ジャスパー・モリソン a book of thingsの魅力|デザイン哲学と食卓を彩る作品群

プロダクトデザインの巨匠ジャスパー・モリソンの作品集「a book of things」には、陶器や食器など日常を豊かにするデザインが多数収録されています。スーパーノーマルという哲学に基づいた彼の作品は、あなたの食卓をどう変えるでしょうか?

ジャスパー・モリソン a book of thingsとは

この記事のポイント
📖
デザイナーの思想を凝縮

ジャスパー・モリソンのデザイン哲学「スーパーノーマル」を体現した作品集で、食器から家具まで幅広い製品を収録

🍽️
食卓を彩る作品群

無印良品のカトラリーやアレッシィの食器など、日常使いできる陶器・食器のデザインが豊富に掲載

シンプルで普遍的な美

装飾を削ぎ落とした究極のシンプルデザインが、空間の質を向上させ長く愛用できる価値を提供

ジャスパー・モリソンのデザイン作品集の全貌

 

「a book of things」は、イギリスの世界的プロダクトデザイナー、ジャスパー・モリソンが2015年に発表した作品集です。スイスの出版社Lars Müller Publishersから発行され、日本では日本語全訳冊子付きで販売されています。本書は312ページのフルカラーで構成され、家具や日用品、キッチン用具など多岐にわたるプロダクトを収録しています。2025年には増補改訂版が発売され、初期のスケッチから完成品に至るプロセスが記録されており、各プロジェクトには本人による簡潔な注釈が添えられています。
参考)A Book of Things

この作品集は、モリソンの2002年の著書「Everything but the Walls」に続く第2弾として位置づけられており、彼のデザイン思想の変遷と一貫性を理解する上で重要な資料となっています。本書には、デザイン意図や制作過程で感じるデザイナーとしてのあるべき姿への疑問、作品に関わる人々との交友など、自らの言葉でつづられた内容が豊富に含まれています。
参考)ジャスパー・モリソン:A Book of Things | …

ジャスパー・モリソンが提唱するスーパーノーマルの哲学

ジャスパー・モリソンのデザイン哲学の核心にあるのが「スーパーノーマル(Super Normal)」という概念です。これは2005年に日本人デザイナーである深澤直人と共に「SUPER NORMAL プロジェクト」を設立したことがはじまりで、2006年にはアクシスギャラリーで「スーパー・ノーマル」展が開催されました。この哲学は「デザインしすぎないというデザイン」を意味し、見た目の表現だけでなく、そのものの本質まで考え抜かれたデザインを追求しています。
参考)ジャスパー・モリソンのデザイン | デザイン、アート、建築の…

スーパーノーマルとは、単にシンプルなだけではなく「普通を超える普通」という概念です。考え抜かれた本当に良いものは、機能の面において優れているだけでなく、静かな存在感をもって、その周りの空間の質を向上させる力を持っています。モリソンは「究極のシンプル」を追求し、装飾性を徹底的に削ぎ落としながらも、使いやすさと美しさを両立させたデザインを実現しています。
参考)ジャスパー・モリソン『スーパー・ノーマル』というデザイン哲学…

ジャスパー・モリソンの食器・陶器デザインの特徴

ジャスパー・モリソンが手がける食器や陶器には、彼のスーパーノーマル哲学が明確に表れています。代表的な作品として、イタリアのアレッシィ社から発売されている「Plate Bowl Cup」シリーズがあります。このシリーズは、その名の通りプレート、ボウル、カップという日常的アイテムの"当たり前"を追求した直球ど真ん中の仕上がりで、料理が映える究極の背景を目指してデザインされています。ダイニングプレート(直径27.5cm)が2,000円、サイドプレート(直径20cm)が1,900円、スープボウル(直径22cm)が2,000円という手頃な価格設定も魅力です。
参考)https://www.elle.com/jp/decor/decor-interior-design/g28743261/meisaku-19-0800/

無印良品でも、モリソンデザインのステンレスカトラリーやブナ材カトラリーが展開されています。2008年にデザインされたステンレスカトラリーは、持ちやすさと使いやすさにこだわった無印良品の定番アイテムとなっており、そのスタンダードなデザインはまさにスーパーノーマルそのものです。スプーンはすくう部分の丸みが美しく、適度な厚みで口当たりも考慮されています。ブナ材カトラリーは2018年に発売され、グッドデザイン賞を受賞しました。
参考)あの商品も?ジャスパー・モリソンがデザインした無印良品のプロ…

