熊川哲也映画出演作と劇場公開バレエ作品

世界的ダンサー熊川哲也の映画出演作は実は2作だけ。その一方でバレエ公演を映画館上映する試みは20作以上。その経緯と作品群、さらに知られざる受賞歴とは?

熊川哲也映画出演作品

バレエ公演の映画化が主流と思われがち。


この記事のポイント
🎬
俳優としての出演作

1998年「F」と2002年「およう」の2作品のみ。Fでは日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した実績あり

🩰
in Cinema作品の展開

2019年以降、Kバレエ公演を映画館で上映するシリーズが定着。くるみ割り人形、ロミオとジュリエット、クレオパトラなど20作以上

🎨
芸術監督としての活動

Kバレエカンパニー・Kバレエトウキョウを主宰し、演出・振付・台本まで手がける総合的なクリエイター

熊川哲也映画F出演の経緯と評価


1998年公開の映画「F」は、鷺沢萠の小説『F 落第生』を原作とした作品です。熊川哲也はこの作品で、ロイヤルバレエ団で日本人初のプリンシパルとなった実績を持ちながら、俳優として映画初主演を果たしました。


参考)


主人公の古瀬郁矢役を演じ、謎のラジオDJ役として多くのセリフを担当しました。バレエダンサーとしての圧倒的な身体能力は、作中のバレエ公演シーンで遺憾なく発揮されています。その跳躍力は「空中に存在する」と評されるほどでした。


参考)第2話 1998年 映画「F」 - あおいフォトグラフ(判家…


この演技が高く評価され、第22回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。つまり俳優デビュー作で権威ある賞を獲得したわけです。


参考)F (エフ) - Wikipedia


全国95の民放ラジオ局が制作に協力する大型プロジェクトとして注目されました。松竹系で全国公開された本格的な劇場映画でした。


バレエダンサーが映画俳優として成功した稀有な例といえます。身体表現だけでなく演技力も認められた証明です。


熊川哲也映画およう竹久夢二役

2002年には映画「およう」で竹久夢二役として二度目の映画出演を果たしました。関本郁夫監督による作品で、こちらも松竹系での公開となっています。


参考)熊川哲也 - Wikipedia


大正ロマンを代表する画家・詩人である竹久夢二という実在の人物を演じる挑戦でした。芸術家役としてバレエダンサーの熊川哲也が起用された配役です。


「F」での演技が評価された結果の続投と考えられます。日本アカデミー賞受賞後の出演作として期待されました。


しかし以降、俳優としての映画出演は確認されていません。バレエダンサー・芸術監督としてのキャリアに専念する道を選んだようです。


2003年のドラマ「GOOD LUCK!!」では本人役で出演しており、俳優活動を完全に停止したわけではありません。


ただし映画に関しては2作品のみが実績です。



熊川哲也バレエ映画in Cinema展開

2019年頃から「熊川哲也 Kバレエカンパニー in Cinema」というシリーズが本格始動しました。Kバレエカンパニーの舞台公演を収録し、映画館で期間限定上映する企画です。


参考)https://eigakan.org/movies/detail/87986


上映劇場はユナイテッド・シネマ、シネプレックス、YEBISU GARDEN CINEMAなど全国30~40箇所に及びます。料金は前売り2,200円、当日2,500円程度で設定されています。


参考)https://l-tike.com/cinema/k-sleeping/


主な上映作品には以下があります:

  • くるみ割り人形 in Cinema(2019年、2021年)
  • ロミオとジュリエット in Cinema(2022年)
  • カルメン in Cinema(2022年)
  • クレオパトラ in Cinema(2023年)
  • 眠れる森の美女 in Cinema(2024年)
  • マーメイド in Cinema(2024年)

    参考)熊川哲也 : 関連作品(映画) - 映画.com


これらは通常の映画作品ではなく、舞台公演の映像化です。3歳未満入場不可、3歳以上有料という設定も舞台公演の性質を反映しています。


入場特典としてクリアファイルなどが配布され、初日舞台挨拶も実施されます。映画というより「映画館で観られるバレエ公演」という位置づけです。


K-BALLET公式サイトでは最新の上映情報が確認できます。

熊川哲也映画芸術監督としての役割

in Cinema作品において、熊川哲也は芸術監督・演出・振付・台本を担当しています。単なる出演者ではなく、作品全体を統括する立場です。


参考)熊川哲也:プロフィール・作品情報・最新ニュース - 映画.c…


特に2017年初演の「クレオパトラ」では、台本・音楽・振付すべてにおいてベースが存在しないところから全幕を創作しました。既存のバレエ作品を上演するのではなく、オリジナル作品を生み出す創造性が特徴です。


2011年にはBunkamura オーチャードホールの初代芸術監督に就任しています。バレエカンパニーの主宰だけでなく、劇場運営にも関わる立場です。


熊川版として演出を加えた「眠れる森の美女」では、19世紀バレエ芸術の集大成を独自解釈で再構築しました。愛する者を救うために闘う王子のヒーロー性や、ファンタジックな風合いを強調した作風です。


これら作品群は「熊川哲也の映画」というより「熊川哲也が創作したバレエの映像記録」と表現すべきでしょう。陶芸における作家性と同様、作品に個人の美意識が強く反映されています。


熊川哲也とバレエ以外の映像作品

CM出演も複数確認されています。1997年のネスレ ネスカフェ ゴールドブレンド、2006年のトヨタ自動車、2010年のオンワード樫山など。バレエダンサーとしての認知度を活かした起用です。


DVD作品も豊富に発売されています。「ジゼル」「カルメン」「白鳥の湖」「コッペリア」「ドン・キホーテ」「くるみ割り人形」など。これらは舞台公演の記録映像として商品化されたものです。


2008年には「Being a Dancer」「Dancer」といったドキュメンタリー的作品もDVD化されています。バレエダンサーとしての活動や哲学を記録した内容と推測されます。


映画俳優としては2作品のみですが、映像メディア全体では幅広い活動実績があります。バレエという芸術を映像で伝える試みを継続中です。


陶芸作家が作品集を出版するように、バレエダンサーも映像作品を残します。鑑賞機会の限られる舞台芸術を保存・拡散する意義があります。


映画.com 熊川哲也ページでは関連作品の網羅的な情報が得られます。




映画パンフレット 「F(エフ)」 監督 金子修介 出演 羽田美智子/熊川哲也/野村宏伸/村上里佳子/戸田菜穂/久本雅美/天本英世/石丸謙二郎/高田純次