薩摩切子のペアグラスは、鹿児島県を代表する伝統工芸品として、結婚祝いや記念日など特別なギフトとして高い人気を誇っています。クリスタルガラスに色ガラスを被せてカットを施すことで、光を屈折・反射させながらキラキラと輝く独特の美しさが生まれます。透明なガラスと色ガラスの境目がぼんやりとするようにカットされた「ぼかし」と呼ばれるグラデーションは、他の切子には見られない薩摩切子だけの特徴です。
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薩摩切子の色は作品の価値を大きく左右する要素で、色によって使用する鉱物が異なり価格にも差が生まれます。特に金赤と呼ばれる鮮やかな赤色は純金を使用しており、その名の通り贅沢な色として知られています。伝統的には紅・藍・緑・黄・金赤・島津紫の6色が基本とされ、中でも金赤や島津紫は製造が難しく特別な色として扱われています。近年では2001年に開発された「二色被せ」のように、異なる色を二層に重ねてカットすることで、より複雑で多彩な表現が可能になりました。
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ペアグラスを選ぶ際は、違う色同士を組み合わせてそれぞれの色を楽しむのもおすすめです。単体でも美しい薩摩切子ですが、ペアで揃えればその存在感はより一層強くなり、贈り物としても喜ばれます。
薩摩切子が色によって値段が異なる理由は、主に2つあります。第一に、色によって着色に使用する鉱物が異なり、鉱物の価格によって値段に差が生まれる点です。例えば金赤は純金を使用するため高価格帯となります。第二に、通常よりさらにもう一層色ガラスを重ねる「二色衣・二色被せ」と呼ばれる三層構造の場合、技術的な難易度と手間が加わるため価格が上昇します。
薩摩切子に使用されるクリスタルガラスは、酸化鉛をガラスの原料に加えることで透明度・屈折率・重量感を高めています。幕末に作られたオリジナルの薩摩切子は酸化鉛を約45%も含む高品位なものでしたが、現代では食品衛生法により鉛含有率25%未満で製造されており、安全性と伝統的な輝きを両立させています。
参考)フリーダイヤル
「薩摩の紅ガラス」と珍重された紅色は、日本で初めて開発に成功した色として知られており、当時から特別な存在でした。島津薩摩切子は鮮やかで澄んだ色が特徴で、深くしっとりとした東洋的な色味を持っています。
参考)https://satsumakiriko.co.jp/pages/allure
島津薩摩切子公式サイト - 薩摩切子の魅力や伝統色について詳しく解説されています
薩摩切子のグラスには用途に応じて様々なサイズと容量があります。代表的なオールドグラスは直径約75mm×高さ88mm、容量280mlが標準的なサイズです。冷酒グラスの場合は高さ約7cm×直径7.2cm、容量100mlとコンパクトで、女性の手にも丁度よい大きさとなっています。
参考)https://satsumakiriko.co.jp/products/%E5%86%B7%E9%85%92%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9-1
飲み口が外側に広がるよう角度をつけた設計により、お酒が心地よくゆるやかに口の中へ運ばれる工夫がされています。手作りのため作品によりサイズや容量は異なる場合がありますが、それもまた一点物としての価値を高めています。
参考)オールド
ペアグラスとして贈る際は、ロックグラス(オールド)やタンブラー、冷酒グラス(猪口)など、相手の好みや使用シーンに合わせて選ぶことが重要です。ビールには一口ビールグラスやタンブラー、日本酒には冷酒グラス、ウイスキーにはロックグラスというように、飲み物に合わせたサイズ選びが喜ばれるポイントです。
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📏 主なグラスのサイズ目安
薩摩切子のペアグラスは結婚祝いや還暦祝い、結婚記念日など特別な日の贈り物として最適です。伝統工芸品としての格式と美しさに加え、ペアで揃えることで「二人の絆」「末永い幸せ」といった意味合いを込めることができます。
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外国との交易品や大名達への贈り物として開発された歴史を持つ薩摩切子は、贈答品としての文化的背景も持っています。1851年に薩摩藩の第11代藩主・島津斉彬の代で急発展し、芸術的な薩摩切子として大きく進化しました。
