クロム酸塩の色と種類を鉱物から顔料まで解説

クロム酸塩にはどんな色と種類があるのか、鉱物や顔料として使われるクロム酸塩の特徴を詳しく解説します。黄色や赤褐色を示すクロム酸化合物の秘密に迫ります。興味はありませんか?

クロム酸塩の色と種類

この記事で分かること
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クロム酸塩の鮮やかな色彩

黄色、橙色、赤褐色など、クロム酸塩が示す多彩な色と発色メカニズム

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クロム酸塩の化学構造

クロム酸イオンと二クロム酸イオンの構造の違いと性質

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鉱物・顔料としての用途

天然鉱物から工業用顔料まで、実用的な応用例

クロム酸塩の基本的な色の特徴

 

クロム酸塩は六価クロム化合物の一種で、クロム酸イオン(CrO₄²⁻)を含む化合物群です。これらの化合物の最大の特徴は、鮮やかな黄色を呈することです。クロム酸イオン自体が黄色であり、クロム酸カリウムやクロム酸ナトリウムといった水溶液も同様に黄色を示します。

クロム酸塩の色は、クロム原子の酸化数が+6であることに起因します。この高い酸化状態により、可視光領域で特定の波長を吸収し、補色として黄色が観察されます。四面体構造を持つクロム酸イオンは、電荷移動スペクトルによって濃い黄色を発色します。

 

参考)クロム酸(クロムサン)とは? 意味や使い方 - コトバンク

一方で、溶液が酸性になると平衡が移動し、クロム酸イオンは二クロム酸イオン(Cr₂O₇²⁻)へと変化します。この変化に伴い、溶液の色は黄色から赤橙色へと劇的に変わります。さらに濃度が高くなると、三クロム酸イオンや四クロム酸イオンなどのポリクロム酸イオンが生成され、溶液は赤黒色を呈するようになります。

 

参考)無機化学のまとめと効率的暗記|クロムとマンガン・その他の金属…

クロム酸塩の種類と色のバリエーション

クロム酸塩には多様な種類があり、それぞれが特徴的な色を示します。代表的な化合物を以下に示します。

 

黄色のクロム酸塩

橙色から赤色のクロム酸塩

これらの色の違いは、クロム酸イオンの構造や結合する金属イオンの種類によって生じます。クロム酸イオンは四面体構造を持ち、二クロム酸イオンは2個の四面体が結合した構造をとります。

 

参考)クロム酸塩 - Wikipedia

クロム酸塩が鉱物・顔料として使われる理由

クロム酸塩は古くから鉱物や顔料として重要な役割を果たしてきました。特にクロム酸鉛(PbCrO₄)は、天然には紅鉛鉱として産出する鉱物です。この鮮紅色の鉱物は、クロム元素が発見される以前から高価な絵の具用顔料として利用されていました。

クロム酸鉛顔料は、黄色の単斜晶系または淡黄色の斜方晶系の結晶として存在し、「クロムイエロー」という名称で顔料業界では広く知られています。この顔料の製造は、クロム元素発見後の初期における主要な目的でした。クロム酸鉛は水に溶けにくい性質を持ち、安定した発色が得られるため、塗料や絵具の原料として最適です。

クロム酸バリウムも同様に、明るい黄色の色素として塗料、コーティング、プラスチックに広く使用されています。その鮮やかな色と不透明度が評価され、安全試合の製造、陶器やガラスの色素としても利用されます。また、硫酸塩やセレン酸の測定試薬としての用途もあります。

六価クロム化合物全般としては、クロム酸ナトリウムは酸化剤として、クロム酸カリウムはクロム酸塩の製造原料、酸化剤、媒染剤、インキの原料として多岐にわたる用途があります。

 

参考)https://www.env.go.jp/chemi/report/h24-01/pdf/chpt1/1-2-3-02.pdf

クロム酸ナトリウムの製法とクロム酸鉛顔料の歴史的背景(日本クロム工業株式会社)

