火床 意味とは|陶芸・鍛冶で使う読み方や使い方の基礎知識

陶芸や鍛冶で頻繁に使われる「火床」という言葉、正しい読み方や意味をご存じですか?実は用途によって読み方も意味も変わる奥深い用語なんです。知らないと作業効率が落ちる可能性も?

火床 意味と読み方

火床を間違った読み方で覚えると作業場で恥をかきます。


この記事のポイント
🔥
火床には3つの読み方がある

「ひどこ」「ほど」「かしょう」と用途や分野で使い分ける

🏺
陶芸では火を扱う作業場を指す

耐火レンガで作った安全な炎の制御スペース

⚒️
鍛冶では鉄を熱する設備そのもの

送風機と羽口を組み合わせた高温を生み出す装置

火床の基本的な意味「ひどこ」


火床を「ひどこ」と読む場合、最も一般的な意味は炎を扱うための専用スペースを指します。元々は箱の中に土を塗り固めて作った火入れのことで、いろりのような構造でした。


参考)火床(ヒドコ)とは? 意味や使い方 - コトバンク


陶芸や金属加工では、この火床が作業の要となります。地金を溶かしたり、ろう付けを行うために火を扱う作業場として、耐火レンガなどを組んで外部への影響を防ぐ設計になっています。


つまり安全な炎のコントロール空間です。



参考)火床(ひどこ)


ボイラーでは燃料を燃やす場所を指し、格子状の構造で燃え殻を下に落とす仕組みになっています。現代では焼き鳥屋やうなぎ屋の調理機器で、ステンレス製の箱に熱源を組み込んだものも火床と呼ばれます。


参考)「火床(ホド)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Webli…


鍛冶屋での火床「ほど」の意味

鍛冶の世界では火床を「ほど」と読む職人が多くいます。これは材料の鉄を熱するための設備そのものを指し、鍛冶屋を名乗るために欠かせない三種の神器の一つです。


参考)https://blog.goo.ne.jp/forginer1984/e/e4b30716913a62891e8f40665d920f4a


代表的なのが「掘り込み式」の火床です。外枠の中に灰を敷き詰め、送風口である羽口付近の灰を掘り込んだ部分で炭を燃やします。送風機と陶製の羽口、風を受けるレンガを適度な深さで配置し、火床の広さや深さ、羽口の角度で燃焼効率が大きく変わります。


毎日高温の火にさらされるため、火床は定期的なメンテナンスが必要です。火口を保護する土に亀裂が入ったり、カバーが紙のように薄くなると燃焼効率が悪化するため、数年に一度は造り直す必要があります。


これが基本です。



参考)鍛冶屋の静止する日 - 鍬の鍛冶屋の独り言


日本刀の作刀でも火床は重要で、刀身の焼き入れの際に使う木炭は適切なサイズに炭切りしないと、焼刃土が落ちてしまう原因になります。


参考)https://www.touken-world.jp/tips/11767/


火床「かしょう」はボイラー用語

火床を「かしょう」と読む場合は、主にボイラーの火をたく場所を指す専門用語です。この読み方は工業分野や機械技術の文脈で使われることが多く、陶芸や伝統的な鍛冶とは異なる領域になります。


どういうことでしょうか?
同じ「火床」という漢字でも、読み方によって指す対象が微妙に異なるということです。「ひどこ」は火を扱う作業場全体、「ほど」は鍛冶の加熱設備、「かしょう」はボイラーの燃焼部という具合に、専門分野ごとに使い分けられています。


火床とキャンプ用語の違い

キャンプやアウトドアでも火床という言葉が使われますが、意味が少し異なります。アウトドアの火床は焚き火台の中で炭や薪を置く場所のことで、空気の流れを良くするためロストル(網目状の板)が底から浮かせて設置されています。


参考)火床とは?アウトドアキャンプの用語をわかりやすく解説 - キ…


また、直火で焚き火をする際に地面を保護するために掘る穴や囲いも火床と呼ばれます。火の勢いを制御し、炎や火の粉が周囲の可燃物に燃え移るのを防ぎ、地面に直接火を起こして土壌を傷めることを防ぐのが目的です。


陶芸や鍛冶の火床とは異なり、キャンプの火床は一時的で簡易的な構造が特徴です。BBQグリルとの違いは、火床が地面に掘られた場所であるのに対し、BBQグリルは金属製の器具で脚が付いて地面から持ち上げられている点です。


火床の歴史的な使われ方

江戸時代の文献では、火床は日常生活の中で重要な役割を果たしていました。1703年の「立身大福帳」には「火どこのすへやう、こしきへ風のあたりて、中のさめぬやうにとて」という記述があり、食事の準備における火床の配置や風の当たり方まで気を配っていたことがわかります。


船の上でも火床は使われていました。大型和船のやぐら内に設ける炊事用の間を火床と呼び、ふつう胴の間と艫の間の間に配置されていました。船中という限られた空間で安全に火を扱うための工夫として、土を塗り固めた構造が活用されていたのです。


1603年から1604年の日葡辞書にも火床の記載があり、当時から日本の生活に深く根付いた道具だったことがうかがえます。


これは使えそうです。



京都の大文字送り火では、各家が火床を守る伝統があり、火の点きが悪いと災厄に見舞われるという言い伝えもあったため、1年間ずっと山の手入れをしていたそうです。


参考)京都人にとっての大文字とは ~みたまと語らう京都の8月(3)…


陶芸で火床を安全に作る方法

陶芸工房で火床を設置する際は、安全性と作業効率の両立が必要です。まず火床の外に影響が出ないよう耐火レンガを組み、作業しやすい高さと広さを確保します。


鍛冶の火床を造り直す際は、真砂土と赤土、そして特別な粉を混ぜた土に水を加えて練ります。火口と送風機をつなぐパイプを保護している土は熱でカチカチになっているため、解体は重労働です。


火床を長持ちさせるには定期的な点検が欠かせません。毎日火を燃やしていると火床は少しずつ荒れ、風の出口である火口はどんどん溶けて短くなり、カバーも薄くなっていきます。この状態では火力が出ないため、早めの修理が必要です。


初心者が火床を使う際は、換気と消火の徹底が最重要ポイントです。密閉空間では不完全燃焼による煤が立ちのぼりやすく、通気孔を空けていない一斗缶やドラム缶を火床として使うのは危険です。完全に消火するまで火元を離れることは禁止されています。


参考)焚き火 - Wikipedia


陶芸や金属加工で火床を使う予定があるなら、まずは経験者の指導を受けることをおすすめします。自己流での設置は火災リスクが高まり、作品の仕上がりにも影響するため、専門家のアドバイスが不可欠です。


日本刀の作り方と火床の使い方について詳しく解説されています(刀剣ワールド)
鍛冶屋が火床を造り直す実際の作業工程が写真付きで紹介されています(鍬の鍛冶屋の独り言)




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