ウラルの中古相場は年式と走行距離に大きく左右されます。2020年前後の高年式で走行距離が1,000km以下の状態の良い個体は230~240万円台で取引されており、一方で2010年代前半の低年式で走行距離が2万km以上の個体は40~110万円程度となっています。新車の定価が約306万円であることを考えると、中古市場では比較的に高値で推移していることがわかります。これはロシア製という希少性、そして普通免許で乗車可能というユニークな特性が評価されていることを示しています。
中古台数が市場全体で極めて限定的であることも相場が下落しにくい要因です。年間でも数台程度しか流通していないため、買い手にとって選択肢が少なく、売り手にとって有利な市場が形成されています。購入予算を立てる際には、300万円弱の予算を念頭に置く必要があります。
ウラルの最大の特徴は、パートタイム式の2WDシステムです。後輪とサイドカーの車輪がシャフトで連結されており、レバーで2WD/後輪駆動を切り替えられます。中古購入時には、このシステムが適切に動作するか必ず確認することが重要です。差動装置がないため、後輪とサイドカーの車輪は常に同じ回転数となり、不整地走行では抜群の走破性を発揮します。
試乗時には、舗装路で後輪駆動モードが軽快に動作するか、そしてダート走行時に2WDモードに切り替わるか、実際に操作して動作確認を行ってください。古い個体ではシャフトやシステムの摩耗により、切り替えが不具合を起こしていることもあります。これは修理に高額な費用がかかる可能性があるため、購入前のチェックは必須です。
ウラルの749cc空冷OHV水平対向2気筒エンジンは、第二次世界大戦時代のドイツ製エンジンの流れをくむ設計です。最高出力は41hp、最大トルクは5.81kgf・mで、シンプルなメカニズムは信頼性が高い反面、年式が経つとヘッドカバーやシリンダーヘッドからのオイル漏れが発生しやすくなります。
中古購入時には、始動性が良好か、セルスターターとキックスターターの両方が確実に動作するか、アイドリングが安定しているかを確認してください。空冷エンジンのため、エンジンオイルが黒くなりやすい傾向がありますが、交換履歴がある程度あるか整備記録の確認も大切です。燃料供給はケイヒン製のフューエルインジェクションが採用されているため、古い個体ではインジェクター清掃が必要になる可能性もあります。
ウラルを購入した後の運用コストは通常のバイクより高くなる傾向があります。純正部品が国内にストックされていないため、必要に応じて海外から取り寄せることになり、納期が数ヶ月かかることも珍しくありません。タイヤサイズは4.00-19で、3輪全てが同じサイズですが、ロシア製特有の仕様のため互換性がある他メーカー品を見つけるのに時間がかかります。
年間の維持費としては、通常のオートバイより高額になることを覚悟しておくべきです。ブレーキパッドやエアフィルター、プラグなどの消耗品も海外取り寄せになる可能性があります。ただし、エンジン設計がシンプルで古い技術をベースにしているため、大規模な修理が必要になるケースは意外と少ないという利点があります。信頼性の高さは、長期の運用コストを考える上でのポジティブ要素です。
ウラルのサイドカーボディはオールスチール製で、防錆処理はされていますが、年式が古い中古個体では腐食が進行している場合があります。特に溶接部や底面周辺、水平ボルトが挿入されている部分に錆が発生しやすい傾向があります。中古購入時には、サイドカー内部の湿った跡、白さびや赤さび、塗膜の浮きなどを丹念にチェックする必要があります。
サイドカーボディの補修は高額になります。部分的な錆であれば対応可能ですが、構造部分の腐食が進んでいるケースでは、新しいボディパネルの交換が必要になることもあります。購入前に詳細な点検を行い、腐食の程度を理解した上で価格交渉に臨むことが重要です。ただし、多くのウラル愛好家はこの古い風合いと錆の味わい深さを好む傾向もあり、完璧な外観よりもメカニズムの健全性を優先させる選択も検討の余地があります。
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