タール色素一覧と種類や食品・化粧品の用途と安全性

タール色素は石油由来の合成着色料として幅広い製品に使用されていますが、その種類や用途、安全性については十分に理解されているでしょうか?

タール色素一覧と種類

タール色素一覧と種類

📋 タール色素の基本分類
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食品用タール色素

日本で認可された12種類の合成着色料。赤色2号、黄色4号、青色1号など鮮やかな色彩が特徴

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化粧品用タール色素

医薬品等に使用可能な83種類。口紅やアイシャドウなど多彩な色表現に利用

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工業用途

繊維の染料や工業製品の着色に広く応用。元々は石炭タールが原料

タール色素とは何か

 

タール色素は、石油を原料として人工的に合成された合成着色料の一種です。もともとは石炭から得られる「コールタール」を原料としていたことから「タール色素」と呼ばれていますが、現在では石油由来の原料が主流となっています。化学的に製造されているため不純物がなく、安定した供給が可能という特徴があります。

 

参考)https://www.aomori.coop/kenmin/news/detail.php?p=945

タール色素は19世紀中頃に開発された合成染料で、その染着力の強さ、色の鮮やかさ、均質性から広く利用されるようになりました。現在は石油を精製する際に生じる「ナフサ」を原料として生成されており、天然色素と比較して鮮明な色で退色しにくいという利点があります。タール色素の成分名は「赤色○号」「青色○号」のように色名と数字で表記されます。

 

参考)https://pantry-lucky.net/blogs/column/coloringagent

タール色素の種類一覧(食品用12種類)

日本で食品添加物として使用が認可されているタール色素は12種類あります。具体的には以下の色素が指定されています。

 

参考)タール色素は発がん性あり!12種類・食品一覧・お菓子・使用基…

赤系統

黄系統

  • 黄色4号(タートラジン):最も使用量が多く基本的な黄色を呈する​
  • 黄色5号(サンセットイエローFCF):世界的に認められている黄色色素​

その他

これらの色素は安全性が評価され、厚生労働大臣が指定した食品添加物(指定添加物)として認可されています。使用量では黄色4号が最も多く、次いで赤色102号、黄色5号、赤色3号の順となっています。

 

参考)食品中の着色料について|大阪健康安全基盤研究所

タール色素の種類一覧(化粧品用83種類)

化粧品に使用できるタール色素は83種類あり、1996年に厚生労働省が医薬品等に使用できると認めた色素です。これらは使用範囲によって以下のように分類されます。

 

参考)https://ameblo.jp/rik01194/entry-12309635144.html

すべての医薬品、医薬部外品、化粧品に使用できるもの(11種類)
食品用として認可されている12種類のうち赤色40号を除く11種類が該当します。これには赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号が含まれます。

 

参考)タール色素(たーるしきそ)とは? | オーガニック化粧品のピ…

粘膜に使用されることがない化粧品のみに使用できるもの(72種類)
赤色214号、赤色215号、赤色218号から赤色228号、赤色230号、赤色401号から赤色506号、だいだい色401号から403号、黄色401号から407号、緑色401号から402号、青色403号から404号、紫色401号、黒色401号などが含まれます。

 

参考)化粧品に使用することができる色素 - 一般財団法人ボーケン品…

化粧品用タール色素は口紅、アイシャドウ、チークなどメイクアップ製品に広く利用され、様々な色を表現できることから多くの化粧品で採用されています。ただし、青色1号、赤色2号、黄色4号など発がん性があると言われている種類もあり、注意が必要です。

 

参考)【専門家監修】化粧品の着色料とは?植物由来のものや一緒に確認…

タール色素と天然着色料の違い

タール色素(合成着色料)と天然着色料の主な違いは原料と特性にあります。

原料の違い
合成着色料であるタール色素は石油製品を原料とし、化学的に合成されています。一方、天然着色料は動植物から色素を抽出しており、トマト、ヘマトコッカス藻、クチナシ、クロロフィル、カカオなどが原料となります。鉱物や土など無機物から作られる無機顔料もあり、土から取れるベンガラ(赤色の酸化鉄)、黄酸化鉄、鉄黒などがあります。

 

参考)https://www.rokkou-co.jp/wp/art-color/

特性の違い
タール色素は鮮やかで退色しにくく、少量で効果を発揮する着色性と色もちの良さが特徴です。化学的に製造されているため不純物がなく、安定して供給できます。対照的に天然色素はナチュラルな分、淡く色づき、着色力はタール色素に劣ります。また、天然色素は色素の原料(天然物)による差異や製剤化工程により、同一色素でも色調が大きく異なることがあります。

 

参考)化粧品のタール色素はお肌に悪いって本当?合成着色料について知…

安全性の観点
天然由来の着色料は通常アレルギーや健康問題を引き起こしにくく、多くが抗酸化活性を持つなど栄養や健康面でのメリットがあります。一方、タール色素は体内に取り込まれた場合に分解されにくく、ホルモンや免疫システムを乱す恐れが指摘されています。

 

