フィギュリン フィギュア 違いと陶磁器の魅力

陶磁器で作られたフィギュリンと、プラスチック製のフィギュアは何が違うのでしょうか。手作りの温もりと芸術性を持つフィギュリンの世界を、素材・製法・価値の観点から徹底解説します。

フィギュリン フィギュア 違い

この記事のポイント
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素材の違い

フィギュリンは陶磁器製の芸術品、フィギュアはプラスチック・塩化ビニール製の玩具

制作工程の違い

フィギュリンはハンドメイド・ハンドペイントで一点一点手作業で制作

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価値の違い

フィギュリンは芸術品として高価、フィギュアは量産品としてコレクション向け

フィギュリンの定義と陶磁器の特徴

フィギュリンとは、陶磁器で作られた人形や動物などの立体造形を指す呼称です。磁器を主材料として制作される小さな人形で、人形の髪や服、小さな花などの装飾に至るまですべてが磁器で作られています。制作工程のほとんどが手作業で行われ、熟練のペインターによって絵付けが施されるため、ふたつとして同じ表情のないオリジナリティーやあたたかみを感じることができます。
参考)リヤドロやマイセンなどで有名な陶磁器のフィギュリンとは - …

 

陶磁器製のフィギュリンは、セラミックの一種である土を練り固めて焼いて作られた芸術的技法によって象られた作品の総称です。有名な洋食器ブランドの多くがフィギュリンを製造しており、その多くは制作工程をハンドメイドで製造し、色付けはハンドペイントにより仕上げていきます。とても手間がかかる至宝の一品として、コレクターや美術愛好家に高く評価されています。
参考)フィギュリンの魅力とは?愛され続ける磁器人形の世界

 

近年では芸術性の高いレジン製(天然樹脂と合成樹脂)の人形やクリスタル製の人形もフィギュリンと呼ばれる場合がありますが、一般的には磁器製人形のことを指します。
参考)フリーダイヤル

 

フィギュアの特徴と素材の違い

フィギュアは「立体的な人形」を指す言葉で、特に近年では「塩化ビニール製の人形」を指すことが多く、日本では「アニメやゲームのキャラクター人形」として認識されています。日本において、玩具の意味合いが極めて強いものに関してフィギュアと呼び、フィギュリンとは明確に区別されているのが特徴です。
参考)マイセンとフィギュリン│集いの場“Scene”

 

フィギュアの主な素材はPVC(ポリ塩化ビニル)やABSなどの硬質素材が使われています。ソフトビニール製のフィギュアは、小さな子供が遊ぶことを想定して製造されているため、内部が空洞化されており、軽量かつ柔らかい素材でできています。また、安価でコレクションもしやすいため、複数のキャラクターを揃えて楽しめるのも魅力です。
参考)ウルトラマン 好き集まれ! ソフビとフィギュアにはどんな違い…

 

アニメフィギュアは、人気の日本のアニメシリーズのキャラクターを表す精巧にデザインされたミニチュア彫刻として、世界中のコレクターや愛好家に人気があります。コンパクトなキーチェーンフィギュアから精巧で詳細なモデルまで、さまざまなサイズがあり、各フィギュアは愛されるキャラクターのユニークな属性やポーズを捉えています。
参考)アニメフィギュアの5つの利点:コレクターのニーズに応え、遊び…

 

フィギュリンのブランドと制作工程

フィギュリンの世界で特に有名なブランドには、マイセン、リヤドロロイヤルコペンハーゲン、KPM(ベルリン王立磁器製作所)、ロモノーソフなどがあります。マイセンは1710年にヨーロッパで初めて硬質磁器の製造に成功したドイツの名窯で、フィギュリンの象徴的存在として知られています。職人によって時代を超えた永遠の命が吹き込まれるマイセンの人形は、肌の色、瞳、手足、顔の表情、臨場感、衣服の模様やリボンといった装飾品に至るまで細部までこだわり抜いて制作されます。
参考)https://kuraya-kaitori.com/%E4%BD%90%E8%B3%80%E7%9C%8C%E4%BD%90%E8%B3%80%E5%B8%82%E3%80%80%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%B2%B7%E5%8F%96%EF%BD%9C%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3-%E3%83%AA/

 

リヤドロは1950年代にスペインのバレンシアでリヤドロ3兄弟が創業した高級ポーセリン人形のブランドです。イメージスケッチからモデルを作成し、各パーツを分割してそれぞれ石膏で型を取る分割作業が、精緻な仕上がりを出す上で非常に重要な工程となっています。各パーツから鋳込み型を作り、そこにリヤドロ特製の粘土液を流し込み、乾燥後、組み立てられた作品には磨き作業が施され、最後に着色・焼成が行われて完成します。この全工程が、熟練の職人によって手作業で行われるのがリヤドロの特徴です。
参考)東京都立川市にて、リアドロ、マイセンなどのフィギュリン 陶磁…

