磁束密度単位ガウスとテスラ換算と測定方法

磁束密度の単位であるガウスとテスラはどう違うのでしょうか。鉱石や磁石に興味がある方に向けて、単位系の違いや換算方法、測定器の使い方まで詳しく解説します。あなたも磁気測定にチャレンジしてみませんか?

磁束密度単位ガウステスラ

磁束密度単位ガウステスラ

この記事で分かること
🧲
単位系の基礎

ガウスとテスラの違いやCGS単位系とSI単位系の関係を理解できます

🔬
測定方法

ガウスメーターやテスラメーターを使った実際の測定手順が分かります

鉱物の磁性

磁鉄鉱や赤鉄鉱など、磁性を持つ鉱物の特徴と応用例を知ることができます

磁束密度ガウステスラ換算の基本

 

磁束密度の単位には、ガウス(G)とテスラ(T)という二つの主要な単位が存在します。これらはそれぞれ異なる単位系に属しており、ガウスはCGS単位系、テスラはSI単位系(国際単位系)で使用されます。現代の科学技術分野では、SI単位系のテスラが標準として採用されていますが、磁気関連の古い文献や一部の産業分野では今でもガウスが使用されています。

 

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6752159/

換算関係は非常にシンプルで、1テスラ=10,000ガウス(1T=10⁴G)、逆に1ガウス=0.0001テスラ(1G=10⁻⁴T)となります。例えば、5,000ガウスの磁束密度は0.5テスラに相当し、2テスラの磁束密度は20,000ガウスに相当します。この換算係数は、両単位系における磁束と面積の定義の違いから生じるもので、1ウェーバ毎平方メートル(Wb/m²)が1テスラに等しく、1マクスウェル毎平方センチメートル(Mx/cm²)が1ガウスに等しいことに由来します。

 

参考)磁束密度とその単位についての解説

身近な例で磁束密度の大きさを理解すると、日本における地磁気の強さは約46,000ナノテスラ(nT)、つまり0.046ミリテスラ程度です。一般的な冷蔵庫用マグネットは数十から数百ガウス(数ミリテスラから数十ミリテスラ)程度、強力なネオジム磁石では1テスラ(10,000ガウス)を超える磁束密度を持つものもあります。

 

参考)https://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/qanda.html

磁束密度測定器ガウスメーターの仕組み

ガウスメーター(別名テスラメーター)は、磁束密度を正確に測定するための専門機器です。この測定器の基本原理は「ホール効果」と呼ばれる物理現象に基づいています。ホール効果とは、電流が流れている半導体に磁場を垂直に加えると、電流と磁場の両方に垂直な方向に電圧(ホール電圧)が発生する現象です。

 

参考)ガウスメーターの正しい使い方

測定の仕組みは次のようになります。センサー内部のホール素子に一定の電流を流し、測定したい磁場をこの素子に垂直に当てます。すると磁束密度に比例したホール電圧が発生し、この電圧値から磁束密度を計算して表示します。現代のガウスメーターは、地磁気程度の数マイクロテスラ(µT)という微弱な磁束から、強力な永久磁石の数テスラ(T)という強い磁束まで、幅広い範囲を高精度で測定できます。

 

参考)#08 テスラメーター(ガウスメーター)の磁束密度測定方法・…

ガウスメーターには軸型(1軸、3軸)の違いがあり、1軸タイプは特定方向の磁束密度のみを検出するため、測定時には磁場の方向を意識する必要があります。一方、3軸タイプは三次元的な磁場ベクトルを同時に測定できるため、磁場の方向が不明な場合でも正確な測定が可能です。測定用途には、永久磁石のN極・S極の判別、電磁石の磁場計測、地磁気の測定、漏れ磁束の検査、磁性材料の特性評価などがあります。

 

参考)磁束密度を測定するガウス(テスラ)メーターとは?原理について…

磁束密度計算公式と単位換算表

磁束密度の計算には基本的な公式があります。磁束密度B(単位:テスラ)は、磁束Φ(単位:ウェーバー、Wb)を面積A(単位:平方メートル、m²)で割った値として定義されます。数式で表すとB = Φ / Aとなり、単位換算では1T = 1Wb/m²が成り立ちます。

 

参考)テスラ (単位) - Wikipedia

また、磁束密度は磁界の強さH(単位:アンペア毎メートル、A/m)と物質の透磁率μ(単位:ヘンリー毎メートル、H/m)の積としても表現できます。すなわちB = μHです。真空中では透磁率は真空の透磁率μ₀(4π×10⁻⁷ H/m)となります。

 

参考)磁束と磁束密度

単位換算において重要な関係を表にまとめると、以下のようになります。

物理量 SI単位系 CGS単位系 SI→CGS換算 CGS→SI換算
磁束密度 テスラ(T) ガウス(G) 1T = 10⁴G 1G = 10⁻⁴T
磁束 ウェーバ(Wb) マクスウェル(Mx) 1Wb = 10⁸Mx 1Mx = 10⁻⁸Wb
磁界の強さ アンペア毎メートル(A/m) エルステッド(Oe) 1A/m ≈ 1.26×10⁻²Oe 1Oe ≈ 79.6A/m

