄身とろとろ |
| 弱火 | 約8〜10分 | 白身しっかり・黄身半熟 |
| 弱火 | 約12〜15分 | 全体しっかり固め |
ここで一点、注意が必要です。お湯は沸騰直後の状態ではなく、ぐつぐつと激しく煮立てないことがポイントです。激しく沸騰した状態で入れると、陶器への熱衝撃が強すぎてひびが入る原因になります。沸騰後に火を少し弱め、「コトコト」とした穏やかな状態を保つのが正解です。
お湯から取り出すときはコドラー上部の金属リング(つまみ)を使います。ここは素手で持てる温度ですが、念のため布巾を使うと安心です。つまりリングは「飾り」ではなく、熱いお湯から取り出すための実用パーツです。これを知らずに本体を直接つかんで火傷しそうになった方もいるようなので、ぜひ覚えておいてください。
エッグコドラーの面白さは、シンプルな卵料理だけにとどまらない点にあります。小さな密閉容器という構造を活かして、さまざまなアレンジが楽しめます。これは使えそうです。
基本のコドルドエッグに少しだけ具材を加えることで、味のバリエーションが一気に広がります。器が小さいので、食材は細かく刻んで少量入れるのがポイントです。以下の6つは特に試しやすいアレンジです。
食材選びの基本は「火が通りやすい食材を細かく切る」ことです。生のじゃがいもや根菜などは湯煎7〜10分では中まで火が通りにくいため、あらかじめ軽く火を通したものを使うか、薄切りにして入れましょう。
大きいサイズ(キングサイズ・マキシムサイズ)を使う場合は、卵1個+具材を多めに入れても程よい量に仕上がります。小さいスタンダードサイズで具材をたっぷり入れると、卵が蓋に触れてうまく調理できないことがあるので注意しましょう。具材は少量が基本です。
陶器製のエッグコドラーは、お手入れの方法を間違えると見た目も機能も損なってしまいます。特に気をつけたいのが食洗機の使用です。
陶器は磁器と異なり、素地が多孔質(小さな穴が無数にある構造)です。この構造のため、陶器は水分を吸収しやすいという特徴があります。食洗機で洗うと、まず高温の水流が陶器内部にまで浸透します。その後の高温乾燥工程で内部の水分が急膨張し、これがひびや破損の直接原因になります。長く使えば使うほど、ダメージは蓄積します。
食洗機はNG、が原則です。
さらにロイヤルウースターのエッグコドラーの多くには、金属製のスクリュートップ(蓋部分の金属リング)が付いています。食洗機の強アルカリ性洗剤と高温は金属の腐食や変色を引き起こすため、この面でも食洗機は避けるべきです。また、器同士がぶつかって欠ける原因にもなります。
正しい洗い方はシンプルです。
はじめて使う前には「目止め」をするのも効果的です。米のとぎ汁に陶器を入れて10〜20分程度弱火で煮ると、陶器の細かい穴が塞がれ、汚れや臭いが染み込みにくくなります。アンティーク品を大切に使いたいなら、ひと手間かける価値があります。
Studio1156「陶器・磁器は食洗機で使えるの?」(陶器がNG理由を詳しく解説)
エッグコドラーの世界には、料理好きとは別のもうひとつのファン層が存在します。陶器コレクターです。実はエッグコドラーは、コレクションとしての奥深さで世界中に熱心なファンを持っています。
ロイヤルウースターのエッグコドラーだけでも、サイズは4種類(スタンダード・キング・ジャンボ・マキシム)、そしてバックスタンプ(底面の刻印)や製造年代・スクリュートップの仕様の違いを含めると、イギリス製だけで30種類以上の分類が存在します。加えてパターン(柄)の種類は膨大で、花柄・鳥柄・風景柄など数百種類以上が作られました。つまり、同じ「エッグコドラー」であっても、一つとして同じものがないに等しいのです。
サイズ感でいうと、スタンダードサイズはちょうど手のひらに収まるくらい(高さ約7〜8cm程度)、マキシムサイズはマグカップほどの大きさです。並べて飾ると、陶器棚がぐっと華やかになります。
入手先は主に以下の3つです。
注意点が一つあります。eBayで購入する場合、「未使用品」と書かれていても中古品が届くケースが報告されています。購入前に商品の写真をよく確認し、売り手の評価も必ずチェックする習慣をつけましょう。またジャンボサイズとマキシムサイズは外見が似ているため、台座部分の形状で見分けることが重要です。慣れてくると写真だけで判別できるようになるといいますが、最初は難しいかもしれません。
もし本格的にコレクションを始めるなら、まずはスタンダードサイズのロイヤルウースターを1〜2個入手してみることをおすすめします。スタンダードサイズが最も流通量が多く、価格も比較的手ごろだからです。気に入ったパターンをひとつ手に入れるだけで、朝食の時間がぐっと楽しくなるはずです。
エッグコドラーの紹介サイト「田舎暮らし」(サイズ別・刻印別のコレクション情報が詳しい)

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