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木箱入りで熨斗掛けやメッセージカードのサービスを提供している工房も多く、ギフトとして適切な包装で届けられます。一つひとつ職人の手で作り出された薩摩切子は世界にふたつとない代物で、特別感のある贈り物として喜ばれています。
参考)https://satsumakiriko.co.jp/pages/wrapping
🎁 薩摩切子が選ばれる贈答シーン
薩摩切子には様々な文様(カットパターン)が施されており、それぞれに意味が込められています。江戸切子と共通する文様も多く、代表的なものとして矢来文は魔除けの意味を持ち、外敵から守るために作られた柵や囲いをイメージしています。
参考)https://ichi-point.jp/edokiriko/
麻の葉文は日本の代表的な文様のひとつで、麻が他の植物より成長が早くまっすぐ育つことから子供の成長と健康を願う意味が込められています。魚子文は魚卵が連なって見える文様で子孫繁栄の意味があり、結婚祝いなどのギフトに特に適しています。菊花紋は一輪の花模様が特徴的で華やかな文様であり、長寿を願うなど縁起のよい意味が込められています。
薩摩切子独自の文様としては、島津家の家紋をモチーフにしたものや、鹿児島の自然をイメージした創作文様なども存在します。文様の選び方によって贈る意味合いも変わってくるため、用途に応じて選ぶことができます。
切子の文様・模様の種類と意味 - 江戸切子・薩摩切子に使用される主要な文様について詳しく解説しています
鹿児島で薩摩切子を制作している工房は限られており、その中でもガラスの成形から加工まで一貫して行っている工房は貴重です。代表的な工房として、島津家の正式な窯として歴史を受け継ぐ「薩摩ガラス工芸」があり、鹿児島市磯の地で製造しています。
参考)https://satsumakiriko.co.jp/pages/about
「薩摩びーどろ工芸」は1994年に創業し、吹きとカットの両方を同工房内で行っているのが特徴で、新色を生み出すことにも力を入れています。成形や面取りは職人による手作業で行われるため、出来上がったときに肌に馴染みやすい仕上がりになります。
「MIRIYU工房」は鹿児島県薩摩郡さつま町にあり、薩摩切子の伝統を継承しつつ「新たな薩摩切子」を追求し、唯一無二の作品作りに力を入れています。完全予約制でオリジナルグラスのオーダーも可能です。
参考)鹿児島の伝統工芸 薩摩切子の製造・販売【MIRIYU工房】
「美の匠 ガラス工房」では世界にたったひとつの薩摩切子のオリジナルアクセサリーや猪口などを切子師と一緒に制作できる体験も提供しています。同じ色でも工房によって違いがあるため、見比べていただきお好みを探すことも薩摩切子の楽しみだと言えます。
参考)薩摩切子・霧島切子|鹿児島県霧島市の工房 美の匠 ガラス工房…
🏭 主要な薩摩切子工房
薩摩切子を末永く愛用するためには、適切なお手入れが欠かせません。薩摩切子は耐熱ガラスではないため、急熱・急冷には十分注意が必要です。洗浄のときはスポンジか柔らかい布に食器用洗剤をつけ、よく泡立ててから丁寧に洗います。
参考)https://satsumakiriko.co.jp/pages/qa
カット面は時々やわらかいブラシで洗い、特に柄つきのスポンジは優しく洗うのに適しています。内側を洗う際に力を入れすぎると割れてしまうことがあるため、怪我にもつながりますので気を付けましょう。しつこい汚れの場合は塩と酢を合わせて、やわらかい布につけてこすると落とせます。
参考)江戸切子や薩摩切子の取り扱い方~適切なお手入れをすれば一生つ…
ぬるま湯で十分にすすぎ、乾ききらないうちに大きめの布で水気を拭き取ってください。指紋が付いてしまわないように、やわらかい布で包み込むようにして片手でしっかりと器を持ち、器を回しながら余分の布で全体を拭きあげると、切子本来の輝きが戻ります。
切子のくすみが気になってきたら、薄めた漂白剤に数分間浸けておくと、細かいところに入り込んだ汚れもきれいに落ちて切子特有の輝きが戻ってきます。食洗機や食器乾燥機の使用は避け、手洗いを推奨します。
参考)ガラス食器のお手入れ方法、洗い方
🧼 お手入れのポイント
島津薩摩切子 よくある質問 - お手入れ方法について公式サイトで詳しく解説されています