埼玉県飯能市にあるトーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園は、ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンとの手紙のやり取りから誕生した特別な公園です。1997年7月1日に「あけぼの子どもの森公園」として開園し、2017年6月1日にトーベの姪であるソフィア・ヤンソンの承認を得て現在の名称に改称されました。公園の名称「あけぼの」は、阿須地区周辺の入間川沿いからアケボノゾウの化石が発掘されたことに由来しています。
参考)https://hanno-tourism.jp/leisure/n008
飯能市の職員がトーベ・ヤンソンに送った一通の手紙が契機となり、建設省(当時)の平成記念子どものもり公園事業の指定を受けて整備されました。この公園は単なるムーミン谷の再現ではなく、トーベ・ヤンソンが生まれたフィンランドに根付く「自然享受権」という哲学を体験できる場所として設計されています。自然享受権とは、土地の所有権に関係なく、誰もが自然を楽しむことができる北欧各国の慣習法で、通行権や滞在権、果実採取権などが含まれます。
参考)トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園 - Wikipedi…
公園内には遊具がなく、子どもたちは自然の中で自由に遊びながら創造力を育てていくというコンセプトが貫かれています。面積は7.6ヘクタールで、加治丘陵の北側に位置し、個性的な建物と豊かな自然が調和した空間が広がっています。
参考)https://www.moomin.co.jp/news/products/29874
公園のシンボルである「きのこの家」は、まるで地面から生えてきたかのような有機的なデザインが特徴です。その名の通りきのこが2つ並んだような外観と、ユニークな形の窓、屋根の上に生い茂った草花が素朴なかわいらしさを引き立てています。この建物は「訪れた人を家族としてあたたかく迎え入れる」という役割を持っています。
参考)北欧気分を満喫。親子で楽しめる「トーベ・ヤンソンあけぼの子ど…
内部は飯能特産の西川材がふんだんに使われており、木のