カタラーゼは多くの野菜に含まれている重要な酵素です。特にダイコンには豊富なカタラーゼが含まれており、大根おろしにすることで酵素が活性化し、消化を助ける効果が高まります。ダイコンをおろす過程で細胞が機械的に破砕されると、ペルオキシソームから酵素液にカタラーゼの大部分が含まれるようになります。
参考)こう素のパワーを試そう/京都府ホームページ
キャベツやブロッコリーも、カタラーゼを含む代表的な野菜です。ブロッコリーの花序部分は茎よりも細胞数が多く、細胞数が多いほどカタラーゼ酵素の量も多くなることが研究で明らかになっています。カボチャやアスパラガスも同様で、花序や果皮の部分により多くの酵素が含まれています。
参考)植物と過酸化水素水から発生する気体の発生量に関する研究~植物…
その他、カブ、ニンジン、ジャガイモ、ナス、キュウリなどの野菜にもカタラーゼが含まれています。これらの野菜は生で食べることで、カタラーゼの効果を最大限に得ることができます。野菜に含まれる酵素は時間の経過とともに酸化して減っていくため、新鮮な野菜を選ぶことが重要です。
参考)カタラーゼがあまり含まれない野菜ってありますか?果物でもOK…
動物性食品の中でも、特にレバーはカタラーゼを豊富に含む食材として知られています。鶏レバーのカタラーゼ活性は1.25×10⁵u/gと非常に高い値を示し、測定した食品の中で最も高い活性を持つことが報告されています。レバーを使った実験では、過酸化水素に触れると活発に酸素を発生させる様子が観察されます。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/shokueishi1960/28/3/28_3_196/_pdf
人間の体内では、肝臓と腎臓、そして赤血球に特に多くのカタラーゼが含まれています。肝臓は解毒作用を担う重要な臓器であり、そのプロセスで生じる過酸化水素を分解するためにカタラーゼが大量に必要となるのです。赤血球に含まれるカタラーゼは、体内を循環しながら活性酸素の除去に働いています。
参考)カタラーゼ(かたらーぜ)とは? 意味や使い方 - コトバンク
魚介類でもカタラーゼ活性が確認されています。丸干しいわしやしらすぼしは20u/g以上の活性を示し、カレイは0.4u/gと比較的低い活性値でした。魚の干物類は全般的に高い活性を示す傾向にあります。これらの動物性食品からカタラーゼを摂取することで、体内の抗酸化システムをサポートできます。
参考)唾液の成分カタラーゼを体内で増やすメリットと増やし方
カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する酵素として、私たちの健康維持に極めて重要な役割を果たしています。過酸化水素は生物の呼吸や代謝の過程で生じる有害物質で、細胞にダメージを与える活性酸素の一種です。カタラーゼ分子1個は、毎秒何百万個もの過酸化水素分子を分解することができる驚異的な効率を持っています。
参考)すぐできる!なるほど★ザ★化学実験室
老化予防の観点から、カタラーゼはアンチエイジング酵素として注目されています。体内の酸化(サビ)を防ぐことで、細胞や臓器の劣化を遅らせる効果が期待できます。カタラーゼが不足すると、細胞や臓器に有毒な過酸化物質が蓄積され、甲状腺や動脈が酸化ダメージを受け、多くの病気の発症を促すことが分かっています。
生活習慣病の予防にもカタラーゼは深く関与しています。カタラーゼ遺伝子の異常は、糖尿病、高血圧、アルツハイマー病、白斑症などに関連することが判明しており、十分なカタラーゼを維持することがこれらの疾患予防につながります。また、新型コロナウイルス感染症による重症化を阻止できる可能性も研究されており、内臓炎症を軽減する作用が期待されています。
カタラーゼ活性の測定には、シンプルで視覚的に分かりやすい方法があります。最も基本的な方法は、検体に3%過酸化水素水(オキシドール)を滴下して、発泡の有無を確認する方法です。野菜や肉に過酸化水素水を加えると、カタラーゼの働きにより酸素が発生し、泡が立つ現象が観察できます。連続した発泡が見られれば、カタラーゼ活性があることを示します。
参考)https://www.aichi-inst.jp/other/up_docs/no156_04.pdf
より精密な測定には、比色法や蛍光法を用いた測定キットが利用されています。試料中のカタラーゼが試薬中の過酸化水素を分解し、分解されずに残った過酸化水素の量から酵素活性を算出する仕組みです。カタラーゼ活性が高いほど呈色が弱くなり、低いほど強い呈色を示します。測定可能な試料には血清、血漿、尿、唾液、細胞培養液などがあります。
