ヘクトライトは化学組成Na₀.₃(Mg,Li)₃Si₄O₁₀(OH)₂で表される、柔らかく白色を呈する希少な粘土鉱物です。1941年にアメリカのカリフォルニア州サンバーナーディーノ郡で発見されたこの鉱物は、スメクタイト族に分類される三八面体型の層状珪酸塩鉱物として知られています。
参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/ganko1988/83/4/83_4_160/_pdf
ヘクトライトの最大の特徴は、その層状構造にあります。珪酸塩層と層間陽イオンとの結合が弱いため、水や他の溶媒で膨潤し、非常に微細な粒子として分散してゾル・ゲルを形成する性質を持ちます。この膨潤性は、水熱合成で作られた合成ヘクトライトでも確認されており、125℃から300℃の温度条件下で合成されたものは、未処理状態で約13.2Åの底面間隔を示し、エチレングリコール処理後にはさらに膨潤します。
また、ヘクトライトは吸着能やイオン交換能を有し、陽イオン交換容量(CEC)は約120meq/100gと高い数値を示します。この特性により、無機物や有機物と層間化合物を形成し、物理的・化学的に特異な性質を発揮する粘土鉱物として注目されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10196509/
化粧品に配合されるヘクトライトは、主に「ジステアルジモニウムヘクトライト」という有機変性された形態で使用されます。この成分は、粘土鉱物のヘクトライトに界面活性剤であるジステアリルジモニウムクロリドを吸着処理して得られる有機変性のベントナイトです。
参考)ジステアルジモニウムヘクトライトとは 化粧品の成分解析
ジステアルジモニウムヘクトライトの化粧品における主な役割は以下の通りです:
参考)ジステアルジモニウムヘクトライト
化粧品業界では、NIKKOLニコムルスWOやNIKKOLニコムルスWO-CFといった、ジメチコンやシクロペンタシロキサンと混合した形で販売・使用されることが多く、これにより増粘剤・安定剤としての効果がより強化されます。
ヘクトライトを含む粘土鉱物系化粧品には、様々な種類の鉱物が使用されています。これらは主にスメクタイト族と呼ばれる層状珪酸塩鉱物のグループに属しています。
主な粘土鉱物の種類:
参考)https://www.tachibana-m.co.jp/wp-content/themes/tachibanamaterial/images/bentonite_story.pdf
これらの粘土鉱物は、層状構造を持ち、層間に水分子や陽イオンを取り込むことができる特徴があります。特にヘクトライトは、合成が可能であり、水熱合成条件(125℃~300℃)下で様々な特性を持つ層間化合物を形成できるため、化粧品用途に適した性質を持つ材料として選ばれています。
化粧品に使用される際は、これらの鉱物を単独で使用するのではなく、有機変性処理を施すことで油性環境での増粘性や分散性を向上させ、より高機能な化粧品原料として活用されています。
ヘクトライトをはじめとする粘土鉱物は、その微細な層状構造により優れた吸着作用を発揮し、毛穴ケアにおいて重要な役割を果たします。
吸着作用のメカニズム:
ヘクトライトは、粘土鉱物特有の層状珪酸塩構造を持ち、表面積が非常に大きいという特徴があります。合成ヘクトライトの比表面積(SSA)測定では、水熱合成温度が低いほど大きな表面積を持つことが確認されており、この広大な表面積が高い吸着能力の源となっています。
実際の化粧品での活用例として、洗顔フォームに配合されたヘクトライトは、毛穴の詰まりや汚れを吸着する効果を発揮します。カオリンとヘクトライトを組み合わせたマイルドなクレイ成分が、毛穴の奥の汚れを吸着し、ざらつき・黒ずみ・毛穴詰まりに効果的に働きかけます。
参考)https://www.cosme.net/reviews/511463174/
毛穴ケアにおける具体的な効果:
また、ジステアルジモニウムヘクトライトは皮脂を吸収する特性を持つため、メイクアップ化粧品に配合されることで、皮脂による化粧崩れを防ぎ、長時間美しい仕上がりを維持する効果も期待できます。
この吸着作用は、ヘクトライトのイオン交換能力とも関連しており、陽イオン交換容量(CEC)が約120meq/100gという高い数値が、様々な物質を効果的に吸着する能力を裏付けています。
ヘクトライトおよびその誘導体であるジステアルジモニウムヘクトライトは、化粧品成分として高い安全性が確認されている成分です。
安全性の根拠:
原料であるヘクトライトとジステアリルジモニウムクロリドはいずれも安全性の高い成分であり、それらを組み合わせたジステアルジモニウムヘクトライトの安全性も高いと評価されています。また、ジステアリルジモニウムクロリドの陽イオン界面活性剤としての作用が弱まるため、肌に対する刺激性もより低下します。
化粧品に使用される粘土鉱物系成分は、毒性や刺激性が少なく、皮膚感作性も認められていないため、アレルゲンとなって肌荒れを起こすリスクも低いとされています。そのため、敏感肌の方でも安心して使用できる成分として位置づけられています。
参考)ジメチコンが危険って本当?その効果と安全性や都市伝説を徹底検…
注意すべきポイント:
ただし、どんな成分でも100%安全とは言い切れません。以下のような点に注意が必要です:
化粧品の安全性評価においては、重金属の含有量が重要な指標となりますが、適切に精製された化粧品原料として流通しているヘクトライトは、厳格な品質管理のもとで製造されているため、健康リスクは極めて低いと考えられます。
生協化粧品の成分解説:ジステアルジモニウムヘクトライト
化粧品成分の安全性に関する詳細な情報が掲載されており、粘土鉱物系成分の性質や使用目的について理解を深めることができます。

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