次亜塩素酸スプレーは、塩素系漂白剤を水で希釈することで家庭でも簡単に作成できます。必要な材料は、市販の塩素系漂白剤(キッチンハイターやブリーチなど)、水、ペットボトル、計量用のキャップまたはスプーンです。塩素系漂白剤の主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、5~6%の濃度に調整されて販売されており、これを用途に応じて薄めて使用します。
参考)次亜塩素酸ナトリウム液の作り方
作成時は必ず家事用手袋を着用し、換気の良い場所で行うことが重要です。ペットボトルのキャップ1杯は約5ml、8分目で約2mlとなるため、正確な計量が可能です。また、作成した消毒液は必ず容器にラベルを貼り、誤飲を防ぐための注意書きを添えることをおすすめします。
参考)次亜塩素酸塩消毒液の作り方 |ふたばクリニック
意外な点として、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは名前が似ていますが全く異なる物質です。次亜塩素酸水は電気分解によって生成される酸性の溶液で、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性の化学物質です。家庭で塩素系漂白剤から作るものは正確には次亜塩素酸ナトリウム希釈液となります。
参考)次亜塩素酸ナトリウム希釈計算の基礎と正しい方法を徹底解説!
次亜塩素酸スプレーの濃度は使用目的によって異なり、適切な濃度で使用することが除菌効果を最大化する鍵となります。ドアノブや手すりなどの日常的な除菌には0.02%(200ppm)、嘔吐物や便の処理など強力な消毒が必要な場合は0.1%(1000ppm)の濃度が推奨されます。
参考)さいたま市/塩素系消毒液(次亜塩素酸ナトリウム液)の使い方
具体的な希釈方法として、0.02%濃度のスプレーを作る場合、2リットルの水に対して塩素系漂白剤(5~6%濃度)をペットボトルキャップ2杯分(約10ml)加えます。0.1%濃度を作る場合は、同じく2リットルの水に対してキャップ8杯分(約40ml)を加えます。希釈倍率の計算式は「原液濃度÷目標濃度=希釈倍率」で求められ、例えば50,000ppmを200ppmにする場合は250倍に薄める必要があります。
参考)ノロや胃腸炎に効く「次亜塩素酸ナトリウム」の消毒液の作り方!…
作成手順は、まずペットボトルに水を半分程度入れ、次に計量した漂白剤を加え、最後に規定量まで水を追加してキャップをしっかり閉めて振り混ぜます。この順序で行うことで、漂白剤が適切に希釈され、塩素ガスの発生リスクを最小限に抑えることができます。
参考)https://www.city.shiogama.miyagi.jp/uploaded/life/27906_56057_misc.pdf
次亜塩素酸スプレーの効果を維持するには、適切な保管方法が不可欠です。最も重要なポイントは遮光性のある容器で保管することで、紫外線に当たると次亜塩素酸が急速に分解されて効果が失われます。理想的な保管場所は20℃以下の冷暗所で、可能であれば冷蔵庫での保存が推奨されます。
参考)【次亜塩素酸水】保存容器・スプレーボトルの選び方と保存方法
次亜塩素酸ナトリウム希釈液の使用期限は、室温保管では約1ヶ月で塩素濃度が50%低下するため、用事調整(使用の都度作成)が理想的です。ただし、茶色などの遮光びんで完全密封すれば、1%や0.1%の濃度では1ヶ月間はほぼ濃度低下がありません。未開封の製品でも、医薬品グレードで11ヶ月~3年間と製品によって大きく異なります。
参考)開封後の使用期限は?