 

ロモノーソフはロシアの古都サンクトペテルブルグにある、約260年の歴史を誇る名磁器窯です。1744年に女帝エリザベータの命により「ロシア皇帝専属陶磁器工房」が設立され、ヨーロッパ陶磁窯の歴史においても貴重な位置を記しています。
参考)VISIONS -antiques href="http://v-i-s-i-o-n-s.shop-pro.jp/?mode=cateamp;cbid=350512amp;csid=1amp;sort=n" target="_blank">http://v-i-s-i-o-n-s.shop-pro.jp/?mode=cateamp;cbid=350512amp;csid=1amp;sort=namp; modern-

 

フィギュリンの価値とコレクション性

フィギュリンの買取価格相場はブランドにより大きく異なります。マイセンのフィギュリンの買取価格相場はおよそ5,000円~120,000円程度と、その作品により価格差が大きいのが特徴です。リヤドロは現在も数多くのフィギュリンを作り上げており、その多くは100,000円前後で販売されています。生産数が限定され制作されたフィギュリンでは、それ以上の値がつくことも考えられ、高値での取引が期待できます。
参考)フィギュリン買取のポイント

 

骨董品としての価値も高いフィギュリンは、状態によって買取価格が大きく変動します。例えば、マイセンのフィギュリン「四大陸」のうち一体は、骨董品としての価値もあり、状態によりますが買取価格は1体で15万円程度になることもあります。ルネ・ラリックという有名なガラス工芸家が手掛けた作品の場合、本人作品とブランドとしてのラリックでは価値・買取価格がだいぶ異なり、近年のブランドとしてのフィギュリンだと買取価格は数千円になることも多いです。
参考)【フィギュリン買取】フィギュリンを高く売るコツとおすすめ買取…

 

コレクションとして保管する際は、陶磁器を個別に包んで保管することが望ましく、柔らかい不織布や酸性のないティッシュペーパーを使用し、直接接触を避けることが重要です。お手入れ方法としては、水かぬるま湯に中性洗剤を溶かし、極薄い洗浄液を作って手早く洗い、洗浄液が残らないように良く漱ぐことが推奨されています。
参考)リヤドロのお手入れ・修理方法 – えびにゅー

 

フィギュリンの歴史とビスク磁器

フィギュリンの歴史において、ビスク磁器は重要な役割を果たしてきました。ビスク磁器とは、素焼きの白い磁器のことを指し、1700年代半ばにヨーロッパで人気を得ました。ビスク焼成と呼ばれる手法で生産され、ビスク、またはビスケットという名で呼ばれています。
参考)アンティーク陶磁器のフィギュア ~ビスク磁器とその歴史~│

 

ビスク磁器は食器よりも彫刻や装飾品として多く使われており、特にこの時代は上流階級の人々に人気のあったフィギュアが数多く生産されました。ビスク磁器の艶のある触感は、テーブルやキャビネットを彩る小さくて繊細、エレガントな表情を持つフィギュアにぴったりだったのです。18世紀のヨーロッパでは、ビスク磁器のフィギュアは王侯貴族が最も愛する陶磁器のひとつとなりました。
フランスを代表する陶器メーカー、セーブル磁器は、ビスク磁器の開発とフィギュアの生産で他国に多大な影響を与えました。1750年代初期にソフトペースト(軟質)のビスク磁器を使用し始め、セーブル磁器のフィギュアのスタイルは、ロココ時代の代表的画家フランソワ・ブーシェから、新古典派の彫刻家エティエンヌ=モーリス・ファルコネの様式へと続きました。セーブルのビスク磁器のフィギュアはとても優雅で洗練されており、そのスタイルはヨーロッパ各国のフィギュアのデザインに大きく反映されています。
1770年代のイギリスでは、軟質のビスク磁器のフィギュアはセーブル磁器のスタイルを追って、新古典主義様式が人気となりました。この時代、ビスク磁器のフィギュア生産で著名なのは「チェルシー・ダービー」で、動物の骨灰を加えてペーストを強化することで、抜けるような透明感と軽やかで繊細なアイボリーの色合いを実現し、多大な人気を博しました。
フィギュリンの詳しい解説(リヤドロやマイセンの特徴について)
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フィギュリンの買取価格相場とブランド別の評価