プレート境界世界地図と鉱物資源の分布や形成

プレート境界は世界地図上でどこに分布し、鉱物資源の形成にどう関わっているのか。広がる境界、狭まる境界、ずれる境界の3種類とそれぞれの特徴を解説します。地震や火山活動の仕組みも理解できるでしょうか?

プレート境界世界地図と鉱物資源

プレート境界の3つのタイプ
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広がる境界

大西洋や太平洋の中央で海嶺が形成され、新しいプレートが生まれる場所

⛰️
狭まる境界

環太平洋造山帯やアルプス・ヒマラヤ造山帯で山脈や海溝が形成される

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ずれる境界

サンアンドレアス断層のようにプレート同士が水平にすれ違う境界

プレート境界の世界地図における分布パターン

 

地球表面は14~15枚のプレートで覆われており、世界地図上でプレート境界の分布を見ると、地震や火山活動の集中する場所と一致していることがわかります。プレート境界は地球内部のマントル対流によって移動を続けており、その動きの方向によって3つのタイプに分類されます。広がる境界は太平洋、大西洋、インド洋の中央部に位置し、海嶺と呼ばれる海底山脈を形成しています。これらの境界では新しいプレートが生産され続けており、海洋底拡大の現場となっています。

 

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狭まる境界は環太平洋造山帯とアルプス・ヒマラヤ造山帯に沿って分布しており、プレート同士が衝突する場所です。環太平洋造山帯は太平洋を取り囲むように分布し、ニュージーランドから日本列島、アリューシャン列島、ロッキー山脈、アンデス山脈まで連なる巨大な変動帯です。アルプス・ヒマラヤ造山帯はヨーロッパのアルプス山脈からヒマラヤ山脈を経てインドネシアまで伸びており、ユーラシアプレートと南側のプレートの境界に位置しています。

 

参考)広がる境界 狭まる境界 ずれる境界の場所と覚え方 - 地理情…

ずれる境界は広がる境界や狭まる境界に比べて限定的に分布しており、最も有名なのがアメリカ西海岸のサンアンドレアス断層です。このタイプの境界ではプレートが水平方向にすれ違うように移動し、トランスフォーム断層と呼ばれる横ずれ断層を形成します。

 

参考)https://www.jishin.go.jp/main/yogo/e.htm

プレート境界と地震・火山活動の関係

プレート境界では地震や火山活動が活発に発生しており、世界地図上で地震の発生地点を示すとプレート境界周辺に集中していることが明確にわかります。プレート境界型地震は広がる境界、狭まる境界、ずれる境界のすべてで発生しますが、特に狭まる境界とずれる境界では巨大地震が発生しやすい傾向があります。狭まる境界では海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む際にひずみが蓄積され、それが解放されることで海溝型地震が発生します。

 

参考)https://www.mitsumatado.com/zen/world-plate/

日本列島は狭まる境界に位置しており、日本海溝や南海トラフがプレート同士の衝突境界にあたります。日本周辺には4つのプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレート)が集中しており、世界的にも地震活動が極めて活発な地域です。火山活動もプレート境界に沿って分布しており、環太平洋造山帯は「火山帯」とも呼ばれるほど多数の活火山が存在します。

 

参考)造山帯の分布と分類 - 地理ラボ 詳しすぎる高校地理

広がる境界でも地震は発生しますが、狭まる境界やずれる境界に比べると規模が小さい傾向にあります。これは広がる境界では新しいプレートが生成される過程で岩石が引き伸ばされるため、圧縮力による大規模な破壊が起きにくいためです。一方で、広がる境界では活発な火山活動が見られ、海嶺沿いに多数の海底火山が分布しています。

 

参考)地震の分類(プレート境界型地震・活断層型地震・火山性地震など…

プレート境界における鉱物資源の形成メカニズム

プレート境界は鉱物資源が形成される主要な場所であり、特に広がる境界と狭まる境界では異なるタイプの鉱床が形成されます。広がる境界である中央海嶺では海底熱水鉱床が形成されており、これは地下に浸透した海水がマグマによって加熱されて熱水となり、周囲の岩石から金属元素を溶かし込んで海底に噴出する際に鉱物を沈殿させるメカニズムです。海底熱水鉱床には銅、亜鉛、金、銀などの有用金属が高濃度で含まれており、将来の海底資源として注目されています。

 

参考)https://tetsutohagane.net/articles/search/files/72/2/KJ00002714970.pdf

熱水鉱床の発見報告は中央海嶺が58%、背弧が26%、島弧が16%の割合であり、プレート内火山では1%未満という分布パターンを示します。日本は島弧に位置するため、伊豆・小笠原海域や沖縄トラフなどで海底熱水鉱床が発見されています。熱水チムニーの断面を見ると、中心部に黄銅鉱(CuFeS2)、外側に閃亜鉛鉱(ZnS)、黄鉄鉱という累帯構造が観察され、これは熱水の温度勾配に応じて鉱物が順次沈殿する過程を示しています。

