アール・ヌーヴォーの食器は、19世紀末から20世紀初頭にかけて流行し、自然をモチーフにした優美なデザインが最大の魅力です。 直線よりも曲線を多用し、植物や昆虫、女性の曲線的な身体などをモチーフにした有機的なフォルムが特徴となっています。 花びらのように広がる皿や、つる草を模した持ち手、葉脈のような模様など、自然の美しさを表現したデザインが数多く見られます。
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アール・ヌーヴォー食器の大きな特徴は、手作業による精巧な装飾にあります。大量生産品ではなく、ステンドグラス、エッチング、金彩、銀彩など、様々な技法を用いて華麗で繊細な装飾が施されています。 これらは熟練の職人でなければ成立しなかった作品ばかりで、機械による大量生産への反発として生まれた芸術性の高い製品群です。
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鉄やガラスといった当時新しく出現した素材も積極的に取り入れられました。鉄は加工しやすいため、自由度が高い素材として注目され、ガラスは宝石と組み合わせることで従来にはない製品が生み出されました。 フランスのアビランド社は、1842年の創立からまもなくパリ万博などで連続受賞し、美術史の流れを組んだデザイン展開を行い、アール・ヌーヴォー様式の食器を数多く製作しました。
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アール・デコの食器デザインは、直線的で幾何学的なモチーフが多用され、機能性や実用性を兼ね備えた合理的な美しさが特徴です。 原色の対比や左右対称の構図が好まれ、中心の点からいくつもの放射状に伸びる線や、正円、円弧、連続的な波模様のような幾何学模様が頻繁に用いられています。
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線や記号、幾何学的な模様やパターンで構成されたデザインが特徴的で、それまでのデザインに凝りすぎて大量生産には向かなかったアール・ヌーヴォーに代わって、工業化時代に適した様式として広まりました。 カラーリングは金や銀、赤と黒とメタリックな印象があり、現代でも通用する組み合わせといえます。
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アール・デコの陶器では、木材や大理石のような自然素材とメタル素材の組み合わせがよく見られます。 クローム、アルミニウム、ステンレススチール、ブロンズなどの金属が使用され、工業的な光沢やモダンな質感、クールで洗練された印象を生み出しています。 オールドノリタケの陶磁器では、アール・ヌーヴォーの華麗な絵付けを施された作品から、アール・デコの可憐なモチーフまで、両様式の特徴を取り入れた作品が製作されました。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001258.000031382.html
アール・ヌーヴォーを代表する作家として、まず挙げられるのがフランスのガラス工芸家エミール・ガレです。植物や昆虫をモチーフにした生き生きとした作品を発表し、世界中から高い評価を受けました。 アメリカにおけるアール・ヌーヴォーの第一人者として知られるルイス・カムフォート・ティファニーは、主にステンドグラスやモザイク加工のガラスランプの製作などにおける芸術家として名を馳せました。
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宝飾デザイナーのルネ・ラリックは、優美な曲線と透明感ある材質を使用したアクセサリーをデザインし、アール・ヌーヴォーの特徴である自然を愛する心を反映した作品を残しました。 画家のアルフォンス・ミュシャは、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家で、多くのポスター、装飾パネル、イラストレーションを手がけました。
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建築分野では、スペインのアントニ・ガウディがバルセロナの街を彩る独特な建築で知られ、自然の形を取り入れた独創的なデザインが特徴です。 ベルギーのヴィクトール・オルタはアール・ヌーヴォー建築の先駆者の一人で、曲線と直線が組み合わさったデザインで洗練された美しさを持つ建築を手がけました。 オーストリアのオットー・ワーグナーは、機能性と美しさを兼ね備えたアール・ヌーヴォー様式の建築を数多く手がけ、現代においても高い評価を受けています。
アール・デコは1910年代半ばから1930年代にかけて欧米で流行した装飾様式で、直線や円弧など、幾何学的な模様で構成されます。 1925年にパリで行われた「装飾美術エキスポ」(通称:アールデコエキスポ)に、日本の建築様式も大きく影響され、大正・昭和の戦前期に日本でのアール・デコ建築は開花しました。
参考)https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01702/
日本におけるアール・デコ建築として特に有名なのが東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)です。 この建物は昭和8年に朝香宮夫妻の邸宅として建設され、現在は国の重要文化財に指定されています。 1910年代から30年代にかけてヨーロッパを席巻したアール・デコとよばれる装飾様式を、パリ滞在中実際に見聞された朝香宮ご夫妻の意思によって取り入れられました。
