スナメリとシロイルカは一見似ていますが、体の大きさに決定的な違いがあります。スナメリは成体でも体長1.5~2m、体重50~70kgと、日本近海では最も小型の鯨類です。成人の身長とほぼ同じか、やや小さい程度のサイズ感です。
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一方、シロイルカは体長4~5.5m、体重400~1600kgにもなり、スナメリの2倍以上の大きさを誇ります。分類学上では体長4mを超えるものは「クジラ」と呼ばれることが多く、イルカとしては最大級のサイズです。ただし、シロイルカの赤ちゃんは体長約130cmで生まれるため、この時期はスナメリと見間違えることもあります。
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実際に水族館で見た際は、その圧倒的な体格差で簡単に区別がつくでしょう。スナメリは人が抱きかかえられそうなサイズ感ですが、シロイルカは成体になると人間よりもはるかに大きく重量感があります。
生息地も両者で全く異なります。スナメリはアジアの温暖な沿岸海域に広く分布し、日本では仙台湾から東京湾、伊勢湾・三河湾、瀬戸内海、有明海や大村湾など、水深50m以内の浅い海域を好みます。特に海底が滑らかな砂地になっている場所や、河口付近にも姿を見せる、私たちの身近な海洋生物です。
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対照的にシロイルカは北極海、ベーリング海北部、オホーツク海など北極圏近くの寒冷な海域に生息しています。流氷があるような厳しい環境で生活し、全身が厚い脂肪に覆われて寒さに適応しています。日本近海で野生のシロイルカを見ることはほとんどありません。
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意外な事実として、スナメリはペルシャ湾から日本にいたる広範囲なアジア地域に分布しており、インド、中国、インドネシア、韓国の沿岸でも確認されています。また、中国の長江には淡水性の亜種も存在していました。
参考)スナメリ - Wikipedia
ヒレの形状は両者を見分ける最も確実なポイントです。スナメリの胸ビレは細長くシュッと尖った三角形で、尾ビレも先端が鋭く、真ん中に深い切れ込みがあります。一方、シロイルカの胸ビレは短く丸みがあるひし形で、尾ビレも丸っこい形状をしています。この胸ビレの違いは写真だけでも判別できる明確な特徴です。
参考)https://senkokugoshochi.com/finlessporpoise-beluga-difference
体色も重要な見分けポイントになります。スナメリは灰色から薄い銀白色で、一般的なイルカと同様の色合いです。対してシロイルカはその名の通り真っ白な体色が特徴です。ただし、シロイルカの赤ちゃんは灰色で生まれ、成長とともに徐々に白くなっていくため、幼体の時期は体色だけでの判別が難しい場合があります。
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口元にも違いがあります。シロイルカは前頭部にメロンと呼ばれる丸い脂肪組織があり、くちばしが少し尖ってアヒル口のように見えます。スナメリは丸い頭でイルカのようなくちばしがなく、口もとがっていません。背びれについては、両者ともに背びれがないという共通点があります。
参考)シロイルカ - Wikipedia
スナメリは魚類、甲殻類、頭足類などを食べ、雄は4歳半から9歳、雌は3歳から7歳で性成熟します。寿命は20年以上30年ほどと推定され、野生個体では23歳の記録があります。沿岸性が強く、群れで行動することが多いですが、シロイルカほど大規模な群れは形成しません。
参考)スナメリについて
シロイルカは極めて社会的な動物で、通常15~200頭の群れを形成し、時には数百頭もの群れになることもあります。魚類、甲殻類、貝類、ゴカイなどの環形動物など50~100種にわたる食物を摂取します。海底の獲物を唇や舌を使って吹きつけたり吸い込んだりする独特の捕食方法を持ち、複数個体で協力して獲物を追い込むこともあります。
参考)【シロイルカ|動物図鑑】特徴と生態
シロイルカには興味深い夏の習性があります。夏季になると河口に集まり、砂利などで古い表皮を剥ぎとって脱皮します。この時期には体色が黄色味を帯び、ほとんど全てのシロイルカが集結するため、ホッキョクグマなどの捕食者に対して無防備になります。実際に、ホッキョクグマの攻撃によってつけられた傷を持つ個体も少なくありません。
スナメリやシロイルカは、その愛らしい姿から食器や陶器のデザインモチーフとしても人気があります。特にスナメリは日本の身近な海洋生物として、地域の特産品やお土産の図柄に採用されることが多く、瀬戸内海周辺ではスナメリをモチーフにした陶器や雑貨が販売されています。
参考)環境省_せとうちネット:瀬戸内海の環境シンボル・スナメリを大…
白いイルカのフォルムは、シンプルで洗練されたデザインとして食器やマグカップ、箸置きなどに取り入れやすい特徴があります。特にシロイルカの丸みを帯びた体型と真っ白な体色は、北欧風のミニマルなデザインとも相性が良く、テーブルウェアとしての人気が高まっています。
環境保全の観点からも、これらの海洋生物をモチーフにした食器を使用することで、海洋環境への関心を高めるきっかけになります。スナメリは瀬戸内海における食物連鎖の頂点に位置し、汚染物質を体内にためやすいため、環境のシンボルとして大切にされています。食卓で使う陶器や食器を通じて、海の豊かさや環境保護について考える機会を持つことができるでしょう。