ファセットカット用の空枠は、カットされた宝石ルースを美しく留めるための専用金具パーツです。主に爪留めタイプが使われ、キューレット(底面の尖った部分)を持つファセットカットストーンに対応した構造になっています。空枠には4本爪、6本爪、8本爪といった爪の本数による分類があり、同じサイズのルースでも爪の本数によって石座全体の大きさが異なる点が特徴的です。
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デザインバリエーションとしては、シンプルな爪留めタイプのほか、王冠型(クラウン型)と呼ばれる装飾的なデザインも人気があります。王冠型は爪部分が立体的に装飾されており、石をより華やかに見せる効果があります。形状についてはラウンド(円形)が最も一般的ですが、オーバル、スクエア、ペアシェイプ、ハート、マーキスなど、様々なファセットカット形状に対応した空枠が展開されています。
参考)【自宅でできる】空枠に自分でルースを留める手順・やり方
使用用途によって、ペンダント用空枠(チャーム枠)、リング空枠、ピアスポスト空枠の3種類に大きく分類されます。ペンダント用にはカン(吊り下げ用の輪)が付いており、リング空枠は号数調整可能なフリーサイズタイプも存在します。ピアス用は耳に通すポスト部分と石座が一体化した構造で、キャッチも付属するタイプが多く見られます。
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空枠の素材として最も広く使用されているのがSilver925(スターリングシルバー)です。Silver925は純銀92.5%に銅などの金属を7.5%混ぜた合金で、純銀よりも強度があり加工しやすい特性を持ちます。多くの製品には「925」の刻印が施されており、品質の証明となっています。
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シルバー素材の空枠には表面加工が施されることが一般的で、代表的なものがロジウムコーティングです。ロジウムは白金族の貴金属で、シルバーの表面に薄く電気めっきすることで錆や変色を防止し、美しい輝きを長期間維持できます。ロジウム加工された空枠は明るいシルバー色で、未加工のものは経年でアンティークな風合いに変化します。
参考)SILVER925 ペンダント用空枠 8本爪 王冠型 ファセ…
高級志向の空枠としては14KGF(14金ゴールドフィルド)やK10イエローゴールド製も選択肢にあります。14KGFは真鍮などのベース金属に14金の層を高温高圧で圧着させたもので、金メッキよりも厚い金層により剥がれにくく、本物の金に近い質感が得られます。K10製の空枠は日本製のものが多く、金属アレルギーのリスクが低い点でも支持されています。18KGP(18金メッキ)仕上げのシルバー空枠も、ゴールドカラーを手軽に楽しめる選択肢として人気です。
参考)14kgf空枠付ポストピアスパーツ【4本爪と6本爪の比較】作…
空枠選びで最も重要なのが、留めたいルースのサイズに正確に合った空枠を選ぶことです。ファセットカット用空枠は3mm、4mm、5mm、6mm、8mmといったミリメートル単位でサイズ展開されており、ラウンドカット用であればルースの直径、オーバルカットであれば縦×横のサイズで指定されます。
参考)天然石(7×5mm)を石枠に留めたいです。8×6mmの空枠を…
サイズ選定の際に注意すべき点として、表記サイズはあくまで目安であり、実際のルースの寸法を正確に測定することが推奨されます。例えば7×5mmのルースに対して8×6mm用と6×4mm用のどちらを選ぶべきか迷うケースでは、より近いサイズを選ぶことが基本ですが、ルースの厚みやガードル(石の側面)の形状も考慮する必要があります。ぴったりサイズが市販されていない場合、やや大きめの空枠を選んで金属やすりで削って調整する方法もあります。
参考)指輪 石留めのメモ|ny
4本爪と6本爪の選択も重要な判断ポイントです。同じサイズのルース用であっても、6本爪タイプの方が石座全体が大きく、より安定した石留めが可能になります。一方で4本爪は石座がコンパクトで、石の見える面積が広くなりすっきりとした印象になります。小さなサイズ(3〜4mm)では4本爪、大きめのサイズ(6mm以上)では6本爪や8本爪を選ぶのが一般的な傾向です。
