茶碗袋の作り方|仕覆・御物袋の手順と生地選びのコツ

大切な茶碗を守る袋「仕覆」や「御物袋」の作り方を、採寸・生地選び・縫い方・紐の結び方まで丁寧に解説。初めて茶碗袋を手作りしたい方は必見です。あなたの茶碗に本当に合う袋の選び方、知っていますか?

茶碗袋の作り方|仕覆・御物袋を手作りする全手順

布を縦半分に折っただけでは、茶碗が底抜けして取り出せなくなることがあります。


🎋 この記事でわかること
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茶碗袋の種類と使い分け

「仕覆(しふく)」と「御物袋(ごもつぶくろ)」の違いを知り、目的に合った袋を選べるようになります。

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採寸・生地選びから縫い方まで

直径・高さ・周囲長の3つを測るだけで生地サイズが算出できます。金襴や縮緬の選び方も丁寧に解説します。

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紐の結び方と仕上げのコツ

「つゆ結び」「つがり糸」など、仕覆らしい仕上げのための紐使いを、初心者にもわかりやすく説明します。


茶碗袋の作り方を始める前に:仕覆と御物袋の違い


茶碗袋を作ろうとしたとき、まず迷うのが「仕覆(しふく)を作るのか、御物袋(ごもつぶくろ)を作るのか」という点です。どちらも茶碗を入れる袋ですが、役割が根本的に異なります。この違いを最初に押さえておくことで、作業の方向性がまったく変わってきます。


「仕覆」は、茶席の場で茶碗や茶入れとともに拝見に出される、いわば晴れ着のような袋です。金襴・緞子・間道といった華やかな名物裂(めいぶつぎれ)が使われることが多く、茶道具と一体となった美しさを演出します。底があり、ダーツを縫って器の形にぴったり沿わせるのが特徴です。茶席で「器の顔」とも言える存在です。


一方「御物袋」は、茶碗を箱に収めて保管するための袋で、基本的に表舞台には出ません。縮緬や羽二重などの柔らかい生地に薄綿が入った、部屋着のようなものだと考えると分かりやすいです。底とダーツを縫わないため、広げると完全な平面になります。浅い平茶碗や形のイレギュラーな器にも対応しやすく、保管用として非常に実用的です。


つまり「仕覆」は茶席に出る外出着、「御物袋」は自宅での保管用です。


| 種類 | 用途 | 生地 | 構造 |
|------|------|------|------|
| 仕覆(しふく) | 茶席で拝見に出す | 金襴・緞子・間道など | 底あり・ダーツあり |
| 御物袋(ごもつぶくろ) | 保管・箱への収納 | 縮緬・羽二重など | 底なし・平面構造 |


裏千家では「茶碗荘(ちゃわんかざり)」のお点前のとき、初座の床の間に御物袋に入れた茶碗を荘っておきます。お席入りした客は、床に御物袋入りの茶碗が荘ってあれば「後席で茶碗荘のお点前がある」と気づくわけです。御物袋は保管用でありながら、茶の湯の場に欠かせない道具のひとつでもあります。


初めて茶碗袋に挑戦するなら、構造がシンプルな御物袋から始めるのがおすすめです。


参考:仕覆の詳細な使い方と作り方のバリエーションを解説した書籍情報
茶道具を入れる袋「仕覆(しふく)」の作り方と暮らしの中で楽しむアイデア|PR TIMES


茶碗袋の作り方の基本:採寸と生地サイズの算出

茶碗袋(仕覆)作りで最初にして最重要の工程が採寸です。ここをいい加減にすると、完成後に茶碗が入らない・ブカブカになるという失敗に直結します。3か所の寸法さえ正確に測れば、あとは公式に当てはめるだけです。


測る箇所は次の3つです。


- 🔵 直径(横幅):茶碗の最も広い部分の直径をメジャーで測ります。真円でない器は最大横幅で測りましょう。


- 📏 高さ:茶碗の底から口までの高さを測ります。


- 🔄 周囲長(縦の一周):てっぺん → 手前 → 底 → 後ろ → てっぺん へと一周した長さを測ります。


周囲長の測定にはメジャーだとたわんで誤差が出やすいため、細長く切った紙を当てて測るのが正確です。


採寸できたら、生地の裁ち落としサイズを以下の公式で算出します。


幅(横)の計算:
$$\text{出来上がり幅} = \text{直径} \times 3.14 \div 2$$
$$\text{裁ち落とし幅} = \text{出来上がり幅} + 4cm(縫い代2cm×2)$$


