ホルンフェルス特徴と産地や形成過程

マグマの熱で岩石が生まれ変わるホルンフェルス。その硬さや色、鉱物組成にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?

ホルンフェルス特徴と形成

ホルンフェルスの主要な特徴
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接触変成作用で誕生

マグマの高温により元の岩石が再結晶化して形成される変成岩

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硬質で緻密な構造

角張って割れる特性を持ち、風化浸食に強い性質

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多様な鉱物組成

黒雲母、紅柱石、菫青石など温度に応じた変成鉱物を含む

ホルンフェルス形成過程と接触変成作用

 

ホルンフェルスは、地下深くでマグマが周囲の岩石に接触することで生まれる変成岩です。その名称はドイツ語で「角の岩」を意味し、硬くて角張った岩石の特徴を表しています。

 

参考)https://madeinlocal.jp/area/yamaguchi/knowledge/037

形成のメカニズムは巨大な窯で岩石を焼くような現象に似ています。高温のマグマが地下に貫入すると、周囲にあった泥岩や砂岩が500〜600℃以上の熱を受けて再結晶化します。この接触変成作用により、元の岩石の成分が全く新しい鉱物へと変化し、より硬く緻密な岩石構造を獲得するのです。

 

参考)http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/geology/rock/metamorphicrock/contactmetamor-1.html

変成作用では変形が生じないため、再結晶した鉱物は定向性を持たず、モザイク状の組織を示す硬質な岩石となります。須佐ホルンフェルスの場合、約1500万年前に地下で貫入した花崗岩マグマが周囲の砂岩や泥岩を焼いて変成させ、高さ12メートルにも及ぶ壮大な地層を形成しました。

 

参考)https://www.jasdim.or.jp/gijutsu/ganseki/henseigan/henseigan.html

ホルンフェルス鉱物組成と変成温度の関係

ホルンフェルスの鉱物組成は、原岩の種類と変成温度によって大きく異なります。泥質堆積岩から形成されたホルンフェルスには、黒雲母、紅柱石、菫青石、正長石などの変成鉱物が含まれます。

 

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  • 低温域(500℃以下):細かい黒雲母が多く生成され、暗褐色を呈します
  • 中温域(500〜600℃):黒雲母とともに菫青石が形成されます
  • 高温域(600℃以上):珪線石や斜方輝石、ざくろ石なども生成されます

泥質ホルンフェルスは最も普通に見られるタイプで、黒っぽい色を呈し、もとの泥岩に似ていますが硬く、接触変成作用で生じた細かい黒雲母を多く含むため、わずかに褐色を帯びています。時には微細な石墨や、白っぽい柱状の紅柱石、灰青色や灰緑色の菫青石なども観察できます。

 

参考)http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/geology/rock/zougankoubutu/andalusite-hornfels.html

砂岩から変わった砂質ホルンフェルスは淡灰色や淡褐色でざらざらした質感を持ち、石英に富み少量の黒雲母や長石類を含みます。チャートから変成したケイ質ホルンフェルスは純白やクリーム色で非常に硬く、「ケイ岩」と呼ばれることもあります。

ホルンフェルス産地と日本各地の分布

ホルンフェルスは花崗岩の分布域に沿った幅2〜3km程度の範囲に広く分布します。日本各地で観察できる代表的な産地には、地質学的に重要な特徴を持つ場所が数多く存在します。

山口県萩市の須佐ホルンフェルスは、北長門海岸国定公園の海岸沿いにそびえる景観で、約1500万年前のマグマの熱の影響を受けて誕生しました。美しい縞模様を描いた高さ約12mの海食崖と、山肌に露出したホルンフェルスが印象的な地質遺産として知られています。

 

参考)須佐ホルンフェルスはマグマとストライプの地層が生んだ - ま…

京都の比叡山と大文字山も著名なホルンフェルス産地です。約9800万年前にマグマが貫入したことで熱変成作用を受け、ホルンフェルスという硬い岩石になった場所で、浸食作用に耐えて山として残っています。銀閣寺山門前の敷石にもこの地域のホルンフェルスが使用されています。

 

参考)6.大文字山から京都を見下ろす。ホルンフェルスと桜石を求めて…

岡山県内では全域によく見られ、花崗岩の分布域に沿って広範囲に分布しています。岩手県陸前高田市の壺の沢変成岩は、5億年から4億4千万年前に堆積した泥岩や砂岩が変成したもので、基盤岩類の一つとして重要です。

 

参考)https://www.museum.tohoku.ac.jp/pdf/press_info/news_letter/omnividens_no35.pdf

ホルンフェルス特徴的な外観と見分け方

ホルンフェルスは独特の外観的特徴により、他の岩石と区別することができます。最も顕著な特徴は、その硬質で緻密な質感と角張って割れる性質です。

色彩については、泥質ホルンフェルスは暗褐色から黒色を呈し、表面が黒っぽくてツルツルしています。水に濡らすとさらに黒っぽさが際立ち、光沢が見られます。砂質ホルンフェルスは泥質ホルンフェルスよりも色が淡く、淡灰色や淡褐色を示します。

組織的な特徴として、泥岩と砂岩の互層が接触変成作用を受けると、泥質ホルンフェルスと砂質ホルンフェルスの縞模様が形成されます。泥質ホルンフェルスの部分は細かい黒雲母が多くできており黒っぽく、砂質ホルンフェルスの部分は石英が主なので白っぽくなります。

特徴的な鉱物も見分けるポイントになります。白っぽい柱状の紅柱石を含むものや、斑点状のきん青石(菫青石)を含むものがあり、これらは肉眼でも識別可能です。また、接触変成作用を与えたマグマから派生した高温の流体が割れ目に入り込んでできた白っぽい石英脈や長石脈が見られることも少なくありません。

ホルンフェルス用途と建築材料としての利用

ホルンフェルスはその硬質で緻密な性質から、古くからさまざまな用途に利用されてきました。風化浸食に強い特性を活かし、長期間の使用に耐える建築材料として重宝されています。

最も代表的な用途は墓石です。ホルンフェルスの耐久性と美しい外観が墓石材として適しており、長い年月をかけて変化を繰り返してきた貴重な岩石として広く使用されています。

 

参考)【動画付き】ホルンフェルスとは?どんな物か・須佐ホルンフェル…

敷石としての利用も注目に値します。京都の銀閣寺山門前の敷石は、周辺の山から採取したホルンフェルスを利用したもので、約9千万年前の地殻変動の痕跡を今に伝えています。黒い敷石として建築物の品格を高める役割を果たしています。

 

参考)大文字山、3時間で満喫できる魅力とは 大阪も望める景色、地質…

さらに、東京上野のパンダ橋にもホルンフェルスが使用されているほか、土木工事における基礎材料や景観石としても活用されています。その独特の縞模様は装飾的な価値も高く、庭園や公園の景観演出にも用いられることがあります。

現代では地質遺産としての価値も認識されており、須佐ホルンフェルスのような景観は観光資源としても重要な役割を担っています。

 

参考)須佐ホルンフェルス|観光スポット|【公式】山口県観光/旅行サ…

倉敷市自然史博物館のホルンフェルス解説ページでは、鉱物組成や産状の詳細な説明が掲載されています
山口県観光サイトでは、須佐ホルンフェルスの形成過程と観光情報が紹介されています

 

 


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