グラスファイバー傘は、細いガラス繊維の束に樹脂をしみ込ませて成形したガラス繊維強化プラスチック(FRP)を骨に使用した傘です。この素材は軽量で弾性に優れているため、傘の親骨、園芸用ポール、テントの支柱などに用いられることが増えています。従来の金属製の骨と比べて、風に強く折れにくいという特徴があり、錆びない点も大きなメリットとされています。
参考)https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250917_2.html
ガラス繊維は直径が0.2~4マイクロメートルと非常に細く、肉眼では見えづらいという特性があります。この細さが強度と柔軟性を生み出す一方で、破損時には深刻な危険性をもたらす要因となっています。国民生活センターの調査によると、グラスファイバー製品に関する相談の中で傘に関するものが過去5年間で8件と最も多く、手指に刺さったり切れたりする事例が目立っています。
参考)グラスファイバー骨の傘の特徴と注意点|軽くて丈夫な傘の選び方…
グラスファイバー傘が折れる主な原因として、長期間屋外に放置することによる劣化が挙げられます。紫外線や雨風にさらされることで、グラスファイバーの強度が徐々に劣化し、折れやすくなります。特に湿った状態で放置すると、カビやシミの原因になるだけでなく、素材自体の劣化も進行します。
参考)折れたグラスファイバー傘骨の取り扱い|傘クリエイター つじの…
鋭利なもので傷がついた場合も危険です。小さな傷でもそこから亀裂が広がり、最終的に折れてしまうことがあります。また、極端に曲げた場合もグラスファイバーは折れてしまいます。しなやかな素材ですが限度を超えて曲げると破損し、強風などで傘が裏返ってしまったときは特に注意が必要です。人とすれ違う際にぶつかって骨が折れるという事例も国民生活センターに報告されています。
参考)【最新トラブル事例】危険!傘の骨で大ケガの可能性も…ガラス繊…
国民生活センターには、グラスファイバー傘による具体的な怪我の事例が複数寄せられています。代表的なケースとして、子どもが人とすれ違うときにぶつかり、グラスファイバー製の傘の親骨が折れて細かなガラス繊維が手に刺さったという報告があります。特に小学生以下の子どもがけがをするケースが多く、管理が大切とされています。
参考)事故情報データバンクシステム
数年前に購入した傘をさそうとしたところ、手に激しい痛みがあり、表示を見るとグラスファイバー製との記載があったという相談も寄せられています。購入して数年経った傘をさしたところ、持ち手付近で手に痛みが生じ、骨を確認したらグラスファイバー製で細かい繊維が出ていたという事例もあります。国民生活センターのテスト結果では、新品時でも傘の骨の表面にガラス繊維の先端が露出しているものがあり、曲げたり傷つけたりするとガラス繊維の先端が樹脂表面から飛び出してくることが確認されています。
参考)【最新トラブル事例】超危険!傘の骨が折れて大ケガ!ガラス繊維…
破損したグラスファイバー傘を発見したら、まず絶対に素手で触らないことが重要です。骨の露出部分には細かいガラス繊維が飛び出しており、皮膚に刺さる危険性が非常に高くなっています。応急処置としては、破損部分をビニールテープで覆い、繊維が飛び散らないようにすることが推奨されています。
廃棄する際は、手袋をして自治体の指示に従い「燃えないごみ」や「危険ごみ」として処分します。グラスファイバーが割れている場合、割れた部分にささくれた棘が発生する場合があり、これによって怪我をする方もいるため、軍手をはめて作業することである程度怪我を防止することができます。お子さまやペットが触れないように注意することも大切です。外出先で傘が壊れた場合でも、そのまま放置せず持ち帰るマナーが重要で、路上に放置された傘は子どもが怪我をすることがあったり、風に流されて車を傷つける場合があります。
参考)傘の処分・分解方法をご紹介します
ガラス繊維が皮膚に刺さった場合、適切な応急処置が必要です。まずガムテープ等の粘着力の強いテープで該当箇所に張り付け、粘着力で取り除く方法があります。ただし目視が難しく、除去できないこともあるため注意が必要です。
参考)楽天市場
ゴシゴシこすらないように流水で洗い流すことも有効です。刺さったガラス繊維は、時間の経過とともに徐々に皮膚表面へ上がってきて、自然に排出される事が大半なので、患部を触らず安静に、押し出されるのを待つという方法もあります。しかしガラス繊維が皮膚に刺さって痛みなどが続く場合は、医師の診察・処置を受けることが推奨されています。特に患部から出血、炎症を起こしている場合は「皮膚科」に受診し適切な処置をしてもらうべきです。
参考)のぼりの横棒にトゲ!?刺さった経験談と危険な理由を解説
グラスファイバー傘を安全に使用するためには、定期的な点検が欠かせません。使う前に傘の状態をチェックし、骨に傷や亀裂がないか確認することが重要です。ガラス繊維強化プラスチックは、表面からガラス繊維の先端が露出していることがあるため、表示の有無にかかわらず、不用意に素手で触らないなど取扱いには注意する必要があります。
小さなお子様が傘で遊んだり、振り回したりしないようにすることも大切です。曲げたり傷つけたり折れたりすると、ガラス繊維の先端が飛び出すことがあるため、不用意に素手で触らないようにしてください。保管方法も重要で、直射日光や高温多湿の場所を避け、風通しの良い場所で保管することで劣化を防ぐことができます。屋外に置きっぱなしにすると寿命が短くなる原因となり、室内でも日光やライトが当たるところに保管すると日焼けや変色などしてしまいます。
参考)日傘の劣化を見極める!買い替え時期とお手入れ方法 【公式】傘…
グラスファイバー傘と従来の金属製傘では、それぞれ異なる安全性の特徴があります。グラスファイバー傘の最大のメリットは錆びないという点で、金属製の傘骨は湿気や雨にさらされると錆びやすく、傘の寿命を縮める原因となりますが、グラスファイバーはその心配がありません。軽量性も大きな利点で、一般的な金属製の傘骨よりも軽く、持ち運びやすいのが特徴です。
参考)グラスファイバー傘のメリット・デメリットとは?選び方と注意点…
しかし破損時の危険性においては、グラスファイバー傘の方が高いリスクを持ちます。グラスファイバーはガラス繊維が含まれているため、折れた箇所に触れると怪我をする危険性があり、金属製の傘とは異なる注意が必要です。また修理の困難さもデメリットで、グラスファイバー骨は特殊な素材であるため、折れた場合や破損した場合には一般的な修理方法が通用せず、専門業者に依頼する必要があります。破損した際は新しい傘を購入する必要がある場合が多く、修理費用も高額になることがあります。金属製の傘であれば、骨の交換などの修理がしやすいという利点があります。
<参考リンク>
国民生活センターによるグラスファイバー製品の危険性に関する公式調査報告です。実際の事故事例と検査結果が詳しく掲載されています。
ガラス繊維強化プラスチックによるけがに注意!-傘の骨などに使用されているガラス繊維強化プラスチックの危険性-(国民生活センター)
グラスファイバー傘の特徴と注意点について、実際の相談例やよくある質問をまとめた情報サイトです。
グラスファイバー骨の傘の特徴と注意点(LINE DROPS)
折れたグラスファイバー骨の取り扱い方法について、傘メーカーからの提案を含めた実用的な情報が記載されています。