例えば直径12cmの茶碗の場合、出来上がり幅は約19cm、裁ち落とし幅は23cmになります。はがきの横幅が約14.8cmなので、19cmというのはそれより少し広い程度のイメージです。


長さ(縦)の計算:
$$\text{出来上がり長さ} = \text{周囲長} - 2cm$$
$$\text{裁ち落とし長さ} = \text{出来上がり長さ} + 4cm(縫い代2cm×2)$$


2cmを引くのは、てっぺんで紐を結ぶための隙間を作るためです。隙間がないと紐が締まらず、袋が開いてしまいます。


表生地と裏生地は同じサイズで裁断します。ただし裏生地の縫い代だけ2.2cmと、表生地より2mm大きく取るのが基本です。これは表から裏生地が見えてしまうのを防ぐための小さなテクニックです。


採寸と算出が基本です。


参考:採寸から生地の裁断・縫い方まで写真つきで解説
仕覆の作り方 中級編 つがり糸と裏地つき|ワカモノキモノ


茶碗袋の作り方に使う生地の選び方:金襴・縮緬・裏地の組み合わせ

茶碗袋の見た目と耐久性を左右するのが生地選びです。表生地・裏生地・接着芯の3つを組み合わせて選びます。ここは作業の中で最も楽しい工程でもあります。


表生地の選び方:


仕覆に用いる表生地は、茶道の世界では「名物裂(めいぶつぎれ)」と呼ばれる格調ある織物が本来の姿です。具体的には以下の種類があります。


- 🟡 金襴(きんらん):金糸を織り込んだ豪華な生地。茶席の格を引き上げる効果があります。


- 🔵 緞子(どんす):繻子織りのしなやかな光沢が特徴。落ち着いた風格があります。


- 🟤 間道(かんどう):縦縞が主体の古渡り裂の一種。シンプルながら深みがあります。


ただし現代では、自分の茶碗に「合わせてみたい」と感じた生地で自由に作るケースも増えています。ウール・綿・ツイードなど、洋素材と和の器を合わせる楽しみ方も広まっています。これはアリです。


御物袋には縮緬や羽二重が伝統的に使われます。縮緬はふんわりとした柔らかさがあり、茶碗を傷から守るクッション性も高いです。


裏生地と接着芯:


裏地は無地か控えめな柄を選ぶと、表生地の良さが引き立ちます。地厚な表生地を使う場合、裏地は薄めにするとバランスが良いです。


接着芯はキルト芯を使うと、中身を衝撃から守るクッション効果が加わります。キルト芯のサイズは、生地の出来上がりサイズより縦横ともに5mm小さく裁断します。表生地の中央にアイロンで貼り付けます。手芸わたで代用することも可能で、その場合は表生地と裏生地を重ねる際に挟み込む形で入れます。


生地の選択肢が広がると、茶碗袋作りの楽しみが倍増します。


表生地を茶碗に当ててみて、色や柄の相性を確認してから購入するのが最も失敗が少ない方法です。これはリアル店舗で確かめるに越したことがありません。


参考:仕覆の表生地・裂地に関するこだわりと選び方の解説
仕覆のこだわり(裂地・紐の素材解説)|仕覆専門店 有楽


茶碗袋の作り方の実践:縫い順と底・ダーツの処理

採寸・生地裁断が終わったら、いよいよ縫い工程に入ります。初めての方が最も悩むのが「底の処理とダーツ」の部分です。ここを丁寧に押さえることで、袋の完成度が大きく変わります。


表生地を作る手順:


1. 裁断した表生地を縦半分に折ります(柄が内側に来るように)。


2. 折り目を下にして、茶碗を置いて底の左右に折り目をつけます。洗濯バサミか鉛筆で位置を覚えておきましょう。


3. その折り目の位置から斜めに向かってミシンで直線縫いします(計4か所)。斜めの縫い目2本は必須、垂直の縫い目2本はあってもなくてもOKです。


4. 表裏をひっくり返して茶碗を試しに入れ、ぴったりはまるか確認します。


底がボコッと外側に飛び出てしまった場合は、その部分を内側にたたみ込んでミシンで固定します。これで底面が安定します。


裏生地を作る:


裏生地も表生地と全く同じ手順で4か所を直線縫いします。丁寧にアイロンをかけながら進めると仕上がりが綺麗です。


表生地と裏生地を重ねる:


できあがった表生地・裏生地を重ねますが、向きに注意が必要です。表生地は色柄が外側に、裏生地は表側が内側(茶碗に触れる側)を向くようにします。


裏生地の縫い代を外側に折り、出来上がり線(縫い代2.2cm)に沿ってアイロンをかけます。表生地は縫い代を内側に折ります。角は斜めに折ることで、重ねたときに縫い代が外にはみ出るのを防ぎます。