アレッシィ公式サイト - Plate Bowl Cupシリーズの詳細情報

ジャスパー・モリソンの代表的な家具作品

「a book of things」には、モリソンの代表的な家具作品も数多く収録されています。最も有名な作品の一つが1985年にプロトタイプを発表し、1988年にイタリアのCappellini(カッペリーニ)から発売された「Thinking Man's Chair(シンキングマンズ チェア)」です。アームの端に小さなテーブルが付いた特徴的なデザインで、読書や思索の時間をサポートする機能性を備えています。
参考)【5分でわかる】ジャスパー・モリソンとは。名作家具・椅子・照…

イタリアのMagis(マジス)社から発売された「Air Chair(エアチェア)」も代表作の一つで、軽やかでシンプルなデザインが特徴です。様々なデザイン賞やパーマネントコレクションに選定されたこの椅子は、座面に空いた穴が持ち運びやすさと雨の時の水はけ用になっており、機能性とデザイン性を両立しています。無印良品からは、このエアチェアに似たポリプロピレンスタッキングチェアが9,900円という手頃な価格で販売されています。
参考)ジャスパー・モリソンがデザインした家具や雑貨12選

Vitra(ヴィトラ)社とのコラボレーションでは、HALシリーズやSoft Modular Sofa(ソフトモジュラー ソファ)などが生み出されました。HAL Tableは「究極のシンプル」を追求した無駄を省いたフォルムで、ワークデスクやサイドテーブルとして幅広く使用できる汎用性が特徴です。
参考)https://hld-os.com/shopdetail/000000000222/

Vitra公式サイト - ジャスパー・モリソンの家具コレクション

ジャスパー・モリソンの作品が持つ独自の価値

ジャスパー・モリソンの作品が他のデザイナーと一線を画すのは、単なる機能性の追求だけでなく、「使う人の生活に静かに寄り添う」という姿勢にあります。彼のデザインは、目立つことを避けながらも、空間全体の質を向上させる力を持っています。この「控えめながら意味のある(Unobtrusive yet meaningful)」というアプローチは、現代のミニマリズムとは異なる独自の美学を形成しています。
参考)A Book Of Things: Magic Behind…

モリソンが重視する設計品質は、彼自身の言葉によく表れています。「comfort(快適さ)」「character(個性)」「functional(機能的)」「efficient(効率的)」「economical(経済的)」「practical(実用的)」「no-nonsense(無駄のない)」という言葉が、彼のテキストに繰り返し登場します。これらの要素が組み合わさることで、長く愛用できる普遍的な価値を持つプロダクトが生まれています。
参考)無印好き必見!シンプルデザインの巨匠、ジャスパー・モリソンが…

さらに注目すべきは、モリソンの作品が世界中の主要な美術館のパーマネントコレクションに選定されている点です。ニューヨーク近代美術館(MoMA)をはじめ、世界各地の美術館で彼の作品が展示されており、デザイン史における重要性が認められています。2025年に発売された「a book of things」の増補改訂版は35スイスフラン(約6,500円)という価格で、彼の最新の思想とプロジェクトを知ることができます。
参考)ジャスパー・モリソンのデザイン哲学をひもとく 書籍「A Bo…

Lars Müller Publishers公式サイト - A Book of Things購入ページ

ジャスパー・モリソン a book of thingsを読むべき理由

陶器や食器に興味がある方にとって、「a book of things」は単なる作品集以上の価値を持ちます。本書には、無印良品のカトラリーやケトル、アレッシィの食器など、日常生活で実際に使える製品のデザインプロセスが詳細に記録されています。これらの製品がどのような思想から生まれ、どのように形になっていったのかを理解することで、日々使う食器や陶器を選ぶ際の視点が大きく変わるでしょう。
参考)ジャスパー・モリソン A Book of Things

本書のもう一つの魅力は、ジャスパー・モリソン本人による簡潔なテキストです。各プロジェクトに添えられた注釈には、デザインの意図だけでなく、彼がデザイナーとしてどのような姿勢で仕事に臨んでいるか、どのような葛藤を抱えているかが率直に語られています。デザインに興味がある人だけでなく、物作りに携わる全ての人にとって、示唆に富む内容となっています。
参考)Instagram

また、本書には2009年のボルドーでの展覧会、2010年のコルトレイクの展覧会、1988年のdomusの特集記事、Marco Romanelliによるインタビューも掲載されており、モリソンのキャリア全体を俯瞰できる資料としても価値があります。日本語全訳冊子が付属しているため、英語に不安がある方でも安心して読み進めることができます。豊富な写真とテキストによって、スーパーノーマルという哲学が具体的にどのように製品に落とし込まれているのかを視覚的に理解できる点も、本書の大きな魅力です。​
ADP公式サイト - ジャスパー・モリソン:A Book of Things 日本語版購入ページ