 

参考)第12章 海洋鉱物資源 12.2 海底熱水鉱床

狭まる境界では造山活動に伴って金、銀、銅、スズ、亜鉛などの非鉄金属鉱床が形成されます。新期造山帯では激しい造山活動によってマグマが上昇し、周囲の岩石と反応することで鉱物が濃集します。環太平洋造山帯やアルプス・ヒマラヤ造山帯には世界の主要な金属鉱山が集中しており、これらの地域は鉱物資源の宝庫となっています。また、新期造山帯では石油の埋蔵量も多く、特に新生代の比較的若い地層中に全体の約6割が埋蔵されています。

 

参考)「造山帯」と鉱産資源を関連させて解説しているのはなぜですか。…

プレート境界の3種類の特徴と地形

広がる境界はプレート同士が離れる方向に動く境界であり、太平洋、大西洋、インド洋の中央部に位置する中央海嶺が代表的な地形です。海嶺では地球内部の物質が上昇してマグマとなり、新しい海洋プレートが形成されます。広がる境界では海嶺と呼ばれる海底山脈が連続的に分布し、その総延長は60,000km以上に及びます。広がる境界で形成される岩石は玄武岩質であり、比較的若い海洋地殻が広がっています。

 

参考)広がる境界

狭まる境界はプレート同士が近づく方向に動く境界であり、海溝、山脈、弧状列島、火山列などの特徴的な地形が形成されます。大陸プレート同士が衝突する場合は山脈が形成され、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈がその代表例です。海洋プレートと大陸プレートが衝突する場合は海溝が形成され、日本海溝、南海トラフ、マリアナ海溝などが該当します。狭まる境界では沈み込むプレートが地球内部に消滅していくため、プレートの消費場となっています。

 

参考)狭まる境界

ずれる境界はプレート同士がすれ違う方向に動く境界であり、トランスフォーム断層という横ずれ断層が形成されます。ずれる境界では他の2種類の境界と異なり、プレートが生み出されたり消滅したりすることはなく、水平方向の移動のみが生じます。サンアンドレアス断層では太平洋プレートが北西方向に、北アメリカプレートが南東方向にずれ動いており、地震が頻繁に発生します。ずれる境界では巨大地震が発生しやすく、カリフォルニア州では過去に大規模な地震災害が繰り返されています。

 

参考)広がる境界、狭まる境界、ずれる境界の覚え方:プレートの境界を…

鉱石コレクター必見のプレート境界と鉱物の関係

プレート境界の理解は鉱石コレクターにとって重要な知識であり、世界地図上でプレート境界の位置を把握することで、特定の鉱物がどの地域で産出されるかを予測できます。海底熱水鉱床では黄銅鉱の金色の輝きや閃亜鉛鉱の多彩な色合いなど、視覚的に魅力的な鉱物標本が採取されます。熱水チムニーの断面標本は累帯構造を示しており、鉱物形成の温度条件を視覚的に理解できる教育的価値の高いアイテムです。

 

参考)東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 - 学生の声

日本列島は付加体と呼ばれる特殊な地質構造を持っており、海洋プレートが運んできた遠洋性の堆積物が大陸プレートに付加されることで形成されました。四万十帯などの付加体には赤色チャートと呼ばれる美しい岩石が見られ、これは深海底で堆積したプランクトンの殻に火山灰が混ざって形成されたものです。また、大陸衝突帯である中国東部や大別山-蘇魯大陸衝突帯にはダイヤモンドを含む岩石が分布しており、将来的に日本の堆積岩中でもダイヤモンドが発見される可能性が指摘されています。

 

参考)https://geosociety.jp/faq/content0002.html

新期造山帯の鉱山地域では金、銀、銅などの鉱石標本が豊富に産出されますが、これらは造山活動に伴うマグマの上昇と熱水循環によって濃集したものです。鉱石コレクターが世界各地の鉱物ショーで入手する標本の多くは、プレート境界で形成された鉱床に由来しています。海嶺では硫化鉱物が主体ですが、沈み込み帯では酸化鉱物や珪酸塩鉱物も豊富に産出され、多様な標本を収集できる地質環境となっています。

 

参考)新期造山帯 - Wikipedia

JAMSTEC 海底熱水鉱床の成り立ち - 海底熱水鉱床の形成メカニズムと鉱物学的特徴について詳細な解説
JOGMEC 海底熱水鉱床の概要 - 日本周辺の海底熱水鉱床の分布と資源としての可能性
日本地質学会 プレート境界の解説 - プレートtml">日本地質学会 プレート境界の解説 - プレートの相対運動と収束境界・発散境界の分類

 

 


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