表生地と裏生地を重ねた際、中央で表生地の端同士が2cmの隙間を開けて向き合う状態になればOKです。この2cmが紐の結び目を通すための大切なスペースになります。


表と裏を重ねたら、クケ縫い(折り代を手縫いで縫い合わせる技法)で全体を仕上げます。縫い合わせの端は「閂止め(かんぬきどめ)」—同じ箇所をぐるぐると縫って補強する—をしておくと、使用中に端からほつれる心配がありません。


閂止めが条件です。ここを省くと早い段階で端がほつれてきます。


茶碗袋の作り方の仕上げ:紐の付け方とつゆ結び・つがり糸

本体の縫製が終わったら、仕覆らしさを決定づける「紐とつがり糸」の工程です。ここは難易度が少し上がりますが、仕上がりの美しさに直結します。


紐の長さと素材:


紐の長さは茶碗の直径によって変わります。直径12cmほどの茶碗で長緒(ながお)タイプにする場合、つゆ結び以下の長さを約48cm、結び目部分に10cmを加えて合計106cm程度が目安です。


本来は仕覆専用の絹糸(無撚糸)を使います。仕覆専門店「有楽」によれば、無撚の絹糸は現在では日本刺繍用の糸として少量しか製造されていないのが実情だといいます。入手しにくいと感じたら、百均の江戸打紐や刺し子糸で代用することも十分可能です。これは使えそうです。


ただし刺し子糸は滑りが悪く、紐がスライドしにくいことがあります。使う前にロウソクに軽くこすりつけて蝋を含ませると、格段に滑りが良くなります。


つゆ結びの作り方:


仕覆の紐の結び方は「つゆ結び(スネークノット)」が代表的です。紐の先端に結び目を作り、その結び目を仕覆の開口部に沿って縫い付けます。結び目から余る紐の長さは、常緒(じょうお)なら約1.5cm、長緒なら約2.5cm程度が目安です。


結び目の付け根と紐の先端の2か所をミシンの直線縫いで固定し、先端がほつれないようにロウソクで焼き止めします。


つがり糸の縫い方:


「つがり糸」とは、袋の開口部の縁を飾り、紐の通り道を作るために縫い付ける装飾糸のことです。縦横に交差させながら巻き付けていく技法で、仕覆の美しさを大きく高める要素です。


つがり糸は複雑な工程のため、専門の解説動画や書籍を1冊手元に置いておくと安心です。


参考:仕覆の紐の結び方(常緒・長緒・つゆ結び)の動画解説
仕覆の結び方「つゆ結び」解説動画|仕覆専門店 有楽


茶碗袋の作り方の独自視点:骨董の茶碗こそ手作り袋で守る理由

一般的な仕覆・茶碗袋の作り方記事では、「手順通りに縫えば完成」という情報で終わることが多いです。しかし陶磁器に興味がある方が茶碗袋を作る場合、もうひとつ大切な視点があります。それは「茶碗の価値を物理的に守る」という機能面です。


骨董の茶碗や作家物の茶碗は、割れたり欠けたりした時点で価値が大きく下がります。たとえ金継ぎで修復しても、傷の有無によって査定額は数万円単位で変わることがあります。仕覆専門店「有楽」でオーダーすると、茶碗のサイズに合わせた仕立てで価格は数万円台になることもあります。一方で自分で手作りすれば、生地代は数百円~数千円程度に抑えられます。


茶碗袋の本来の目的は保護です。


保管時に茶碗を裸のまま箱に入れていると、振動や乾燥、他の道具との接触で思わぬ欠けが生じることがあります。御物袋に包んでから箱に納めるという習慣は、長年かけて価値ある道具を後世に伝えてきた先人の知恵です。


また陶磁器の骨董鑑定の世界では、茶碗に仕覆や御物袋が付属しているかどうかが査定にも影響することがあります。仕覆が付属する茶碗は「大切に扱われてきた証拠」として高く評価される傾向があります。手元の茶碗に自作の袋を仕立てることは、器の価値を守り高めることにもつながります。


さらに自分で作った袋なら、器に合わせた生地や紐を自由に選べます。市販品では見つからない「この器にだけ合う一枚」が生まれます。陶磁器への愛着と手仕事の喜びが重なる点で、茶碗袋の手作りは他にはない満足感を与えてくれます。


大切な器を守る手段として、茶碗袋の手作りは最も合理的な選択のひとつです。


参考:御物袋と仕覆の制作工程や袋物の意義を伝える専門家ブログ
袋物を作るということ|大塚美術 / Otsuka Fine Art




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