ハトシェプスト ツタンカーメン 王家 葬祭殿 陶器工芸

古代エジプト第18王朝のハトシェプスト女王とツタンカーメン王。二人の王家が残した葬祭殿や副葬品には、当時の陶器や工芸技術が反映されています。その壮麗な建築と精巧な装飾品から、古代エジプトの芸術性と生活文化を読み解くことはできるでしょうか?

ハトシェプスト ツタンカーメンと王家の繁栄

記事の要点
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第18王朝の系譜

ハトシェプスト女王はツタンカーメン王の約160年前に在位した女性ファラオ。両者は同じ王朝に属し、古代エジプトの黄金時代を築きました。

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建築と芸術

葬祭殿の壮麗な建築と副葬品に見られる高度な工芸技術は、当時の文化水準の高さを物語っています。

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陶器と生活文化

古代エジプトの陶器や食器には、ナイル川の恩恵を受けた農業社会の暮らしや交易の様子が反映されています。

ハトシェプスト女王とツタンカーメン王の歴史的関係

 

ハトシェプスト女王とツタンカーメン王は、どちらも古代エジプト第18王朝に属する支配者です。ハトシェプストは紀元前1479年頃から紀元前1458年頃まで在位し、トトメス1世の娘として生まれ、異母兄弟であるトトメス2世と結婚しました。 トトメス2世の死後、幼い継子トトメス3世の摂政となり、やがて自ら王位に就いた女性ファラオとして知られています。
参考)エジプト第18王朝 - Wikipedia

一方、ツタンカーメン王は紀元前14世紀後半の少年王で、ハトシェプストの約160年後の時代に在位しました。 二人の間には直接的な血縁関係はありませんが、同じ第18王朝という枠組みの中で、エジプトの繁栄期を象徴する存在となっています。 2025年2月には、ハトシェプスト女王の夫であるトトメス2世の墓が約100年ぶりに発見され、ツタンカーメンの発見以来の考古学的快挙として注目を集めました。
参考)一生のうちに一度は行きたいエジプト10~ルクソール西岸3 ハ…

ハトシェプスト女王葬祭殿の建築と装飾技術

ハトシェプスト女王葬祭殿は、ルクソール西岸のデイル・エル・バハリにある壮麗な建造物です。切り立った崖を背景に、3層のテラス構造が階段状に重なり、傾斜路で結ばれた独特のデザインが特徴的です。 この神殿は、女王の側近で建築家のセンムトによって設計され、自然と建築が一体化した芸術作品として完成しました。
参考)エジプトの世界遺産「ハトシェプスト女王葬祭殿」とは?世界遺産…

葬祭殿の中央テラス南端にはハトホル女神の礼拝所、北端にはアヌビス神殿があり、当時の色彩が残るレリーフが今も見られます。 壁面には、ハトシェプスト女王がプントの国(現在のソマリア周辺)との交易で香料や金、珍しい動物を船で運んできた様子が色鮮やかに描かれており、当時の交易活動と繁栄ぶりを物語っています。 精巧な彫刻や列柱には高度な建築技術が反映され、古代エジプト建築の中でも特に洗練されたデザインとして評価されています。
参考)ハトシェプスト女王葬祭殿:古代エジプトの女性ファラオが残した…

ツタンカーメン王の副葬品に見る工芸技術

1922年にハワード・カーターによって発見されたツタンカーメンの墓は、ほぼ無傷の状態で約2000点もの副葬品が発見された「20世紀最大の発見」として知られています。 これらの副葬品には、黄金や宝石がふんだんに使用され、古代エジプトの莫大な富と高度な工芸技術が凝縮されています。
参考)【王家の谷】 ”20世紀最大の発見”のツタンカーメンの墓は必…

特に有名な黄金のマスクには、鍛金(一枚の金属板を叩いて成形する技術)が用いられており、この技術は約5000年前の古代エジプトに起源を持ちます。 顔の輪郭は非常に精巧に製作され、約3300年前にこれほどの技術と感性が融合した製品が作られていたことは驚異的です。 さらに、ラピスラズリやターコイズ、トルコ石などの貴重な宝石で細かく装飾されており、七宝や溶接技術も世界最古のものとして確認されています。
参考)[第45号] ツタンカーメンの秘宝が日本再上陸 href="https://www.gyokusendo.com/column01_dento/2158" target="_blank">https://www.gyokusendo.com/column01_dento/2158amp;#8211…

