籠目とは二つの正三角形を上下に組み合わせた形状で、六芒星とも呼ばれます。この文様は竹籠の編み目を表現したもので、日本の陰陽道では「清明紋」として邪を払う力があると信じられ、魔除けの印として使われてきました。西洋では「ダビデの星」とも呼ばれ、イスラエル国旗にも採用されています。
参考)https://www.natubunko.net/paint/kamon-p004.html
基本的な籠目の描き方は、まず正三角形を一つ描くことから始まります。正三角形が描けたら、それをコピーして垂直方向に反転させるだけで、簡単に六芒星の形が完成します。この単純な手順だけで、一見複雑に見える籠目文様が誰でも描けるようになるのです。
デジタルツールを使う場合、キャンバスサイズを160×160ピクセル程度に設定し、選択範囲のオプションを「透明な背景」にすると作業がスムーズです。下書きの線を消した後、全体をコピー&ペーストして反転させれば完成です。
陶器への籠目絵付けでは、下絵、上絵、金彩と段階的に色を重ねていく技法が用いられます。伝統的な陶磁器装飾では、籠目文様は魔除けの効果があると信じられており、器の中に入ろうとする邪気を祓う意匠として喜ばれてきました。
参考)https://orian.shop-pro.jp/?pid=181157012
志野焼などでは、素焼焼成後に高台部を残して器全体に薄く鉄漿を施し、箆で籠目文を画した後に薄く長石釉掛けを行う方法が伝統的です。織部の向付に描かれる籠目や籠は、江戸時代の「御事始」という正月準備で使われた目の粗い竹籠に由来し、邪気を祓う効力があるとされています。
参考)現代クラシック やきもの館
現代的な絵付け技法として、オーブンインクを使った方法もあります。家庭用電子レンジ3分とオーブン3分でシートの絵柄だけが定着する簡単な方法で、初心者でも陶器やガラスに美しい籠目文様を転写できます。
参考)籠目(紺) A4: 材料・用具|手づくりタウン by 日本ヴ…
籠目を連続模様として描く場合、並行する直線を三方向に60度ずつ斜めに角度を変えて重ねた幾何学模様を作ります。この連続模様も「籠目」と呼ばれ、より複雑で美しいパターンを生み出すことができます。
連続模様の製図には斜め方眼の活用が効果的です。5ミリ斜方眼で製図し、あらかじめマジックなどで製図したものを晒しに写す方法が推奨されています。60度に交差するグリッドが描けるようになると、描ける模様のバリエーションが大幅に増えます。
参考)(なぜか)映える仕上がり 籠目(かごめ)文様 - nuu.n…
Illustratorなどのデジタルツールを使う場合、六角形を描いてアンカーポイントを削除し、残ったパスを加工する方法があります。パーツを元の長さの2倍弱に伸ばし、シアーツールで-30度のシアーにして平行四辺形にすることで、美しい連続パターンが作成できます。
参考)【Illustrator・和柄の作り方】籠目を作る
籠目の下書きを正確に行うためには、定規と消えるペン(水や熱で消えるタイプ)を使用することが基本です。15×15cmの正方形を外周と定め、上下は1cm間隔、左右は0.5cm間隔で点を打つという特殊な斜め方眼を使います。
参考)ひと目で刺す籠目の花ふきん/一目刺し子の図案/さらしで刺し子…
刺し子での籠目製図では、外周から0.5cm外側に書いたドットと上のドットを結ぶ線を描くことで、正確な籠目パターンが完成します。この方法は陶器絵付けの下書きにも応用でき、正確な配置を保ちながら作業を進めることができます。
意外な実践的コツとして、籠目は「結構テキトーに刺しても映える出来上がりになる」という特徴があります。糸の色によって全く印象が異なるため、陶器絵付けでも色の選択が仕上がりの印象を大きく左右します。この特性を理解することで、初心者でも自信を持って作業に取り組めます。
籠目文様は六芒星に見えることから、古くから邪気を払い魔除けの模様として用いられてきた縁起柄です。竹などで編んだ籠の網目をモチーフにした柄で、江戸時代には代表的な編み方である六つ目編みが鬼が嫌う文様だとして浴衣や器に使われました。
参考)縁起のいい和柄一覧|文様の意味と種類でわかる日本の伝統模様1…
現代の食器デザインでは、籠目文様はスタイリッシュにも使える伝統紋様として再評価されています。波佐見焼などの陶磁器ブランドでは、籠目文を模した連続文様を小皿などに採用し、魔除けの効果があるという伝統的な意味合いと現代的なデザイン性を両立させています。
参考)小皿 和文/青
焼き物に施される文様として、籠目は十草、唐草、蛸唐草、麦藁手などと並ぶ代表的な伝統文様です。日本を代表する伝統文様の種類は100種類を超えますが、その中でも籠目は特に親しまれている柄の一つです。陶器や食器に籠目を描くことで、単なる装飾を超えた文化的な意味を器に与えることができます。
参考)【焼き物】絵柄の種類 十草・籠目・唐草・蛸唐草・麦藁手・網目…
参考リンク:籠目(かごめ)の作図・描き方 - 正三角形から六芒星を作る基本手順が画像付きで詳しく解説されています
参考リンク:Illustrator・和柄の作り方 籠目を作る - デジタルツールでの籠目パターン作成方法が工程ごとに説明されています
参考リンク:絵柄の種類 十草・籠目・唐草 - 焼き物に施される伝統文様の種類と特徴が一覧で紹介されています