面心立方格子配位数求め方と充填率計算方法や最密構造

鉱石や金属結晶に見られる面心立方格子の配位数はどのように求めるのでしょうか。単位格子を並べる方法や充填率の計算、格子定数と原子半径の関係まで詳しく解説します。

面心立方格子配位数求め方

面心立方格子の配位数を理解する3つのポイント
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単位格子を2つ並べて観察

配位数を求める際は単位格子を横に2つ並べることで、最近接原子の数が明確になります

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配位数は12個

面心立方格子の配位数は12で、これは最密構造の特徴です

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格子定数と原子半径の関係

格子定数aと原子半径rの間には r = (√2/4)a という重要な関係式が成り立ちます

面心立方格子の配位数を単位格子から求める方法

 

面心立方格子の配位数を求める際には、単位格子を2つ横に並べて考える必要があります。配位数とは、1個の原子に最も近い距離で接している他の原子の数のことを指します。

 

参考)結晶とは(単位格子・配位数・密度・充填率など)

面心立方格子を2個つなぎ合わせると、中心部分で左側の単位格子に含まれる原子(1/2のもの)と右側の単位格子に含まれる原子(1/2のもの)が合わさり、1個の球状の原子が完成します。この中心の原子に注目すると、周囲に12個の原子が最も近い距離で接していることが確認できます。

 

参考)面心立方格子・六方最密構造の配位数について|理科|苦手解決Q…

具体的には、下から4個、横から4個、そして上から4個の原子が接しており、合計12個となります。この12という数字は、面心立方格子が最密構造であることを示す重要な特徴です。

 

参考)面心立方格子と六方最密構造の配位数を求める考え方は「並べる」…

💎 単位格子を1つだけで観察すると、最近接原子の一部が表現できないため、必ず2つ並べて数える点がポイントです。

面心立方格子の格子定数と原子半径の関係式

面心立方格子において、格子定数(単位格子の1辺の長さ)をa、原子半径をrとすると、両者の間には数学的な関係が存在します。面心立方格子の側面を観察すると、対角線上に4つの原子半径分(4r)が並んでいます。

 

参考)面心立方格子(配位数・充填率・密度・格子定数・半径など)

三平方の定理を適用すると、(4r)² = a² + a² という式が成り立ちます。これを整理すると、4r = √2 × a となり、最終的に r = (√2/4)a という関係式が導かれます。

 

参考)結晶格子とは何か?構造や数値についてわかりやすく解説 - も…

この関係式は、面心立方格子の充填率や密度を計算する際に必須となる基本公式です。格子定数から原子半径を求めたり、逆に原子半径から格子定数を算出したりする場面で頻繁に使用されます。

 

参考)https://sekatsu-kagaku.sub.jp/crystal.htm

化学のグルメ - 面心立方格子の詳細な計算方法
格子定数と原子半径の関係式の導出過程と、実際の計算例が詳しく解説されています。

 

面心立方格子の充填率計算と最密構造

充填率とは、単位格子の体積に占める原子の体積の割合を示す値です。面心立方格子の充填率を計算するには、まず単位格子に含まれる原子の数を確認します。頂点に1/8個×8=1個、面に1/2個×6=3個で、合計4個の原子が単位格子に含まれます。

原子の体積は (4/3)πr³ なので、4個分では (16/3)πr³ となります。単位格子の体積は a³ です。先ほど求めた r = (√2/4)a を代入して計算すると、充填率 = (√2π/6) × 100 ≈ 74% という結果が得られます。

 

参考)六方最密構造の密度、充填率、配位数全ての求め方をはじめから丁…

この74%という充填率は、六方最密構造と同じ値であり、これらが最密構造と呼ばれる理由です。最密構造とは、球状の原子を最も効率よく詰め込んだ配置のことを指し、配位数12という特徴を持ちます。

 

参考)金属結晶まとめ
youtube​
📐 充填率の計算では、原子半径のr³が分子分母で約分されるため、最終的に定数となり、どの面心立方格子でも74%という同じ値になります。

面心立方格子を持つ金属元素の具体例

面心立方格子構造を持つ金属は自然界に多数存在します。代表的なものとして、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、鉛(Pb)などが挙げられます。

 

参考)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl04/c0859.html

これらの金属は面心立方格子構造により、展延性(薄く延ばせる性質)が豊かであるという共通の特徴を持ちます。例えば、金は非常に薄い金箔に加工でき、銅は電線として広く利用されています。

希ガス元素の中にも面心立方格子構造を取るものがあり、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)などが固体状態でこの構造を形成します。また、カルシウム(Ca)やストロンチウム(Sr)といったアルカリ土類金属も面心立方格子に属します。

 

参考)面心立方格子構造 - Wikipedia

⚙️ 工業的に重要なアルミニウムやニッケルなどの合金材料も、基本的に面心立方格子の性質を利用して加工性や強度が調整されています。

 

MISUMI - 金属の結晶格子の詳細
各金属元素がどの結晶格子構造を持つかが一覧で確認でき、面心立方格子を持つ金属の特性も解説されています。

 

体心立方格子との配位数の違いと見分け方

体心立方格子は、立方体の各頂点と中心に原子が配置された構造です。体心立方格子の配位数は8であり、面心立方格子の配位数12とは明確に異なります。

 

参考)体心立方格子(配位数・充填率・密度・格子定数・半径など)

体心立方格子の中心にある原子に注目すると、周囲の8個の頂点の原子と接していることから配位数が8となります。単位格子に含まれる原子の数も、頂点に1個、中心に1個で合計2個と、面心立方格子の4個とは異なります。

 

参考)【高校化学】「体心立方格子」(練習編)

充填率においても違いが見られ、体心立方格子の充填率は約68%で、面心立方格子の74%より低い値となります。この差は、体心立方格子が最密構造ではないことを示しています。

項目 体心立方格子 面心立方格子
配位数 8 12
単位格子内の原子数 2個 4個
充填率 約68% 約74%
最密構造


体心立方格子を持つ代表的な金属には、鉄(Fe)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)などがあります。これらは面心立方格子を持つ金属とは異なる機械的性質を示します。

🔬 結晶構造を見分ける際は、配位数、単位格子内の原子数、充填率の3つの指標を総合的に判断することで、正確に識別できます。

 

 


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