参考)カタラーゼ活性測定キット
学校の理科実験でも、野菜を使ったカタラーゼの実験が行われています。野菜の種類や部位によって気体(酸素)の発生量が異なることを観察することで、カタラーゼ含有量の違いを学ぶことができます。カボチャの果皮と果肉、アスパラガスの花序と茎を顕微鏡で観察すると、花序や果皮の細胞数が明らかに多く、それに伴いカタラーゼ量も多くなることが分かります。
参考)https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/sonota/ronnbunshu/R4/221044.pdf
カタラーゼを豊富に含む食材を新鮮に保つためには、適切な保存容器の選択が重要です。陶器や磁器製の保存容器は、食品のにおい移りや色移りがなく、美しい佇まいで食卓を彩ることができます。波佐見焼の保存の器は、保存、温め直し、食器という3つの役目を果たし、多めに作ったおかずをそのまま食卓に出せる便利さがあります。
参考)おいしく保てる保存容器|工芸・暮らし・贈りもの|中川政七商店…
陶器には独特の調湿作用があり、食材の保存に適した特性を持っています。常滑焼の塩壷は、陶器の吸水・放湿性を活かして塩が固まるのを防ぐ機能を持っています。伊賀焼のおひつ飯碗は、焼きものの土の中にある無数の細かい気孔が水分を吸収・放出し、ご飯がべたっとするのを防ぎます。蓋をしたままレンジで温め直すと、吸収した水分を放出し、炊きたてのご飯のようなおいしさになります。
ガラス製のキャニスターも保存容器として優れた選択肢です。WECKのような密閉性の高いキャニスターは、湿気や乾燥を防いでくれ、長期保存したい食材におすすめです。厚手のガラスは匂い移りの心配が少なく、煮沸消毒ができるので衛生的にも安心です。カタラーゼを多く含む野菜や果物を新鮮な状態で保存し、生のまま食べることで、酵素の効果を最大限に活かすことができます。
参考)酵素の多い食品は?【野菜編】厳選5つ - ユニライフ きろろ…
カタラーゼは熱に弱い性質を持つため、効果的に摂取するには生で食べることが最も重要です。酵素は加熱すると変性して活性を失う(失活する)ため、野菜の場合はサラダなど生のままの食べ方がよいでしょう。大根おろしは特にカタラーゼが活性化しやすく、胃もたれの軽減に役立つとされています。
参考)酵素が豊富な食品をご紹介。食事に取り入れて健康な食生活を送ろ…
野菜や果物を新鮮な状態で摂取することも大切です。食品に含まれる酵素は、時間の経過とともに酸化するため減っていきます。購入後はできるだけ早く調理し、新鮮なうちに食べることで、より多くのカタラーゼを摂取できます。また、野菜をすりおろしたり細かく刻んだりすることで、細胞が破砕され、酵素が放出されやすくなります。
参考)ダイコンのカタラーゼの性質について
加熱が必要な料理の場合は、低温で調理することをおすすめします。高温での長時間調理は避け、できるだけ短時間で仕上げることで、カタラーゼの失活を最小限に抑えることができます。レバーなど動物性食品も、生や半生の状態で食べられる調理法を選ぶと、カタラーゼの効果を得やすくなりますが、衛生面には十分注意が必要です。
参考)「高校生物基礎」カタラーゼと酸化マンガン(Ⅳ)の実験問題の解…
私たちの唾液にもカタラーゼが含まれており、口腔内の健康維持に重要な役割を果たしています。唾液には消毒液のオキシドールと同じような働きがあり、「すり傷くらい唾をつけておけば治る」という言葉も、あながち嘘ではありません。唾液中のカタラーゼが、傷口の過酸化水素を分解し、細菌の増殖を抑える効果があるのです。
参考)第5話 唾液が「がん」を予防
梅干しを食べると唾液の分泌が促進されることが知られています。唾液に含まれるアミラーゼとカタラーゼは、でんぷんを分解し、体内の活性酸素の増加を抑えてくれる優れた働きがあります。梅干しの酸味により唾液分泌が増えることで、これらの酵素の働きも活発になります。カタラーゼは過酸化水素を水と酸素に分解する触媒の酵素として、体内で生じる活性酸素の毒性をおさえる働きをしてくれます。
参考)アミラーゼとカタラーゼの働き
