地質標本館つくばで鉱石と化石を見学

茨城県つくば市にある地質標本館は、日本で唯一の地質専門博物館として、鉱石や化石など約2,000点の標本を無料で見学できる施設です。デスモスチルスの全身骨格や貴重な鉱物コレクションなど、地球科学の魅力を体感できるスポットですが、あなたはこの貴重な施設をご存知でしょうか?

地質標本館つくばの基本情報

地質標本館の魅力
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日本唯一の地質専門博物館

1980年より一般公開されている地球科学分野専門の博物館で、産業技術総合研究所の研究成果を展示

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約2,000点の標本展示

岩石、鉱物、化石など膨大な地質標本を常時展示し、地球の歴史を体感できる

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入館料無料で利用可能

開館時間は9:30~16:30、月曜休館(祝日の場合は翌平日)で誰でも気軽に見学できる

地質標本館つくばへのアクセス方法

 

地質標本館は茨城県つくば市東1-1-1の産業技術総合研究所つくばセンター内に位置しています。つくばエクスプレスのつくば駅が最寄り駅となり、駅からのアクセスは複数の方法があります。

 

参考)地質標本館(つくば市)うぃーくえんど茨城

つくばバスターミナル4番のりばから関東鉄道バス「荒川沖駅西口」行きまたは「学園南循環(右回り)」に乗車し、「並木二丁目」停留所で下車後、徒歩約5分で到着します。バスの所要時間は約8分程度です。タクシーを利用する場合は、つくば駅から約10分で到着します。

 

参考)アクセス|地質標本館 - 産業技術総合研究所 地質調査総合セ…

🚗 駐車場情報

地質標本館つくばの展示内容と見どころ

地質標本館は第1展示室から第4展示室までの4つのテーマ別展示室で構成されています。第1展示室では地質図、生物の進化、郷土の地質などを通じて地球の歴史を学べます。

 

参考)地質標本館 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター

第2展示室には陸域や海域の鉱物、太平洋海底地形の大型模型などが展示されています。第3展示室では地震や火山、津波などの地質現象と生活の関わりを知ることができます。第4展示室では岩石・鉱物・化石の系統的な分類展示が行われており、何万点もの地質標本を見学できます。

 

参考)常設展示|地質標本館 - 産業技術総合研究所 地質調査総合セ…

館内には動く模型や映像、音声などを使った体験型展示も多数あります。「液状化」の現象を再現できるエキジョッカーという装置では、ペットボトルの模型の中で実際に液状化を体験できます。触ることのできるアンモナイトの化石や、アンモナイトの内部構造をデザインした「アンモナイト階段」など、見るだけでなく体感できる展示が充実しています。

 

参考)知的好奇心を刺激!「地質標本館」

地質標本館つくばの化石展示の魅力

地質標本館の化石展示は、時代の経過ごとに化石が並べられた「タイムトンネル」コーナーが見どころの一つです。このコーナーでは岩石や化石で地球の歴史を表現しており、小型の化石が多数展示されています。

 

参考)『つくば市地質標本館 岩石や鉱物を地球が作ったアート作品と思…

メソサウルスの頭から尾まで状態の良い標本や、有名なベルリン標本のレプリカである始祖鳥(アーケオプテリクス)が展示されています。ジュラ紀に生息した爬虫類ホメオサウルスのレプリカも見ることができます。

 

参考)【古生物スポット紹介】地質標本館(GEOLOGICAL MU…

デスモスチルスの展示は特に充実しており、復元模型、頭部の化石、全身骨格レプリカ、歯化石が揃っています。地質標本館が所蔵する「歌登第1標本」は、全身の骨がよく保存されており、関節の可動域や筋肉の付着を観察できる貴重な標本です。この全身骨格レプリカは地質標本館の中で最大の古生物展示であり、目玉展示となっています。

 

参考)https://www.gsj.jp/Muse/event/archives/src/desmo_booklet.pdf

化石展示以外にも、アメリカマストドンの歯の化石やナウマンゾウの歯のレプリカ、メリコイドドンの頭部化石など、哺乳類の化石も多数展示されています。ネアンデルタール人の展示もあり、数万年前に絶滅した人類の歴史も学べます。

地質標本館つくばの鉱物標本コレクション

地質標本館は鉱物標本の種類と量において、日本国内の博物館では最大級の規模を誇ります。1階の第4展示室と2階の個人コレクション展示を含めて、膨大な数の鉱物が展示されています。