ファセットカットには厚みのバリエーションがあるため、空枠の深さ(爪の長さ)も確認ポイントになります。標準的な空枠の爪長さは約1mm程度ですが、厚みのあるルースの場合は収まりが悪くなることがあります。その際は石と枠の接点にエポキシ系透明接着剤を少量使用してから爪を倒すことで、安定した石留めが可能になります。
ファセットカット用空枠への石留めは、適切な工具と手順を守れば自宅でも十分に実践できます。必要な基本工具として、時計ヤットコ(#0または#00サイズ)、石留めヤットコ、ピンセット、そして金属やすりがあると作業がスムーズです。時計ヤットコは精密な作業ができる小型のペンチ状工具で、爪を開いたり曲げたりする際に使用します。
石留めの基本手順は、まず爪を時計ヤットコで軽く外側に開いてルースを差し込みます。すべての爪を大きく開く必要はなく、最小限の本数を軽く開くだけで十分です。ルースを空枠にセットしたら、対角線上の爪を順番に倒していきます。この「対角順」が重要なポイントで、隣り合う爪を連続して倒すとルースが斜めに傾いて固定されてしまう失敗につながります。
爪を倒す際は、まずピンセットの持ち手部分などで軽く押さえて仮固定し、その後石留めヤットコを使ってしっかりと倒します。石留めヤットコの下側に両面テープで革を貼っておくと、空枠表面を傷つけずに作業できます。作業中は常にルースに道具が直接当たらないよう細心の注意を払い、横から見て石が水平に留まっているか確認しながら進めます。
より確実な石留めを目指す場合の応用テクニックとして、爪の先端部分にメスやカッターでルースのガードル高さに印をつけ、その位置で爪を「くの字」に予備曲げする方法があります。この予備曲げにより、最終的に爪を倒す際のルースへの圧力が軽減され、石の破損リスクが下がります。空枠とルースの接触が不安定な場合は、石をセットする前に金属やすりで空枠内部を削って座りを調整することも有効です。
完成後の仕上げとして、爪の先端が服の繊維や髪の毛に引っかからないよう、しっかりと倒し込むことが大切です。また石留め前にルースの汚れを取り除いておくことで、完成後の輝きが格段に向上します。裏側まで綺麗にしたい場合は、石を固定する前の段階でクリーニングしておく必要があります。
空枠に自分でルースを留める詳細な手順解説(画像付き)
市販のジュエリーとは一線を画す、自分だけのオリジナル鉱物アクセサリーを作れることが空枠活用の最大の魅力です。鉱物コレクターにとって、採集した原石をカットして自らの手でジュエリーに仕上げるプロセスは、鉱物との深い対話であり創造的な喜びとなります。ファセットカット空枠を使えば、専門的な彫金技術がなくても、爪を倒すだけで本格的な爪留めジュエリーが完成します。
参考)SILVER925 ペンダント用空枠 6本爪 ファセットカッ…
鉱物標本としての価値も持つアクセサリー制作において、空枠選びは鉱物の個性を引き出す重要な要素です。例えば淡い色合いのアクアマリンには明るいロジウム仕上げの空枠が透明感を強調し、濃色のガーネットには18KGPのゴールド空枠が高級感を演出します。鉱物の産地や形成過程にストーリー性を持たせたい場合、シンプルな4本爪で石そのものを主役にするデザインが適しています。
自作ならではの応用として、同じ産地の異なる鉱物をペアジュエリーに仕立てる、希少なコレクション石をペンダントとリングのセットにするなど、市販品では実現できない組み合わせが可能です。また空枠の爪部分を自分で削って形を変えたり、複数の空枠を組み合わせた独創的なデザインに挑戦することもできます。小さなファセットカット(3〜4mm)を使ったピアスは初心者にも取り組みやすく、鉱物アクセサリー制作の入門プロジェクトとして最適です。
参考)https://www.kenkengems.com/?mode=grpamp;gid=2343665
鉱物の硬度や劈開性(割れやすさ)を理解して空枠を選ぶことで、より長く愛用できるジュエリーになります。モース硬度7以上の水晶系鉱物やトパーズなどは耐久性が高く日常使いに適していますが、蛍石(硬度4)のような柔らかい鉱物では爪の締め付けを慎重に行う必要があります。こうした鉱物学的知識を実践に活かせることも、鉱物愛好家ならではの制作の深みといえるでしょう。
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