唾液中のペルオキシダーゼとカタラーゼには、いずれも有害な活性酸素を除去する強い働きがあることが分かっています。唾液は健康な人で一日に1~1.5リットルくらい分泌されており、この大量の唾液が口腔内だけでなく、飲み込まれることで消化器系の健康にも貢献しています。十分な唾液分泌を促すためにも、よく噛んで食べることや、梅干しなど唾液分泌を促す食品を取り入れることが推奨されます。
参考)梅干しの活用法
カタラーゼの主要な機能は、有害な過酸化水素(H₂O₂)を無害な水(H₂O)と酸素(O₂)に分解する反応を触媒することです。この反応は「2H₂O₂ → 2H₂O + O₂」という化学式で表され、カタラーゼはこの反応を驚異的な速度で進行させます。過酸化水素は生物の呼吸や代謝で生じ、細胞にダメージを与える活性酸素の一種です。
カタラーゼは鉄ポルフィリン酵素の一つで、結晶化された1分子に4個の鉄(Fe³⁺)を持っています。分子量は22万~26万で、種によってアミノ酸配列に多少の相違がありますが、いずれも四つのサブユニットで構成されています。ヘムとマンガンを補因子として用いることもあります。この特殊な構造により、カタラーゼは毎秒何百万個もの過酸化水素分子を分解する効率性を実現しています。
酸素呼吸をするすべての生物細胞はカタラーゼを持っており、細胞内で常に発生する過酸化水素を素早く分解することで、細胞へのダメージを最少に抑えています。野菜や肉にオキシドールを加えると泡が立つのは、このカタラーゼの分解反応により酸素が発生するためです。カタラーゼとスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)が協同的に働くことにより、活性酸素から生体を効果的に防御しています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/9/3/9_164/_pdf
発酵食品にもカタラーゼを含むものがあり、日本の伝統的な食文化と深く結びついています。納豆、味噌、漬物などの発酵食品は、酵素を多く含む食品として知られています。これらの発酵食品は、微生物の働きにより食材が変化する過程で、様々な酵素が生成されたり、活性化されたりします。
漬物には抗酸化物質が含まれており、活性酸素を除去する働きがあります。野沢菜漬などの漬物は、野菜本来のカタラーゼに加えて、発酵過程で生成される成分により、さらに健康効果が高まっています。酸味が強すぎた漬物は、煮物などに使えば料理の味がいっそう引き立つという調理上の利点もあります。
参考)https://www.umeena.co.jp/effect/index.html
梅干しも発酵食品の一種として、カタラーゼの働きをサポートします。梅干しを食べることで唾液の分泌が増え、唾液に含まれるカタラーゼの量も増加します。梅干しには「梅は三毒を断つ」という言い伝えがあり、強い防腐作用と解毒効果が様々な疫病や食中毒から守ってくれました。現代でも、梅干しのクエン酸には体内のカルシウムの吸収をよくする働きがあり、育ち盛りの子供から高齢者まで活用が推奨されています。
参考)驚異の梅パワー
カタラーゼの不足や遺伝子異常は、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。血液(赤血球)に含まれるカタラーゼの活性値が正常値の半分のものを低カタラーゼ血症、ゼロのものを無カタラーゼ血症と呼びます。これらの疾患を持つ人は、体内の過酸化水素を十分に分解できず、細胞や組織へのダメージが蓄積されやすくなります。
肝臓、腎臓、赤血球などの臓器でカタラーゼが不足すると、細胞や臓器に有毒な過酸化物質が蓄積されていき、甲状腺や動脈が酸化ダメージを受け、他の臓器も傷んでいきます。カタラーゼ遺伝子の異常は、糖尿病、高血圧、アルツハイマー病、白斑症、無カタラーゼ血液症などに関与していることが判明しています。これらの疾患は、過酸化水素の適切な分解ができないことで、体内の酸化ストレスが増大することと関連しています。
体内のカタラーゼを増やすことは、これらの健康リスクを軽減する有効な手段です。カタラーゼを豊富に含む食品を積極的に摂取することで、体内の抗酸化システムを強化できます。また、最近の研究では、細胞分裂期や酸化ストレス時にカタラーゼの細胞内配置が変化し、より効果的に酸化ストレスに対応する仕組みが明らかになっています。適切な食生活と生活習慣により、カタラーゼの働きを最大限に活かすことが、健康長寿の秘訣と言えるでしょう。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11201554/