ダイヤモンドなどの宝石標本も展示されており、美しい鉱物を鑑賞することができます。鉱物の中には、まるで地球が作ったアート作品のような美しいものも多数あります。緑鉛鉱、ミメット鉱、バナジン鉛鉱などの六方晶系の鉱物も、分類や標本名、産地とともに紹介されています。

 

参考)解説を見る

特別展として「魅惑の鉱物」展が開催されたこともあり、故北川隆司広島大学教授が収集した鉱物コレクションや、青柳・今吉鉱物標本が展示されました。これらの貴重なコレクションは、日本各地の巡回展を通じて多数の人々を魅了してきました。

 

参考)地質標本館 夏の特別展「魅惑の鉱物 -北川隆司鉱物コレクショ…

📚 鉱物の学習ポイント

地質標本館つくばの地震・津波関連展示

地質標本館では、地震や津波などの地質現象に関する展示が充実しています。特に注目すべきは、宮城県仙台平野で採取された東日本大震災と西暦869年貞観地震の津波堆積物を含む実物の地層標本です。

 

参考)巨大津波、巨大地震の地層標本展示

この地層標本は、幅約2メートル、高さ約1.5メートルのL字型に作製されており、表層近くに東日本大震災の津波堆積物、深い所に厚さ10~20センチメートルほどの貞観地震の津波堆積物を観察できます。津波堆積物は、津波によって海底や海岸の堆積物が削り取られ、別の場所に堆積した砂泥や石で、普通の泥炭層や泥層の中に「砂層」として挟まれています。

日本列島周辺の震源分布を示す展示もあり、日本が地震大国であることを視覚的に理解できます。地質標本館では「今月の地震」という展示も行っており、来館者に対して最新の地震情報を提供する取り組みも実施されています。

 

参考)https://www.choshi-geopark.jp/blog/index.php?e=110

内陸活断層の実物標本として、糸魚川-静岡構造線活断層系の岡谷断層で採取された標本も常設展示されています。この標本は幅2.5メートル×高さ4.5メートルの大型のもので、過去の大地震の痕跡を観察できます。

産業技術総合研究所 地質標本館公式サイト
地質標本館の最新情報や開館時間、特別展の詳細が確認できます。

 

地質標本館つくばの独自の魅力と楽しみ方

地質標本館は、研究所内にある施設という特性から、一般的な博物館とは異なる独自の魅力を持っています。産業技術総合研究所の広大な敷地内には様々な研究棟があり、研究者が日々活動している環境の中に位置しています。

 

参考)https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298167-d1918235-Reviews-Geological_Museum-Tsukuba_Ibaraki_Prefecture_Kanto.html

つくば市では春や夏に「ちびっ子博士」という一般公開デーがあり、大規模なイベントが開催されます。この期間中に訪れると、研究者と直接交流でき、子どもたちの素朴な質問にも喜んで答えてくれます。研究者とは何か、研究所とはどんなところかを学習できる貴重な機会となっています。

地質標本館ではガイドツアーも定期的に開催されており、年に数回、一般向けに「地質標本館ガイドツアー」が実施されています。15名以上の団体で見学する場合は、事前予約が必要となります。

 

参考)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質標本館 - 協力施…

🎓 教育機関への支援

  • 博物館法施行規則に基づく実習の受け入れを実施​
  • 津波堆積物の小型標本を全国の教育機関に貸し出し​
  • 地学教育や防災意識の向上に貢献​

地質標本館はエントランスに来館記念スタンプが設置されており、訪問の思い出を残すことができます。また、カードやポスターを無料でもらえるサービスもあります。館内には休憩コーナーもあり、霞ケ浦に関するビデオなどを視聴することも可能です。

2021年10月23日に放映されたNHK『ブラタモリ(つくば編)』で地質標本館が紹介され、その認知度はさらに高まりました。全国科学博物館協議会および茨城県博物館協会にも加盟しており、信頼性の高い地質専門施設として評価されています。

地質標本館では特別展も定期的に開催されており、最新の特別展として「地質とAI-地球を読み解く新たなアプローチ-」が2025年4月22日から9月7日まで開催されています。産総研地質調査総合センターで実施されているAIを利用した研究や、地質調査のためのAI技術の開発が紹介されています。

 

参考)地質標本館 特別展「地質とAI−地球を読み解く新たなアプロー…

地質標本館は、鉱石や化石に興味がある方にとって、無料で専門的な知識を学べる貴重な施設です。つくば駅からアクセスしやすく、駐車場も完備されているため、気軽に訪れることができます。デスモスチルスの全身骨格や貴重な鉱物コレクション、津波堆積物の実物標本など、他では見られない展示が充実しているため、地球科学に関心のある方はぜひ一度足を運んでみてください。

 

 


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