化石燃料あと何年で枯渇か最新予測と鉱石資源の可採年数

地球の限りある化石燃料は石油や天然ガスがあと約50年、石炭は約140年で枯渇すると予測されています。鉱石資源に関心のある方に向けて、最新の可採年数データと枯渇後のエネルギー転換について詳しく解説しますが、私たちは本当に準備できているのでしょうか?

化石燃料あと何年で枯渇するか最新データ

化石燃料あと何年で枯渇するか最新データ

化石燃料の可採年数(2023年時点)
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石油:約50~54年

現在の生産ペースでは2070年代に枯渇する見込み

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天然ガス:約49~56年

石油とほぼ同時期に枯渇する可能性が高い

石炭:約132~140年

埋蔵量が豊富で最も長く使用可能な化石燃料

化石燃料の可採年数とは何か

 

可採年数とは、現在確認されている埋蔵量を年間生産量で割った数値で、その資源があと何年採掘・使用できるかを示す重要な指標です。2023年末時点の国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、石油の可採年数は約50年、天然ガスは約49年、石炭は約132~140年と推定されています。ただし、この数値は新たな油田や炭田の発見、採掘技術の進歩、消費量の変化によって変動する可能性があります。

 

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可採年数の計算には確認埋蔵量のみが使用され、未発見の資源や技術的に採掘困難な資源は含まれていません。そのため、実際の枯渇時期は技術革新や探査活動の成果次第で延びる可能性もあります。しかし、化石燃料の消費量が現在のペースで増加し続ければ、予測よりも早く枯渇する危険性も指摘されています。

 

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化石燃料の石油と天然ガスの枯渇予測

石油と天然ガスは、あと約50年で枯渇する見込みとなっており、特に石油生産量は2010年から2030年の間にピークに達し、その後は生産量が減少していくと予測されています。国際エネルギー機関(IEA)の「2024年版世界エネルギー見通し」によれば、世界の石油需要は2030年までに日量1億200万バレルでピークに達し、その後2035年までに2023年の水準である日量9,900万バレルまで低下する見通しです。

 

参考)https://u-power.jp/sdgs/future/000402.html

天然ガスについても同様に、2030年頃に需要のピークを迎えると予測されています。電気自動車(EV)の普及や再生可能エネルギーの導入拡大により、輸送セクターでの石油需要が減少することが主な要因とされています。現在の経済を支えている石油や天然ガスは、このままのペースでいけばあと50年で枯渇する計算になっているため、代替エネルギーへの転換が急務となっています。

 

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化石燃料の石炭の可採年数と将来予測

石炭は化石燃料の中で最も埋蔵量が豊富で、可採年数は約132~140年と見積もられています。これは石油や天然ガスと比較して2倍以上長い期間使用できることを意味します。ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)の統計2021年版によると、石炭の確認可採埋蔵量は1兆741億トンで、可採年数は139.2年とされています。

 

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しかし、IEAの予測では、気候変動対策の強化により石炭需要は2025年頃にピークを迎え、その後着実に減少に転じると見られています。現在の政策に基づくシナリオでは、石炭消費量は2023年のレベルから2035年までに約25%減少し、2050年には約45%減少すると予測されています。より積極的な気候変動対策が実施される場合、2035年までに約45%、2050年までに75%の需要減少も想定されています。

 

参考)国際エネルギー機関(IEA)「2024年版世界エネルギー見通…

化石燃料の枯渇時期に関する最新研究

最新の研究によれば、石油と天然ガスは2070年頃、石炭は2150年頃に枯渇すると予測されています。ただし、これは新たな埋蔵地の発見がなく、化石燃料の消費量が今のペースで増え続けることを前提とした計算です。一部の研究では、石炭消費量を年2.3%増加と仮定すると、2070年には石炭も枯渇が予測され、石油枯渇とほぼ同じ時期になる可能性も指摘されています。

 

参考)http://shukusho.org/data/my-deduction-society/nakanishi/nakanishi(2015.3.27).pdf

2022年の全球化石燃料による二酸化炭素排出量は36.1±0.3ギガトンに達し、2021年の35.5ギガトンから2.0%増加しました。この増加傾向が続けば、化石燃料の枯渇はさらに早まる可能性があります。一方で、探査技術や採掘技術の進歩により、これまで経済的に採掘困難とされていた資源が利用可能になる可能性もあり、枯渇時期の予測には不確実性が伴います。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10010646/

化石燃料枯渇が鉱業資源開発に与える影響

化石燃料の枯渇は、鉱業資源開発の分野に大きな影響を与えると考えられます。特に注目されているのが、電気自動車や再生可能エネルギー設備に必要なリチウム、ニッケル、コバルト、レアアースなどの鉱物資源の需要急増です。化石燃料からの脱却とエネルギー転換が進むことで、これらの鉱物資源の重要性は今後数十年間で著しく高まると予測されています。

 

参考)https://www.mdpi.com/2071-1050/14/1/11/pdf

興味深いことに、核融合発電所では発電と同時に海水から金属資源(リチウム、ニッケル、チタンなど)を高効率に抽出する研究も進められています。化石燃料の枯渇により、エネルギー価格の高騰やエネルギー供給の不安定化が懸念されますが、これは新たな鉱物資源開発の機会にもなり得ます。鉱石に関心のある方にとって、化石燃料の枯渇後の世界では、従来の石油・石炭・天然ガスに代わって、新エネルギー関連の鉱物資源が主役となる可能性が高いといえるでしょう。

 

参考)https://www.nifs.ac.jp/research/r-report/lhdreport-o/mailinfo_209.html

化石燃料の代替エネルギーへの転換動向

化石燃料の枯渇を見据えて、世界各国で再生可能エネルギーへの転換が加速しています。太陽光発電、風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーは、化石燃料に代わる持続可能なエネルギー源として注目されており、近年の技術革新によりコストが大幅に低下し、地域によっては化石燃料よりも経済的に優位になってきています。2023年の世界エネルギー構成では、化石燃料が83%、再生可能エネルギー(主に水力、風力、太陽光)が12.6%、原子力が6.3%を占めています。

 

参考)https://www.mdpi.com/2071-1050/14/8/4792/pdf?version=1650101696

IEAの予測では、2030年までに石油、天然ガス、石炭の3種類の化石燃料すべての需要がピークに達し、世界は「電気の時代」に移行すると見られています。さらに長期的には、核融合発電や水素エネルギーなどの次世代エネルギー技術も研究開発が進められており、核融合による水素製造が実現すれば、化石燃料に依存しない安定したエネルギー供給が可能になると期待されています。日本政府も2030年のエネルギーミックスとして再生可能エネルギーの電源構成比率56%を目指し、水素や蓄電池などの技術開発を推進しています。

 

参考)化石燃料需要、30年にはピークに 「電気の時代」へ移行=IE…

<参考リンク:国際エネルギー機関(IEA)による化石燃料需要のピーク予測と「電気の時代」への移行に関する詳細分析>
化石燃料需要、30年にはピークに 「電気の時代」へ移行=IEA - ロイター
<参考リンク:化石燃料の可採年数に関する最新データと枯渇予測の詳細>
世界のエネルギー資源はあとどれくらいもつの? - エネ百科
<参考リンク:核融合発電による水素製造と化石燃料代替の可能性に関する研究>
未来志向の核融合発電所の設計研究 -電力と水素燃料の同時製造- - 核融合科学研究所

 

 


化石燃料革命 (B&Tブックス)