ワズワース アテネウム 美術館は、コネチカット州ハートフォードのダウンタウン中心部に位置し、ダニエル・ワズワースの実家の敷地に建設されました。建築家のアレクサンダー・ジャクソン・デイヴィスとイティール・タウンによって設計された「城」と呼ばれる最古の建築物は、1842年に建設が始まり、同年6月1日に法人化され、1844年7月31日に開館しました。現在も運営されているアメリカ合衆国最古の公立美術館として、コネチカット州最大の美術館であり、75,000平方フィート(7,000平方メートル)の展示スペースを有しています。
参考)ワズワース・アテネウム美術館 - Wikipedia
美術館はオリジナルの城に似た建築物と、チューダー・リヴァイヴァル建築からルネサンス・リヴァイバル建築、そしてインターナショナル・スタイルまで様々な様式で追加された計4棟の建築物で構成されています。1970年にアメリカ合衆国国家歴史登録財に登録され、北米相互博物館協会のメンバーとしても認められています。入館すると3階ぶち抜きのホールがあり、中央には大理石の彫刻を配した大理石枠の泉水があり、ガラス張りの天井からサーカスのブランコ乗りの石膏像が吊り下がっているという独特の空間が広がっています。
参考)美術館訪問記-178 ワズワース・アテネウム美術館
ワズワース アテネウム 美術館の装飾芸術コレクションの中でも特に注目されるのが、18世紀のドイツとフランスの磁器、特にマイセンとセーヴルのコレクションです。ヨーロッパの装飾美術コレクションは、古代のガラスや青銅からマイセン、ヴァンセンヌ、セーヴルの陶磁器まで、7,000点以上の作品で構成されています。
参考)コネチカット州の観光名所 - 「アスナのトラベルスタジオ」
マイセン磁器は、1710年にヨーロッパ初の硬質磁器として誕生し、錬金術師ヨハン・フリードリッヒ・ベットガーと学者シュリンハウスによって開発されました。ブルーオニオンや人形など、独自のデザインが魅力的で、重厚感のある白磁と技巧を凝らした絵付けが特徴です。一方、セーヴル磁器は1738年にフランス・パリ東部のヴァンセンヌに設立されたヴァンセンヌ窯が前身で、1759年にセーヴルに移転しました。フランス王ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人によって設立され、豊かな彩色を駆使したロココ様式の絵画表現による装飾が最大の特徴です。
参考)「幻の陶磁器」と呼ばれるセーブル磁器。フランスの誇り高き最高…
ピアポント・モーガンから100年以上も前に寄贈された陶磁器コレクションは、美術館の最も注目すべきコレクションの一つとなっています。
参考)https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g33804-d106102-Reviews-Wadsworth_Atheneum_Museum_of_Art-Hartford_Connecticut.html
ワズワース アテネウム 美術館には、東洋の陶磁器コレクションも収蔵されており、19世紀の画家ホイッスラーとパトロンのレイランドとの関わりを示す重要な作品群があります。レイランドは東洋の陶磁器コレクションとホイッスラーの絵画《バラ色と銀色:陶器》を所有しており、これらの作品は美術館の東洋美術コレクションの重要な一部となっています。
参考)https://yokohama.art.museum/static/file/pressroom/press_ex_20141014whistler.pdf
また、茶道に関連する装飾品も展示されており、風炉釜以外は、ほぼすべてが漆器または陶器に漆をかけたお道具で構成されているという記録も残されています。古代のギリシア、ローマ、エジプトの青銅器を含む約50,000点の美術品が収蔵されており、これらのコレクションの収蔵範囲は5,000年以上の世界史に及んでいます。
参考)Facebook
美術館の展示では、美術品と珍品の展示室が特に興味深く、ラベルやキュレーションなしで宝物をキャビネットに展示していた裕福なビクトリア朝の収集家からインスピレーションを得ています。デジタル タッチ スクリーンには、現代の博物館では通常ラベルに表示される情報が表示されるという工夫が施されています。
ワズワース アテネウム 美術館は、初期アメリカの家具と装飾芸術のコレクションでも有名です。5,000点を超えるアメリカ美術作品の中には、ジョン・シングルトン・コプリーの肖像画、ジョージア・オキーフとアンドリュー・ワイエスの絵画、アレクサンダー・カルダーの彫刻などが含まれています。
特にハドソン・リバー派の風景画は、その壮大な自然描写で訪れる人々を圧倒します。初期アメリカの衣服と装飾品、初期アフリカ系アメリカ人の芸術と歴史的工芸品など、様々なものが収蔵されており、アメリカの装飾芸術の発展を追うことができます。
参考)Wadsworth Atheneum Museum of A…
アメリカのモダニズムの先駆者であるジョージア・オキーフは、抽象的な花や色彩豊かな南西部の風景を描いたことで知られていますが、彼女の陶器作品もアメリカ装飾芸術の重要な一部として評価されています。美術館には1910年に「現代アメリカ陶器」という展覧会が開催されるなど、アメリカの美術館が開催した最初の展覧会の一つとして工芸品の展示に力を入れてきた歴史があります。
参考)現代工芸 — ニューアーク美術館
ワズワース アテネウム 美術館は、単なる歴史ある美術館というばかりでなく、文化的に重要な役割を果たしてきました。1933年には、ロシア出身のバレエダンサー、ジョージ・バランシンがソ連からアメリカ合衆国に移民するのを支援し、移民後間もなく、バランシンはスクール・オブ・アメリカン・バレエを設立しました。1934年12月には、エイブリー記念劇場でアメリカで振り付けられた最初のバレエ『セレナーデ』を含むスクール・オブ・アメリカン・バレエの最初の公演が行われました。
アーサー・エヴェレット・オースティン・ジュニアの監修のもと、1931年にワズワースでアメリカ初のシュルレアリスム展覧会が開催され、1934年にはアメリカ初の大規模なパブロ・ピカソ回顧展が開催されました。1934年にはガートルード・スタインとヴァージル・トムソンによるオペラ『三幕の四聖人』の世界初公演がアテネウムで行われるなど、演劇やダンスのパフォーマンス、歴史的工芸品の展示、社会的行事など、幅広い文化活動やコミュニティ活動を主催してきました。
サルバドール・ダリ、バルテュス、フレデリック・エドウィン・チャーチ、カラヴァッジョ、ピート・モンドリアンなど、多くの有名な芸術家の作品をアメリカで初めて収蔵した美術館としても知られています。美術館では毎日午後4時から5時の閉館までは無料で入館できるという訪問者に優しい制度も設けられています。
参考)https://ameblo.jp/rikoqrikoq/entry-12817640059.html
📌 アクセス情報: ワズワース アテネウム 美術館は、コネチカット州ハートフォードのメインストリートに位置し、公共交通機関でアクセス可能です。コネチカット図書館カードがあれば無料で入館できるという特典もあります。
参考)Reddit - The heart of the inte…
ワズワース アテネウム 美術館 公式サイト
公式サイトでは、現在の展示情報、開館時間、イベント情報などの詳細を確認できます。