よってっての直売所は農産物専門だと思って、陶器を買いに行ったことがない人がいます。でも実は、よってっての催事や加工品コーナーには地元作家の手仕事品が並ぶことがあり、最大で定価の3割引き相当で手に入るケースも珍しくありません。
「産直市場よってって」は、株式会社プラス(和歌山県田辺市本社)が運営する農水産物直売所です。2002年5月、和歌山県田辺市にオープンした「いなり本館」が第1号店で、そこから着実に多店舗展開を重ねてきました。
2026年3月時点では、和歌山県・大阪府・奈良県・兵庫県に計33店舗を構え、登録生産者数は8,000名を超えています。全店合計の売上高は233億円(2025年3月期)という規模感で、近畿地方を代表する産直市場として確固たる地位を築いています。
一般的なスーパーとの最大の違いは、生産者が自ら値段を決めて直接店舗に持ち込む点です。卸売市場や仲卸業者を経由しないため、「新鮮・安心・安価」という3つの価値を同時に実現できます。収穫後すぐに店頭に並ぶので、特に鮮度が命の野菜や果物は際立って品質が高い傾向があります。
よってっての仕組みの面白いところは、生産者が1店舗に持ち込んだ商品を、集配センターを通じて他の店舗にも転送できる点です。農家は自宅近くの「母店」に荷物を預けるだけで、複数の店舗で販売できる。そのため、たとえ田舎の農家であっても大阪市内の店舗で自分の産品を売ることが可能になっています。
令和4年(2022年)の調査では、生産者が「よってって」の売り上げだけで得る年間平均所得は約300万円。年間1,000万円以上の売上を誇る農家が約250戸にのぼり、1億円プレーヤーまで現れています。
産直市場の運営会社はエア・ウォーターグループ傘下にある株式会社プラスです。2021年にグループ入りして以来、さらなる多店舗化と生産者支援の強化を推進しています。
「地元農家と二人三脚!産直市場よってっての地産地消の取り組み」(エア・ウォーター公式)
よってっての仕組みや地産地消への貢献について詳しく解説されています。
よってっては野菜と果物だけのお店だと思っている人がほとんどです。これが大きな誤解です。
実は、各店舗では定期的に催事・イベントが開催されており、陶器やクラフト雑貨の作家が出品するケースがあります。南紀の台 Yottette広場の「南紀の台ホール」では、生産者の対面販売や紀南地方のお土産物・特産品の販売スペースが常設されており、農水産物にとどまらない幅広い地場産品と出会える場として機能しています。
2026年2月には、同ホール内で多肉植物のフェスタが開催されました。このように、農水産物以外のジャンルでも、地域の作り手が直接来場者に販売するイベントが組まれることがあります。陶器好きにとって嬉しいのは、こうした催事では「作家と直接話しながら選べる」点です。百貨店や量販店では体験しにくい、作り手の顔が見える購入体験ができます。
イベントの日程や内容は、よってって公式サイトの「イベントカレンダー」で確認できます。各店舗ごとのスケジュールが月単位で掲載されているので、近隣の店舗をこまめにチェックしておくのが得策です。
産直市場よってって 公式イベントカレンダー
各店舗の催事・イベント情報を月別に確認できます。陶器関連の催事を見逃さないために定期チェックがおすすめです。
陶器好きが産直市場を訪れる際には、農産物コーナーだけでなくイベントホールや地場産品コーナーも必ずチェックするのが原則です。見落としがちなスペースに、地元作家の手仕事品が並んでいることがあります。
陶器を百貨店や雑貨店で買うと高い理由は、生産者から消費者の手元に届くまでに複数の業者が介在するからです。窯元→卸業者→小売店という流通経路を経ると、中間マージンが積み上がり、最終的な販売価格は窯元の出荷価格の2〜3倍になることも珍しくありません。
産直の仕組みはこれを根本から変えます。生産者が自ら値段を決め、直接消費者に売るため、余分なマージンが発生しない。結果として、同じ品質の器を大幅に割安で手に入れられる可能性が生まれます。
これは農産物だけでなく、加工品や工芸品にも当てはまる話です。よってっての公式サイトでは取り扱い品目として「加工品(乾物・和菓子・洋菓子・惣菜・その他)」を明記しており、手数料などの条件を満たした地場の工芸品が出品されるケースがあります。