ツタンカーメンの副葬品には、手鏡や金製のサンダル、装飾品、護符など多様な工芸品が含まれ、それぞれに高度な金属加工技術や象嵌技術が施されていました。 これらの品々は、古代エジプトの金工術が紀元前2040年頃には既に完成の域に達していたことを示しています。
参考)古代エジプトの金(ゴールド)と装飾品のお話

古代エジプトの陶器と食器文化

古代エジプトでは、ナイル川の豊かな土壌を利用して陶器製作が発展しました。紀元前3000年頃の陶器には、船や植物のモチーフが描かれ、ナイル川を利用した交通や貿易、農業が重要な役割を果たしていたことが反映されています。 船の模様は水路を利用した交易活動を、植物のモチーフは食物供給と農業文化を象徴する重要な意匠でした。
参考)【船と植物模様陶器壺 Decorated ware jar …

日常生活では、料理を盛ったり肉を切ったりする際にパンや木製の板皿が使用され、陶器や石灰石の破片は高価なパピルスの代用品として、契約書や領収書、手紙を書くのに利用されていました。 古代エジプト人の食生活は、朝はチーズや牛乳、夜はパン、野菜、魚、ビールといったバランスの取れたものでした。
参考)「古代エジプト人はパン食い人」でビールも好き

また、ファイアンスと呼ばれる釉薬をかけた陶器は、砂、石灰岩、土を混ぜ合わせた粘土を成形し低温で焼成して作られ、光沢のある硬化したビーズや動物の置物、彫刻として生者と死者の両方に用いられました。 これらの陶器製品は、エジプトの生活文化と宗教観を今に伝える貴重な資料となっています。
参考)https://store.museumofjewelry.com/ja/blogs/news/jewelry-of-ancient-egypt

王家の谷と葬祭文化における器の役割

王家の谷は、新王国時代以降の第18・19・20王朝のファラオたちが眠る岩窟墓群です。 それまでの王墓が盗掘被害に遭っていたため、狭い谷に秘密裏に王墓を建設することで死後の安住を求めたと考えられています。 葬祭殿は王墓に隣接して建造され、ファラオの治世を記念し、死後も崇拝できるように設計された建造物です。
参考)エジプト旅行記 (4) ルクソール西岸:王家の谷とハトシェプ…

副葬品として納められたアラバスター製のつぼや容器類は、来世での生活を確実にするために必要な物品として重要な役割を果たしました。 トトメス2世の墓からはハトシェプスト女王の名とともに「亡き王」としてトトメス2世の名が刻まれたアラバスター製のつぼの破片が発見されており、これが墓の主の特定につながりました。
参考)古代エジプト王の墓発見、ツタンカーメン王以来約100年ぶり …

カノポス容器と呼ばれる内臓を保存する壺には、高価な輸入乳香や防腐剤が使用され、ミイラ化の過程で重要な役割を担っていました。 これらの器や容器は、単なる実用品ではなく、精巧な装飾が施され、来世での再生と復活を願う宗教的意味を持つ工芸品でもあったのです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10471619/

現代に残るエジプト陶器の影響と商品展開

古代エジプトの工芸技術や意匠は、現代の陶器や食器デザインにも影響を与えています。日本国内では「ツタンカーメン堂」というブランドが、古代エジプトをモチーフにした食器や雑貨を展開しています。 これらの製品は、仏像制作や陶芸制作に携わる専属作家により、日本の伝統技術を取り入れて制作され、染付、漆、金箔などの高級素材を用いたハイクオリティーな生活雑貨として提供されています。
参考)《ツタンカーメン堂|楊任蕎麦猪口、箸置き、お皿が入荷しました…

楽天市場やEtsyなどのオンラインプラットフォームでは、古代エジプトをテーマにした陶磁器製品が数多く販売されており、食器やカトラリー、グラス類として人気を集めています。 トルコのキュタヒヤで作られた16世紀より引き継がれた伝統的な模様をモチーフにしたセラミックプレートや、チュニジア製の手描き陶器なども、古代文明の影響を受けたデザインとして注目されています。
参考)Instagram

ツタンカーメンの黄金マスクをモチーフにしたティーポットやマグカップセットなど、ユーモアとエジプト文化を融合させた商品も展開されており、古代エジプトへの関心が現代の食卓文化にも息づいています。 これらの製品を通じて、数千年前の芸術性や技術が現代の生活に取り入れられ、食器という身近なアイテムから古代文明の魅力を感じることができます。
参考)https://item.rakuten.co.jp/candytower/zk104880/

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