フランス人装飾美術家アンリ・ラパンに、玄関、大客室、大食堂、書斎などの主要部分の内装を依頼し、ルネ・ラリックもこれに参加しています。 壁面全体にウォールナット材を用いた重厚感漂う1階の大広間では、天井に配された40個の照明やアーチ状の開口などシンメトリーな配置がアール・デコ様式の特徴を示しています。 その他、新宿伊勢丹本店や日本橋三越本店、御茶ノ水の山の上ホテルなども、日本に現存するアール・デコ建築の代表例です。
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アール・ヌーヴォーとアール・デコの陶器をコレクションする際には、それぞれの様式の質感や特徴を理解することが重要です。アール・ヌーヴォーの食器は有機的なフォルムと繊細な装飾が魅力で、一点物のような芸術性の高さが特徴となっています。 手作業による精巧な装飾、ステンドグラス技法やエッチング、金彩や銀彩などの技法を用いた華麗な作品が多く見られます。
アール・デコの陶器は、直線的なデザインと幾何学模様がアクセントとなり、機能的で合理的な美しさを持っています。 大量生産に適した様式でありながら、デザイン性の高さから現代でも人気があり、ゴージャスやヴィンテージ、エレガントなどさまざまな雰囲気をつくれます。
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コレクションを始める際は、イギリスのメイソンズ社やフランスのアビランド社など、歴史ある陶器メーカーの作品から探してみるのも良いでしょう。 メイソンズ社はロンドンで1796年に創業され、今なお愛され続けている伝統の陶器メーカーです。 アビランド社は1842年の創立から、ジャポニズム、シノワズリー、アール・ヌーヴォー、アール・デコなど美術史の流れを組んだデザイン展開を行い、100%フランスで製作される「フランス食卓芸術」を体現しています。
参考)アンティークMASONhref="https://www.salhouse.com/c/antique-shop/vintage-tableware/masons" target="_blank">https://www.salhouse.com/c/antique-shop/vintage-tableware/masonsamp;#x27;S(メイソンズ)の食器を通…
アール・デコインテリアを取り入れる際は、直線的なデザインが多いのが特徴です。 アール・ヌーヴォーでは曲線的なデザインがよく採用されており、それらに対抗するために直線的な要素が強調されました。 ただし、曲線を適度に入れることで空間にメリハリが付き、雑貨や小物など小さなものに取り入れることをおすすめします。
幾何学模様をアクセントとして使うのもアール・デコインテリアの特徴で、ファブリックや雑貨などに幾何学模様を採用すると、空間にメリハリを付けられます。 ラグやカーペットに幾何学模様を取り入れるのがおすすめで、気軽に取り替えられるため、すぐに模様替えができます。 気分や季節、ライフスタイルに合わせて、最適なファブリックを取り入れてみましょう。
照明選びも重要で、デザイン性のある照明を設置するのがアール・デコインテリアの特徴です。 シンプルなシーリングライトよりもシェードなどデザインにこだわった照明が馴染み、シャンデリアを設置するとゴージャスな雰囲気で煌びやかな印象を与えられます。 一方、アール・ヌーヴォーのインテリアでは、曲線を使ったナイトテーブルやその上に乗るライト、八角形のフレームのイラストなどを配置すると、ヨーロッパのお姫様の寝室のような空間を演出できます。
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アール・ヌーヴォーとアール・デコは、どちらも産業革命と深い関係がありますが、その反応は正反対でした。アール・ヌーヴォーは、産業革命による大量生産と、それに伴う芸術の質の低下に対する反発から生まれた運動です。 19世紀初頭の産業革命により、安価で粗悪な大量生産品が出回ったため、その反動により芸術性や独自性が高いモノを人々は求めるようになりました。
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アール・ヌーヴォーの原型は、ゴシック・リヴァイヴァルを思想的な背景とし、産業革命以降の大量生産品を否定して、中世的な職人による手作業の再生を提唱したイギリスのウィリアム・モリスの思想にあります。 職人の技術がなければ出せない美しい曲線が特徴的で、鉄やガラスといった当時新しく出現した素材も積極的に取り入れながら、芸術性の高い作品を生み出しました。
参考)アール=ヌーヴォー
一方、アール・デコは第一次世界大戦後の技術の進歩や工業化に伴い、合理性と「美」を融合した新たなデザインを模索したものでした。 産業革命の進展により新しい素材と製造技術が生まれ、デザインの幅は大きく広がりました。 クロームやステンレススチール、ガラスやミラー素材、エボニー(黒檀)やマホガニーの高級木材などの工業的な素材が、直線的でシャープなデザインを可能にし、家具や建築に現代的な印象を与えました。
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アール・デコは新しい素材だけでなく、伝統的な職人技とも融合し、象嵌細工や光沢のあるラッカー仕上げが施された家具は、職人の技術と近代的な素材が織りなす美しさを体現しています。 1925年のパリ万博(現代産業装飾芸術国際博覧会)がきっかけとなり、直線的で幾何学的なデザインが特徴であるアール・デコは、デザインが大衆のものに変化した時代を象徴する様式となりました。
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