衛生陶器 メーカー 海外の世界シェア動向

世界の衛生陶器市場で日本企業がどのような地位を占めており、欧米やアジアの主要メーカーはどのような特徴や戦略で成長を遂行しているのでしょうか?

衛生陶器 メーカー 海外

世界衛生陶器市場の主要メーカー
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グローバルシェアの最新動向

世界衛生陶器市場規模は2024年の452.4億米ドルから2032年には1033.4億米ドルへ成長予測。KOHLER(米国)が18.90%でトップシェア、LIXIL(日本)が13.59%で第2位、TOTO(日本)が10.61%で第3位。上位3社で約43%を占める寡占状態。

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欧州メーカーの競争優位

Roca(スペイン)が世界販売数で圧倒的トップ、Duravit(ドイツ)がデザイン力で差別化、Villeroy & Boch(ドイツ)が200年の歴史でブランド価値構築。欧州メーカーは設計思想と美的価値で評価。

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日本企業の海外戦略

TOTOは1990年代から海外進出強化で継続的売上増。中国に4拠点、タイで新工場、米国で生産能力150%増強。LIXILはインドで年200万台生産体制を構築。日本企業は技術力で差別化。

衛生陶器のメーカー海外展開で見える米国メーカーの戦略

 

アメリカを代表する衛生陶器メーカーのコーラー(KOHLER)は、1873年の創業以来、世界トップクラスの規模を維持し続けています。米国市場での圧倒的なブランド力を基盤に、グローバル展開を推進しており、現在は世界市場シェアの18.90%を占めるトップメーカーです。コーラーの製品戦略は、エレガント&クラシックなデザインセンスと、高い耐久性を兼ね備えた商品開発にあります。ニューヨークのメトロポリタン美術館にも水回り製品が展示されるなど、美術品としての価値を持つ製品が評価されています。

 

コーラーは欧州やアジアへの販路開拓に注力し、特に富裕層向けの高機能トイレと衛生陶器製品を投入しています。米国内での資本を背景に、多国籍企業としての地位を確立し、新興国市場でも確実にシェアを拡大中です。海外メーカーの中でもっとも攻撃的な市場戦略を展開するコーラーの事業規模は、日本メーカーの追従を許さない圧倒的な優位性を示しています。

 

衛生陶器のメーカー海外で支配的なスペイン系Rocaの販売力

スペインに本社を置くロカ(Roca)は、衛生陶器の世界販売数において3500万個で独走状態を続けています。これは第2位のコーラーを大きく引き離す圧倒的な数量的優位性を示しており、衛生陶器業界における最大手メーカーの地位は揺るぎません。ロカは衛生陶器だけでなく、配管関連製品や浴室付属品まで幅広い製品ラインアップを保有する多国籍企業です。

 

ロカは世界各国に販売網を構築し、生産拠点も複数国に展開することで、地域別のニーズに迅速に対応する体制を整えています。特に低価格帯から高級品まで幅広い商品ラインを揃えることで、市場セグメント全体をカバーする戦略が成功しています。スペインを発祥地とする欧州ブランドとしての信頼性と、グローバルな生産ネットワークの組み合わせが、ロカの圧倒的シェアを支えています。

 

衛生陶器のメーカー海外でデザイン力を武器にするドイツ企業

ドイツ発祥の衛生陶器メーカーは、デザインとブランド力において独特の競争優位性を有しています。デュラビット(Duravit)はドイツに本社を置く衛生陶器大手で、モダンで革新的なデザインが国際的に高く評価されています。スイスのキッチン関連メーカーであるフランケ(Franke)傘下という経営基盤により、安定した技術開発と製品革新を実現しています。

 

ビレロイ&ボッホ(Villeroy & Boch)は創業から200年の歴史を誇り、陶磁器業界では同時代のマイセンロイヤルコペンハーゲンと肩を並べるブランド力を保有しています。2023年にはアイディアル・スタンダード(Ideal Standard)を買収するなど、ポートフォリオ拡張による成長戦略を展開中です。ドイツ企業の特徴は、職人技と最新技術の融合、そして洗練されたデザインで国際的な高級品市場を支配する点にあります。

 

衛生陶器のメーカー海外進出で急速に存在感を高める新興国企業

RAK Ceramics(アラブ首長国連邦)やHSIL(インド)など、新興国発祥の衛生陶器メーカーが急速に世界市場での存在感を高めています。特にインドは「メイク・イン・インディア」政策の推進により、衛生陶器業界における製造ハブとしての地位を確立しつつあります。LIXILはインドの衛生陶器製造企業センティニ・サニタリーウェアズを70億円超の投資で買収し、年間生産能力を200万台まで引き上げる体制を整備しました。

 

これらの新興国企業は、低コスト製造とグローバル販売ネットワークの構築により、従来の先進国メーカーの独占状態に風穴を開けています。インド製造の衛生陶器は、欧米市場への輸出基地としても機能し始めており、グローバルなサプライチェーン再編の動きを加速させています。新興国メーカーの台頭は、衛生陶器業界全体の競争構造を根本的に変えつつあります。

 

衛生陶器のメーカー海外で日本企業が技術力で追求する差別化戦略

日本企業のTOTOとLIXILは、グローバル市場での競争において、欧米メーカーとは異なる差別化戦略を展開しています。TOTOが1990年代から海外進出を強力に推進してきた結果、世界市場での販売数が毎年コンスタントに増加し、現在は世界シェアの10.61%を占める第3位メーカーとしての地位を確立しました。

 

特に温水洗浄便座(シャワートイレ)は、日本発祥の世界的ヒット商品として定着しており、先進国だけでなく中国やタイなどのアジア市場でも高い需要を獲得しています。TOTOは中国に4ヶ所の生産拠点を保有し、地産地消の現地化戦略により流通効率を最大化しています。中国市場ではホテルなどの高級施設から住宅市場へと普及が進み、内陸部は未開拓市場として大きな成長余地が残されています。

 

LIXILはグローバルシャワートイレ事業部を発足させ、地域ごとに異なる消費者ニーズに対応した商品開発とマーケティング戦略を推進中です。米国ではTOTO U.S.A.が新工場棟の稼働により、米州での衛生陶器生産能力を従来比150%に拡大予定で、モロー・レイクウッド・メキシコの3拠点合計で約100万ピースの生産体制を構築しています。日本企業は、高度な水処理技術と衛生陶器の製造技術を結合させることで、単なる利便性に留まらない革新的な価値提案を実現し、グローバル市場での競争優位を確保しています。

 

中国市場では、衛生陶器の現地メーカーが数多く存在する一方で、高付加価値商品、特に水回りの技術を搭載した製品を生み出せるメーカーが限定的です。このため、TOTOが優位に立っており、日本の技術力がアジア新興国市場でも強力な差別化要因として機能しています。日本セレブから海外セレブまで、高機能トイレの日本製品へのニーズは継続的に拡大中であり、今後も日本企業の成長機会は大きいと予想されます。

 

陶器という素材の特性上、重量とかさばりの問題から、消費地に近い工場を活用した地産地消戦略が重要です。日本企業は、世界各地への生産拠点展開とローカルチームの育成により、長期的な海外市場での定着と拡大を着実に推進しています。

 

参考情報。
世界衛生陶器市場シェア分析(DealLab) - 各メーカーの市場シェアと地域別の詳細データが記載されています

 

 


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