塩素系漂白剤でお手入れすると、燕三条の茶漉しに赤サビが出て買い替えが必要になります。
新潟県の燕三条エリアは、国内随一の金属加工産地として知られています。江戸時代から続く鍛冶・金属加工の伝統を持ち、現在では包丁・スプーン・カトラリーから医療機器の部品まで、精密な金属製品を生産し続けています。経済産業省が指定する「伝統的工芸品」の産地数は、新潟県が京都府に次いで全国2位という事実からも、その技術の厚みが伝わるでしょう。
この地で作られるステンレス茶漉しが陶器ファンを含む茶器愛好家に支持される理由は、単なる「日本製」ブランドにとどまりません。使われているのは「18-8ステンレス」という素材で、これはニッケル8%・クロム18%を含む合金です。食器やカトラリーにも広く使われる素材で、錆びにくく、茶渋による変色も起きにくいのが特徴です。
さらに特筆すべきは網目の密度です。燕三条の代表的な茶漉しに使われる「タタミ織(200メッシュ)」は、わずか2.54センチ四方の中に200本の細かい線が織り込まれた構造で、畳の目のように均一かつ高密度に編まれています。透かして見ても向こう側がほとんど見えないほどの細かさです。この網で漉したお茶は、粉末状の細かい茶葉も通さず、口当たりがなめらかに仕上がります。つまり、燕三条製の茶漉しは「金属加工の技術水準そのもの」が品質を支えているわけです。
陶器の急須や湯呑みを大切に使う方にとっては、急須本体の茶こし部分が壊れた際の補修パーツとしても重宝します。陶器製の茶こしは割れやすく、交換品が手に入りにくいことも多いため、耐久性の高い燕三条製ステンレスに切り替えるケースは少なくありません。
ナガオ公式サイト|ハイテックストレーナー タタミ織の詳細仕様(サイズ・素材・産地情報)
燕三条製のステンレス茶漉しを選ぶときに失敗しやすいのが、サイズとメッシュ数の見落としです。まずサイズから確認しましょう。
代表的なナガオのハイテックストレーナーは以下の3サイズ展開です。
| サイズ | 内径 | 全長 | 高さ |
|---|---|---|---|
| Sサイズ | φ55mm | 163mm | 35mm |
| Mサイズ | φ65mm | 184mm | 38mm |
| Lサイズ | φ75mm | 194mm | 45mm |
内径55mmはおよそ一般的な湯呑みの口径に近いサイズ感で、Mサイズ(65mm)はマグカップの多くに適合します。陶器急須の注ぎ口や口径に合わせて選ぶ必要があるため、購入前にメジャーで計測することを強くおすすめします。目測での購入はサイズ違いの原因になりやすい点に注意が必要です。
次にメッシュ数と構造について整理します。
タタミ織200メッシュは細かい分、目詰まりも起きやすいというデメリットがあります。ミルクティーやスパイスを加えたチャイなどを漉す用途には向かないので注意が必要です。
形状については「手持ちタイプ(ストレーナー型)」と「深型(マグカップセット型)」の2つが主流です。急須のない一人暮らしや、陶器の急須を使わずマグカップで手軽に茶葉を楽しみたい方には深型がぴったりです。深型の底が平らで自立するため、淹れたあとの置き場所に困らないのも実用的なポイントです。これは使いやすいですね。
家事問屋公式コラム|「あみとザル」の種類の違いとタタミ織・二重網の特徴解説
陶器急須は茶器としての味わいや風合いを楽しむために選ばれるものです。ところが、長く使っていると急須内部の茶こし部分が詰まったり、陶製の茶こしが欠けたりすることがあります。そのようなときに登場するのが、ステンレス製の後付け茶漉しです。
後付けで使う場合に特に注意したいのが「サイズが合わないと茶葉が急須本体側に漏れる」という問題です。後付け型の茶漉しはカゴ網タイプが一般的で、急須の内側の開口部に合わせてサイズを選ぶ必要があります。サイズが小さすぎると、茶こしと急須の壁面の間に隙間ができ、茶葉がそのまま流れ出てしまいます。急須の内径より1〜2mm小さいサイズを選ぶのが基本です。
また、陶器急須の内壁はざらつきがある場合が多く、ステンレス茶漉しの縁との接点に茶葉が詰まりやすいという問題も起きます。これを防ぐためには、使用後に毎回茶漉しを取り外して水洗いする習慣をつけることが重要です。放置すれば1週間ほどで目詰まりが発生し、茶の色や味に影響が出ることもあります。