保管時の注意点として、金属製容器は腐食の原因となるため避け、必ず密封容器を使用します。また、温度が高いほど分解が早まるため、夏場は特に注意が必要で、車内や直射日光が当たる場所への放置は厳禁です。スプレーボトルは常に清潔な状態に保ち、なるべく1日で使い切るようにすることで、失活を防ぐことができます。
参考)次亜塩素酸水の正しい保存方法は?容器や保管場所の注意点をご紹…
次亜塩素酸スプレーは、ウイルスや細菌に対して高い殺菌・不活化作用を示し、漂白・脱臭作用も持つため幅広い用途に活用できます。主な使用対象は、ドアノブ、手すり、テーブルなどの人が頻繁に触れる場所で、0.02%濃度の溶液を浸した布で拭き取ります。食器や調理器具の消毒には200ppm程度の濃度が適しており、洗浄後に溶液に浸して使用します。
参考)次亜塩素酸水の作り方と効果的な活用方法、使用時の注意点を徹底…
外出時に着用した衣類やカバン、靴などこまめに洗えないアイテムにもスプレーすることで、付着したウイルスを除去できます。嘔吐物が付着した衣類やシーツは、洗剤を入れた水で下洗いした後、0.1%濃度の消毒液に30分程度浸してから通常の洗濯を行います。哺乳瓶や乳首の殺菌には、洗浄後に80倍希釈液に1時間以上浸す方法が推奨されています。
参考)https://www.maruishi-pharm.co.jp/media/book_20121101.pdf
使用時の重要なポイントとして、目に見える汚れがある場合は事前にふき取ってから使用することで、除菌効果が最大限に発揮されます。スプレー2~3回の量で十分な除菌効果が得られるため、過度な使用は不要です。また、次亜塩素酸水は有機物と反応すると急速に分解されるため、清潔な表面に使用することが効果的です。
参考)【期限に5倍の差が出る?!】次亜塩素酸水の保存方・使用方法
次亜塩素酸スプレーを安全に使用するためには、いくつかの重要な注意事項を守る必要があります。最も危険なのは酸性洗剤との混合で、「まぜるな危険」と表示されている塩素系製品と酸性タイプの製品が混ざると、有毒な塩素ガスが発生します。化学式で表すと、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)と塩酸(HCl)が反応して塩素ガス(Cl2)が発生する仕組みです。
参考)[まぜるな危険]酸性タイプ表示製品との混合による「注意事項」…
安全性の観点では、適切に希釈された次亜塩素酸水は低刺激性化粧品レベルの安全性が確認されており、手肌への影響はアルコールよりも低い可能性があります。食品への使用も安全で、50~200ppm(0.005~0.02%)の濃度で5~10分間浸漬する方法が認められています。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの噴霧は危険性が高く推奨されません。
参考)次亜塩素酸水が有効と思われる点及び安全性について弊社見解|エ…
使用時の具体的な注意点として、作業時は必ず家事用手袋を着用し、換気を十分に行います。皮膚に付着した場合は直ちに流水で洗い流し、目に入った場合は大量の水で15分以上洗い流して医師の診察を受けることが重要です。また、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは別の物質であり、次亜塩素酸水も塩素系製品や酸性製品と混ぜると塩素ガス発生の危険があるため注意が必要です。
次亜塩素酸スプレーを効果的に使用するには、その化学的特性を理解することが重要です。次亜塩素酸(HClO)はpHによって存在形態が変化し、酸性域では次亜塩素酸として存在するため高い殺菌効果を示しますが、アルカリ性では次亜塩素酸イオン(ClO-)となり殺菌効果が低下します。市販の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)はアルカリ性で安定化されていますが、水で希釈してもpHはアルカリ性のままです。
参考)次亜塩素酸水(酸性電解水)とは?
電気分解で生成される次亜塩素酸水(酸性電解水)と、化学的に作られる次亜塩素酸ナトリウム希釈液には明確な違いがあります。電解次亜水には水酸化ナトリウムが含まれる場合があり、化学式でNaClOとなって次亜塩素酸ナトリウムと同等になります。一方、有隔膜電解槽で生成される次亜塩素酸水(酸性電解水)には水酸化ナトリウムが含まれず、低濃度でも高い除菌力を保有します。
参考)電解次亜水と次亜塩素酸水の違いとは?
希釈時のメリットとして、ガスの発生量が少なくなり、注入先の塩素濃度が均一になりやすい点が挙げられます。ただし、次亜塩素酸ナトリウムは通常6~12%の濃度で流通しており、処理量によっては希釈して使用する必要があります。興味深いことに、次亜塩素酸水は食品添加物の殺菌料として厚生労働省に指定されており、カット野菜やトマト、ブドウ、リンゴなどの除菌に安全に使用できる水由来の物質です。
参考)4. 次亜塩素酸ナトリウムの希釈について

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