参考)https://www.mdpi.com/2673-8007/3/3/51/pdf?version=1689143830

タール色素が含まれる食品・化粧品の用途

タール色素は色が鮮やかな食品や化粧品に幅広く使用されています。

食品での使用例
加工食品やお菓子、飲料などの色味を鮮やかに見せる目的で使われています。具体的には、グミ、キャンディー、ゼリー、アイスクリーム、かき氷シロップ、ジュース、炭酸飲料などがあります。また、福神漬け、紅ショウガ、たらこ、明太子、漬物、菓子パン、チョコレート、ガム、たくあんなどにも使用されています。赤色104号はチェリー、蒲鉾、田麩、菓子、蜜豆に、黄色4号はキャンデー、あめ、焼き菓子、冷菓、漬物、佃煮、配合色に、赤色2号はタコ、タラコ、明太子などに使用されています。

化粧品での使用例
口紅、アイシャドウ、チーク、マーブルチョコレート、アイシングクッキーなど色鮮やかで視覚的に楽しい商品に多く使用されています。化粧品用タール色素は様々な色を表現できることから、メイクアップコスメや化粧品の着色剤などに広く利用されています。

 

参考)【専門家監修】化粧品に含まれる着色料が及ぼす影響とは?注意す…

医薬品での使用
医薬品、医薬部外品にも使用が認められており、錠剤やカプセルの着色などに利用されています。

タール色素の安全性と健康への影響

タール色素の安全性については国内外で議論があり、日本では使用が認められているものの、海外では規制している国もあります。

国際的な規制状況
イギリスの食品基準庁(FSA)は2008年に、赤色40号と赤色102号、黄色4号、黄色5号を含む6種類のタール色素が注意欠陥障害の原因になる恐れがあるとして、食品メーカー等に自主規制を促しています。アメリカやカナダでは、赤色2号と赤色102号、赤色106号はがんやアレルギーを引き起こす可能性があるとして使用が禁止されています。また、赤色3号については甲状腺に異常を生じる可能性があるとの理由から、ドイツでも使用が禁じられています。EUでは「子どもの行動と注意力に有害影響を及ぼす可能性がある」として注意喚起表示が義務付けられています。

日本での安全基準
日本では安全性を確認し、使用を認められており、一日摂取許容量(ADI)が設定されています。例えば赤色3号のADIは0.1mg/kg体重/日と設定されており、実際の日本人の摂取量は0.003mg/体重kg/日から0.007mg/体重kg/日と、ADIの0.02%程度と極めて低いレベルです。通常の摂取量であれば健康への影響は少ないとされています。

 

参考)食用赤色3号・食用タール色素「現時点での制度変更は不要」との…

健康への懸念
タール色素は発がん性の初期から指摘されていたいわくつきの着色料です。体内に取り込まれた場合は分解されにくいため、ホルモンや免疫システムを乱す恐れがあります。また、一部の人々において、皮膚の発疹やかゆみ、呼吸困難などのアレルギー反応を引き起こすことがあります。いくつかの研究では、タール色素が子供の行動に影響を与え、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状を悪化させる可能性が示唆されています。特に妊婦や小さな子供には、健康を害する可能性がある添加物は極力避けることが推奨されています。

 

参考)https://ameblo.jp/sinkatasan/entry-12857519243.html

タール色素の見分け方と表示方法

タール色素を含む製品を見分けるには、食品や化粧品の原材料表示を確認することが重要です。

 

参考)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_additives.html

表示のルール
原則として、使用した全ての食品添加物を「物質名」で食品に表示しなければなりません。タール色素の場合、「着色料(赤102)」または「赤色102号」のように表示されます。食品添加物の表示方法は、原則として全ての添加物の物質名を添加物に占める重量の割合の高いものから順に表示します。

表示の具体例
タール色素の成分名は「色+数字」で表記されます。例えば、食用赤色102号のみを使用した場合は「着色料(赤102)」または「赤色102号」のどちらかを表示し、複数の色素を含む製剤を使用した場合は「着色料(黄4、黄5、赤102、赤106)」または「黄色4号、黄色5号、赤色102号、赤色106号」のように表示します。

 

参考)知っておきたい!化粧品に配合される着色料の影響は?

化粧品での見分け方
化粧品の場合、「赤色○号」「青色○号」など数字があるものは、すべてタール色素です。これらは成分表示欄に記載されており、横並びの分かりにくい成分と違い、見つけやすくてわかりやすいのが特徴です。ただし、数字を細かに覚えていない限り、表示名称だけで染料と顔料を区別することはほぼ不可能です。

 

参考)https://www.cosme.net/chieco/question/34649/detail

タール色素を避けたい場合
タール色素を避けたい場合は、原材料表示を確認し、「色+数字」の表記がないものを選ぶことが推奨されます。また、天然着色料を使用している製品を選ぶことで、合成着色料を避けることができます。

参考リンク - 厚生労働省の食品添加物に関する情報
https://www.mhlw.go.jp/
※食品添加物の使用基準や安全性評価に関する公式情報が掲載されています。

 

参考リンク - 化粧品成分オンライン
https://www.jcia.org/
※日本化粧品工業連合会のサイトで、タール色素に関する自主基準や管理値一覧を確認できます。

 

 


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