中間業者を介さないことで価格が安くなる、というのが基本です。陶器の産地直売でも同じ原理が働きます。「知っている人は得をしている」という状況が、産直市場の陶器購入では起きやすい構造になっています。
また、産直市場では在庫リスクを生産者が負う仕組みになっているため、「処分価格で出品」されることも時としてあります。売れ残れば生産者の損失になるため、適切な価格設定と機動的な値下げが行われることがある。これも「産直で掘り出し物に出会いやすい」理由の一つです。
「年間売上高1000万円以上約250戸、1億円プレーヤーも現れた…」(マイナビ農業)
よってっての産直の仕組みと生産者の収益構造について詳しく解説されています。
よってっての33店舗は、和歌山県・大阪府・奈良県・兵庫県に展開しています。各店舗が立地する地域の産品を中心に取り扱っているため、店舗ごとに品揃えの個性があります。
注目は2025年3月にオープンした「南紀の台 Yottette広場」(和歌山県上富田町)です。西日本最大級と称される体験型直売所で、農水産物直売所に加え、イベントホール・フルーツ公園・いちご農園・レストランなど複合的な施設が一体となっています。敷地内の「南紀の台ホール」は催事やトークショーにも使用されるイベント空間で、工芸品や陶器の作家が出品する場として活用される可能性があります。
大阪府内ではてんしば店(天王寺区)が人気で、天王寺駅から徒歩圏内の好立地にあります。都市部の消費者が近畿各地の新鮮産品を気軽に入手できる場として機能しています。
奈良県の店舗では、奈良特有の農産品や加工品が並ぶのが特徴です。京都・奈良エリアは伝統工芸と農産物の文化が近い距離にあるため、地域の手仕事品に出会えるチャンスもあります。
和歌山県の店舗は16店舗と最多で、みかんや梅、桃などの特産品が豊富です。和歌山は漆器や木工品など独自の工芸文化も根付いており、産直イベントと工芸品の接点が生まれやすい土壌があります。
各店舗の所在地・営業時間・催事情報は、よってって公式サイトの「店舗情報」ページから確認できます。
産直市場よってって 公式サイト
全店舗情報・チラシ・催事カレンダーが確認できます。訪問前のチェックが必須です。
陶器好きがよってっての産直市場を活用する際、ほとんどの人が見落としている使い方があります。それは「産直の通販サイトとリアル店舗の催事を組み合わせる」という戦略です。
よってっては、「よってってマルシェ」という公式オンライン通販サイトも運営しています。旬を迎えた農産物を直売所から食卓へ直送するサービスで、実店舗と同じ仕組みで産地直送の産品を購入できます。通販を定期的にチェックしながら、陶器や工芸品目当ての催事情報が出た際には実店舗を訪れる。このオンラインとオフラインの使い分けが、陶器好きには特に有効です。
陶器好きがよってっての産直市場に行く際、農産物の購入と器探しを組み合わせるのが最大効率です。農産品コーナーで新鮮な地場産品を買いながら、催事スペースや加工品・工芸品コーナーを同時にチェックすれば、1回の訪問でふだん使いの食材と一点物の器の両方を手に入れられます。
さらに、よってっての店舗では生産者が直接陳列した商品に「生産者の手書きメモ」が添えられていることがあります。これは農産物だけでなく、工芸系の出品でも作り手の想いや商品の特徴が書かれている場合があります。百貨店では見られない「生の情報」が産直市場の面白さです。これは使えます。
また、よってっては2026年1月にLINEミニアプリを活用した会員証アプリをリリースしました。会員登録をしておくと、催事情報や新着商品情報を受け取れる仕組みが整ってきており、陶器目当ての催事を見逃さないためにアプリ登録は実用的な選択肢です。LINEミニアプリは無料で利用できます。
よってってマルシェ(公式通販サイト)
直売所の産品をオンラインで購入できます。旬の地場産品の情報を自宅から確認できる公式サービスです。
よってっての産直を陶器好きが最大限に活用するための手順をまとめると、まず公式サイトで最寄り店舗のイベントカレンダーをブックマークしておき、次にLINEミニアプリで会員登録を済ませ、催事通知を受け取れる状態にしておく、この2ステップが基本です。あとは農産物の買い物ついでに工芸品コーナーや催事スペースを覗くだけで、産直ならではの価格で良質な器と出会えるチャンスが格段に増えます。