ペリドットの色は黄緑色からオリーブグリーンにかけての幅があり、この色味を決定するのが鉄分とマグネシウムの含有量です。鉄分が多いとグリーンが濃くなり、マグネシウムの量が増すとイエローが増す傾向があります。最高級とされるのは、黄色や茶色を帯びていない純粋な緑色で、特に10カラット以上の大きな石に見られることが多いです。
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化学組成は(Mg,Fe)2SiO4で表され、鉱物名はかんらん石(オリビン)に分類されます。鉄元素を巡る光の吸収・反射作用によって、ペリドット独特の黄色みがかった濃いグリーンカラーが生まれています。低品質のペリドットは茶色がかった色味を示すため、透明度が高く鮮やかなグリーンのものほど価値が高いとされています。
参考)https://www.gia.edu/JP/peridot-quality-factor
ペリドットの主な産地はミャンマー、アリゾナ、ノルウェー、ブラジル、ケニアなどがあり、産地によって微妙に色味の違いがあります。
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ミャンマー産は色味と輝きが非常に上質で知られており、オリーブ系統の色味が強く、透明度が高いことが特徴です。ルビーの産地として有名なモゴックの近くで産出され、通常5カラット以上が少ないペリドットでありながら、10カラットを超える大粒の結晶も採掘されます。
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アリゾナ産は豊富な産出量で有名ですが、茶色や黒の色味が強い低品質のものが多いという特徴があります。ただし、その中には美しいグリーンを示すものもあり、5カラット以下の小粒なものがまとまって産出することから、手ごろな価格のジュエリーに採用されることが多いです。
ノルウェー産はグリーンが濃く、色味が淡くても全体的に均一で美しく澄んだ石が産出されます。その透明度の高さは、良質と言われるミャンマー産が見劣りすることもあるほどで、大粒の結晶も多く採掘されるため、現在ジュエリーとして出回っているペリドットにはノルウェー産が多く使用されています。
ペリドットの最も特徴的な光学特性は、高い複屈折性です。屈折率は1.654~1.690で、複屈折量は0.035~0.038に達します。この複屈折性により、宝石の中に入った光が2方向に分かれて進む現象が起こり、ルースの奥のファセットが二重のラインに分かれて見える「ダブリング」という独特の現象が観察できます。
参考)ペリドットの宝石
10倍のルーペで宝石の正面(テーブル面)から奥を覗くと、裏側のファセットの稜線が二重にブレて見えるこの現象は、ペリドットと類似石を見分ける最も確実な方法とされています。グリーン・ガラスやグリーン・サファイアなどの類似石にはこの複屈折性がないため、ダブリングの観察によって本物のペリドットを識別できます。
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この複屈折による光の屈折は、ペリドット独特の「虹色の煌めき」を生み出し、まるで水中から地上を見上げたときのように眩しく幻想的な輝きをもたらします。
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ペリドットのモース硬度は6.5~7で、宝石としては中程度の硬さです。比重は3.34で、直方晶系(斜方晶系)の結晶構造を持ちます。靭性は普通から良好とされ、ジュエリーとして着用するのに十分な耐久性はありますが、一方向に割れやすいへき開性という性質を持つため、強い衝撃には注意が必要です。
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ペリドットは光に対しては安定的ですが、硫酸によって簡単に損傷し、塩酸によっても割と容易に損傷します。また酸性の発汗に長期間さらされると損傷する可能性があるため、着用後は柔らかい布で拭き取ることが推奨されます。急激な温度変化や不均一な熱によりひびが入る可能性もあるため、取り扱いには注意が必要です。
参考)https://www.gia.edu/JP/peridot-care-cleaning
お手入れには、中性洗剤を溶かした30℃程度のぬるま湯を使用し、柔らかいブラシで優しくこすって洗うのが適切です。超音波洗浄機やスチームクリーナーは衝撃が強いため使用できません。
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ペリドットには地球産だけでなく、隕石から回収される宇宙由来のものも存在します。鉄とマグネシウムのケイ酸塩鉱物であるオリビン(カンラン石)は太陽系の構成物質の一部であり、時々地球に落下する金属隕石に含まれています。特に有名なのは約50年前にアルゼンチンで発見されたエスケル隕石で、この巨大な隕石には数多くのペリドット結晶が含まれていました。
参考)https://www.gia.edu/JP/gia-news-research-gia-tests-extraterrestrial-gemstones-down
地球外のペリドットと地球産のペリドットは、リチウム、バナジウム、ニッケル、マンガン、コバルト、亜鉛の含有率が異なることが研究によって明らかになっています。パラサイト隕石に含まれるペリドットは、惑星同士の衝突により軌道を離れ、地球の引力に引っ張られて隕石となって落下したもので、大気圏突入時の激突により結晶内に歪みが生じている場合が多いとされています。
参考)パラサイトペリドット(パラサイティックペリドット)は宇宙の宝…
歴史的には、ペリドットは紀元前1500年にまでさかのぼる長い歴史を持ちます。古代エジプトでは「太陽の石」と呼ばれ、紅海のザバルガッド島(現在のセントジョンズ島)で採掘されていました。聖書では「クリソライト」という名で登場し、モーゼの兄アーロンの胸当てにつけられた石の一つであり、エルサレムの城壁の土台石に使われた12の宝石の一つとされています。エジプトで産出されたペリドットは十字軍によってヨーロッパにもたらされ、現在でもドイツのケルン大聖堂には200カラットものペリドットが飾られています。
参考)ペリドットの通販サイト|天然石・パワーストーンの専門店
ペリドットは「イブニングエメラルド」「夜のエメラルド」という別名を持ちます。これは、ほの暗い夜の照明の下でも驚くほど高い輝きを発する特性に由来しており、人工光やキャンドルの光源下で発光しているかのような存在感を示すからです。夜の夜行会のシーンで着るイブニングドレスには、エメラルドよりもペリドットの方が華やかでコーディネートできることから、この別名がつけられました。
参考)ペリドッドとは|意味・効果・特徴を解説
エメラルドやトルマリンなどグリーンの宝石は様々存在しますが、ペリドットのグリーンは独特の明るさを感じられる魅力的なカラーです。若草のように爽やかなライトグリーンの色味は、初夏から真夏にかけて色づく爽やかな自然の風景を思わせる美しさがあります。
参考)ペリドット [Peridot]
8月の誕生石としても知られるペリドットは、太陽神アポロと関連付けられ、古代から現代まで多くの人々に愛されてきました。パワーストーンとしては「太陽の光が宿る石」「闇の中で光の導きをもたらす石」とされ、心身を活性化し、ストレスや疲れを和らげる効果があるとされています。愛や調和を象徴する石としても知られ、家庭円満や友情を促進する効果が期待されています。
参考)ペリドットの意味・効果・浄化方法、購入|開運なび 天然石パワ…
<参考リンク>
ペリドットの産地ごとの詳細な特徴について。
ゴールドプラザ - ペリドットの産地ごとの特徴
ペリドットの複屈折と鑑別方法について。
ジュエリーROLA - ペリドットの偽物と本物の見分け方
ペリドットの品質基準について。
GIA - ペリドットの品質を決定する要因

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