 

参考)磁気単位換算表

この換算表は、古い文献を読む際や、CGS単位系を使用している測定器のデータをSI単位系に変換する際に非常に便利です。例えば、5,000ガウスの磁束密度は0.5テスラに、100マクスウェルの磁束は10⁻⁶ウェーバに換算されます。

 

参考)ガウスとテスラの変換式を教えてください? - 半導体事業 -…

鉱石鉱物の磁性と磁鉄鉱の特徴

自然界に存在する鉱物の中には、磁性を持つものが数多く存在します。特に鉱石に興味を持つ方にとって、磁性は鉱物を識別する重要な手がかりとなります。鉱物の磁性は大きく分けて、強磁性(フェロ磁性)、フェリ磁性、常磁性、反強磁性、反磁性の5種類に分類されます。

 

参考)https://trekgeo.net/m/b/61magnetic.htm

**磁鉄鉱(マグネタイト、Fe₃O₄)は、最も強い磁性を持つ鉱物の一つとして知られています。黒色から暗灰色の金属光沢を持ち、磁石に強く引き寄せられるため、古代から天然磁石として利用されてきました。磁鉄鉱のキュリー温度は約580℃で、これを超えると磁性を失います。実際には、純粋な磁鉄鉱よりも、酸化によって生成される磁赤鉄鉱(マグヘマイト、γ-Fe₂O₃)**の方が強い磁性を示すことが知られています。

 

参考)https://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/geology/mineral-rock-sirabekata/mineral44/mineral-jisei/mineral-jisei.html

その他の磁性鉱物には以下のようなものがあります。

  • 強磁性鉱物: 磁硫鉄鉱、キューバ鉱、ヤコブス鉱、自然鉄、自然ニッケル​
  • 常磁性鉱物: 赤鉄鉱(加熱後)、菱鉄鉱、灰鉄輝石、チタン鉄鉱

    参考)鉱物の磁性 Magnetic Properties of M…

  • 反磁性鉱物: 石英、方解石、金、硫黄、ダイアモンド​

鉱物の磁性を調べる最も簡単な方法は、市販のフェライト磁石を紐でつるし、それが引きつけられるかどうかを観察することです。この方法で、磁鉄鉱や磁硫鉄鉱などの強磁性鉱物を容易に識別できます。

磁束密度測定の応用と産業利用例

磁束密度の測定技術は、現代の産業や研究分野において極めて重要な役割を果たしています。ここでは、鉱石や磁石に関連する具体的な応用例を紹介します。

 

永久磁石の品質管理では、ガウスメーターを使って製品の磁束密度分布を測定し、設計仕様を満たしているか確認します。特に多極のリングマグネットなどでは、各極の磁束密度のバラツキを可視化することで、不良品の詳細解析や製品開発に役立てられています。ネオジム磁石は最も高い磁束密度を持ち、次いでアルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石の順となります。
参考)#05 どんな用途に使われる?磁束密度測定編

磁性材料の特性評価において、磁束密度測定は不可欠です。磁鉄鉱や赤鉄鉱などの鉱物資源の磁気特性を評価することで、鉄鉱石の品質判定や選鉱プロセスの最適化に活用されています。砂鉄(チタノマグネタイト)の磁気特性研究では、未処理の砂鉄は実用に不十分な磁気特性しか持たないことが分かっており、磁気分離処理後の化学組成と磁気特性の関係が詳しく調べられています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8466428/

漏れ磁束の検査は、製造業における品質保証の重要な手段です。インバータなどの電気機器から発生する交流漏れ磁束や、機械部品の素材が持つ残留磁気を評価することで、製品の安全性と性能を確保します。ガウスメーターは、地磁気レベルの数マイクロテスラから強力な永久磁石の数テスラまで、幅広い範囲で高精度な測定が可能です。
参考)https://www.irii.jp/examination/detail/pdf/kaihoh13_01.pdf

地磁気測定と環境モニタリングでは、精密な磁束密度測定が科学研究に貢献しています。地磁気の強さは日本で約46,000ナノテスラ(0.046ミリテスラ)程度ですが、この微弱な磁場の変動を測定することで、地殻変動や宇宙からの影響を研究できます。また、岩石や堆積物の磁気特性を調べることで、過去の地磁気変動や地質学的イベントを解明する古地磁気学研究にも応用されています。
参考)302 Found

減磁に関する詳細情報 - 磁石の基本原理と磁力が弱くなる原因について
ガウスメーターの使用例と測定方法 - 目的別の詳細と測定方法 - 目的別の詳細ガイド

 

 


CNYST ハンドヘルドガウスメーター テスラメーター ACおよびDC磁場テスター LEDディスプレイ付き mT/Gs単位換算 範囲 0 ~ 200mT ~ 2000mT 感度: 0.01mT、0.1mT DCまたはAC磁場および磁束密度の測定用