二硫酸とは何か理解し製造方法や用途を知る

二硫酸は2分子の硫酸が脱水縮合した化合物で、強力な化学反応性を持つ物質です。発煙硫酸中に存在し、産業的に重要な役割を果たしていますが、その性質や用途についてあまり知られていません。二硫酸の特性や製造方法、産業での活用法について詳しく知りたいと思いませんか?

二硫酸とは何か

二硫酸の基本特性
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化学式と別名

化学式H₂S₂O₇で表され、ピロ硫酸とも呼ばれる硫黄のオキソ酸

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物理的性質

無色または淡黄色の吸湿性が強い結晶で、融点は35℃

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反応性

水と激しく反応し発熱する強力な脱水剤・酸化剤

二硫酸の化学構造と性質

 

二硫酸(にりゅうさん)は、化学式H₂S₂O₇で表される硫黄オキソ酸の一種です。ピロ硫酸(pyrosulfuric acid)とも呼ばれ、2分子の硫酸が脱水縮合した構造を持つ化合物に相当します。この物質は無色あるいは淡黄色の吸湿性の強い結晶として存在し、比重は1.9(20℃)、融点は35℃という物理的特性を示します。

 

参考)二硫酸 - Wikipedia

二硫酸は発煙硫酸中に主成分として存在しており、特に硫酸と三酸化硫黄が等モル混合している発煙硫酸(およそ45%w/w)では、二硫酸が主要な化学種となっています。加熱すると三酸化硫黄(SO₃)を放出して分解する性質があり、この分解反応は温度に依存して進行します。

 

参考)二硫酸(にりゅうさん)とは? 意味や使い方 - コトバンク

水との反応性が極めて高く、水と接触すると激しく反応して大量の熱を発生します。この強い反応性は、二硫酸が持つ強力な脱水作用と酸化作用に由来しており、取り扱いには十分な注意が必要です。

二硫酸の製造方法と合成過程

二硫酸の製造は、主に発煙硫酸の生成過程と密接に関係しています。硫酸は工業的にSO₂→SO₃→H₂SO₄の段階を経て製造されますが、気体である三酸化硫黄の溶媒として硫酸が使用されるため、発煙硫酸は硫酸の中間生成物として生産されます。

 

参考)発煙硫酸 - Wikipedia

具体的な合成方法として、65%の三酸化硫黄を含む発煙硫酸にヒ素の粉末を懸濁させ、そこへペルオキソ二硫酸カリウム(K₂S₂O₈)を加えると、ゆっくりと二硫酸の無色結晶が生じてくるという報告があります。この方法により、純粋な二硫酸を結晶として単離することが可能です。

一般的な産業プロセスでは、接触法と呼ばれる硫酸製造法において、三酸化硫黄を濃硫酸に吸収させることで発煙硫酸が生成され、その中に二硫酸が形成されます。三酸化硫黄の含量が18.35~61.87%の発煙硫酸を0℃以下に冷却すると、無色透明で吸湿性の結晶として二硫酸が得られます。

 

参考)接触法(濃硫酸の工業的製法・仕組み・反応式・触媒など)

二硫酸の産業利用と用途

二硫酸の最も重要な用途は、芳香族化合物に対するスルホン化剤としての機能です。スルホン化反応は、芳香族炭化水素やその誘導体に硫酸または発煙硫酸を作用させて、水素原子をスルホ基(-SO₃H)に置換する反応であり、真の反応試薬は三酸化硫黄です。二硫酸は発煙硫酸中に存在し、この反応において重要な役割を果たします。

 

参考)スルホン化

芳香族化合物のスルホン化は、染料、医薬品、界面活性剤などの製造において不可欠な化学プロセスです。発煙硫酸を使用するスルホン化反応では、反応温度は通常80℃程度で行われ、高収率でスルホン化物を得ることができます。

 

参考)301 Moved Permanently

また、二硫酸は強力な酸化剤および脱水剤としても機能します。この性質により、難溶性金属酸化物を硫酸水素カリウム(またはナトリウム塩)と混ぜてるつぼ中で熱して融解すると、はじめ二硫酸カリウムを生じ、ついで反応性の強い三酸化硫黄を発生して金属酸化物と反応します。これにより、後の化学操作が容易な可溶性の金属硫酸塩に変換することができます。

二硫酸と発煙硫酸の関係性

発煙硫酸は濃硫酸に過剰の三酸化硫黄を吸収させたもので、三酸化硫黄の蒸気を徐々に放出しており、湿った空気中で白煙と鼻を突く刺激臭を発します。二硫酸は、この発煙硫酸の主要成分として存在しています。

硫酸と三酸化硫黄が等モル混合している発煙硫酸(約45%w/w)では、二硫酸が主成分であることが知られています。発煙硫酸は工業的に重要な化学薬品であり、スルホン化やニトロ化などの反応において二硫酸の反応性を利用する場合、通常は発煙硫酸をそのまま用いるのが一般的です。

発煙硫酸の製造プロセスでは、接触法により生成した三酸化硫黄を濃硫酸に吸収させることで発煙硫酸が得られ、その中で二硫酸が形成されます。三酸化硫黄を直接水に溶かすと激しく反応して危険であるため、濃硫酸を介して吸収させる方法が採用されています。

 

参考)接触法:硫酸と発煙硫酸

二硫酸取り扱いの注意点と安全性

二硫酸は非常に反応性の高い化学物質であり、取り扱いには厳重な注意が必要です。硫酸は腐食性および刺激性を有し、十分な濃度でばく露した後には皮膚、眼および消化管に直接的な局所影響を生じます。二硫酸も同様に強い腐食性を持つため、適切な保護具の着用が不可欠です。

 

参考)https://direct.hpc-j.co.jp/sds/jpn/F8-10.pdf

水との反応では激しい発熱を伴うため、水分との接触を避ける必要があります。吸湿性が強いため、密閉容器での保管が求められ、湿気の多い環境での取り扱いは避けるべきです。作業時には十分な換気を確保し、ミストや蒸気の発生を最小限に抑えることが重要です。

 

参考)二硫酸

万が一、皮膚に付着した場合は、流水で10分間洗浄する必要があります。ただし、水と接触すると大量の熱が発生するため、できるだけ速やかに乾いた布またはティッシュペーパーで拭き取った後に洗浄することが推奨されます。眼に入った場合は、直ちに医師の診断を受けることが必要です。

 

参考)https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7664-93-9.html

二硫酸の詳細な化学的性質と構造について解説しているウィキペディアの参考リンク
二硫酸を含む化学試薬を扱う関東化学株式会社の安全データシート情報

 

 


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