クロム酸塩の色が変化する化学反応

クロム酸塩の色変化は、pHや濃度によって平衡が移動することで起こります。最も代表的な反応が、クロム酸イオンと二クロム酸イオンの相互変換です。

 

参考)クロムの性質と化合物:クロム酸イオンと二クロム酸カリウムの色…

クロム酸イオン(黄色)に硫酸などの酸を加えると、以下の反応により二クロム酸イオン(橙色)に変化します:​
2CrO₄²⁻ + 2H⁺ ⇄ Cr₂O₇²⁻ + H₂O
この反応は可逆的であり、二クロム酸イオンに水酸化ナトリウムなどの塩基を加えると、再びクロム酸イオンへと戻ります。この色変化は視覚的にも明瞭で、化学反応の指示薬としても利用されます。

クロム酸イオンと銀イオンの反応も特徴的です。クロム酸カリウム水溶液に硝酸銀を加えると、赤褐色のクロム酸銀(Ag₂CrO₄)沈殿が生成します。この反応は、モール法と呼ばれる沈殿滴定法で利用されており、塩化物イオンの定量分析に応用されています。

硝酸銀はクロム酸イオンと塩化物イオンが同時に存在する場合、まず塩化物イオンと優先的に反応して白色の塩化銀を生成します。塩化物イオンが完全に反応した後、追加の硝酸銀がクロム酸イオンと反応し、赤褐色のクロム酸銀沈殿が現れた時点を滴定の終点とします。

二クロム酸イオンは強い酸化力を持ち、酸化剤として機能します。酸化反応の際には、二クロム酸イオン自身は還元されて緑色の三価クロムイオン(Cr³⁺)になります。この色変化も視覚的に追跡できるため、酸化還元滴定の指示薬として有用です。

 

参考)金属イオンまとめ(色・沈殿・分離)

クロム酸塩を使った鉱石コレクションの楽しみ方

鉱物愛好家にとって、クロム酸塩を含む鉱石は魅力的なコレクション対象です。天然に産出する紅鉛鉱(クロム酸鉛)は、その鮮やかな色彩と希少性から、鉱物標本として高い価値があります。

紅鉛鉱は黄色から赤黄色の結晶として産出し、産地によって色調が微妙に異なります。これらの色の違いは、結晶系(単斜晶系または斜方晶系)や不純物の含有量によるものです。鉱物標本を観察する際には、自然光と人工光での見え方の違いを比較すると、クロム酸塩特有の発色メカニズムをより深く理解できます。

 

参考)六価クロム化合物(第二種特定有害物質)について|土壌調査のト…

クロム酸塩鉱物を扱う際の注意点として、六価クロム化合物は毒性があることを認識する必要があります。標本の取り扱いには手袋を使用し、粉末が飛散しないよう注意しましょう。また、保管の際は密閉容器に入れ、湿度管理を適切に行うことで、標本の劣化を防ぐことができます。

合成されたクロム酸塩化合物を使った実験も興味深い体験です。クロム酸カリウム水溶液に酸を加えて色変化を観察したり、銀イオンと反応させて赤褐色の沈殿を作る実験は、化学の基礎を学ぶ良い機会となります。ただし、これらの実験は適切な安全対策のもとで行う必要があります。

 

鉱物標本を展示する際には、クロム酸塩の色の美しさを引き立てるために、白色や黒色の背景を使うと効果的です。また、同じクロム酸塩でも異なる金属イオンを含む標本を並べて展示することで、色のバリエーションを視覚的に比較できます。例えば、黄色のクロム酸バリウムと赤褐色のクロム酸銀を並べると、同じクロム酸イオンでも結合する金属によって色が変わることが一目で分かります。

 

環境省による六df/chap01/02.pdf">環境省による六価クロム化合物の特性と用途の詳細情報

 

 


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