陶器急須の内径が特殊な場合や、注ぎ口の構造が独特な急須(常滑焼や萬古焼など窯元ごとに形状が異なるもの)は、後付け茶漉しとの相性確認が難しいケースもあります。そういった場合は、実際に急須本体を持参できる実店舗で合わせ確認ができる「かっぱ橋道具街」(東京・合羽橋)のような専門店での購入も一つの選択肢です。急須に詳しいスタッフのいる店舗なら、現物確認の上で最適サイズを提案してくれることがあります。
サイズ確認が基本です。購入前に急須の内径をメジャーで計測し、その数値をメモして商品ページの仕様と照合する、という手順を踏むだけでほとんどの失敗は防げます。
燕三条の18-8ステンレス茶漉しは耐久性が高いですが、間違ったお手入れで寿命を縮めてしまうケースが実は多くあります。最もやりがちな失敗が「塩素系漂白剤の使用」です。
台所でよく使われるキッチンハイター(塩素系)は、ステンレスに対して長時間接触すると腐食を引き起こし、表面に赤サビが浮き出ることがあります。花王公式のQ&Aでも「つけ置き時間が長かったり液がついたまま放置したりすると、ステンレスでもサビが発生することがある」と明記されています。茶漉しのような細い網目構造の場合、液体が残りやすく、特にリスクが高いといえます。
正しいお手入れ方法は以下のとおりです。
なお、食洗機対応かどうかは製品ごとに異なります。ナガオのハイテックストレーナーは食洗機対応ですが、家事問屋の深型茶こしも食洗機OKです。一方、メッキ加工が施されたティーストレーナーは食洗機不可のものが多いため、購入時に必ず確認しましょう。
酸素系漂白剤が条件です。「漂白剤なら何でも同じ」と思いがちですが、塩素系と酸素系では用途が異なります。この違いだけ覚えておけばOKです。
茶の庭オンライン|素材別・茶渋の正しい落とし方(ステンレス・陶器・プラスチック)
陶器の急須に燕三条製ステンレス茶漉しを組み合わせることで、急須の風合いを損なわずに便利さを手に入れることができます。ここでは、茶器愛好家の視点から見た「少し上の淹れ方」を紹介します。
まず、「茶漉しの形によってお茶の味が変わる」という点をあまり知らない方が多いです。深蒸し茶(製造時に強く蒸した細かい茶葉のお茶)は、粒子が通常の煎茶より細かいため、40メッシュの茶漉しでは細かい粉が漉しきれず、カップに残留することがあります。この場合、200メッシュのタタミ織茶漉しを使うと、同じ茶葉でもなめらかで透明感のある水色(すいしょく)に仕上がり、渋みが抑えられてまろやかになるという違いが生まれます。
逆に、紅茶や大きな茶葉のフラワリーオレンジペコー(FOP)などを楽しむ場合、200メッシュは細かすぎて茶葉のジャンピングを妨げることがあります。紅茶には40〜80メッシュ程度の余裕のある茶漉しが適しています。つまり「万能な茶漉し1本」は存在せず、楽しみたいお茶の種類に合わせて使い分けることが、本当においしいお茶への近道です。
陶器急須との組み合わせでもう一つ覚えておきたいのが、「注いだあとの湯切り」です。ステンレス茶漉しを使うと、茶葉が急須の注ぎ口付近に残留しにくくなり、注ぎ口がすっきりした状態を保てます。急須の内壁の陶肌に茶渋が染み込まないという副次効果もあり、陶器急須を長くきれいに維持したい方には特に嬉しいポイントです。
また、茶器愛好家の中には「陶器急須の内側に焙じ茶・ほうじ茶の香りを吸わせたくない」という理由で、ステンレスの茶漉しを使いながら複数の茶葉を急須1本で楽しんでいる方もいます。茶漉しを変えるだけで、急須の香りを汚さずに異なる茶葉を楽しめるわけです。これは使えそうです。
燕三条の茶漉しは1本700〜1,500円程度のものが中心で、高品質な陶器急須が3,000〜30,000円以上することを考えると、急須本体を長持ちさせるための投資として非常にコストパフォーマンスが高いといえます。茶器を大切に使いたい方にとっては、知っておいて損のない選択肢です。
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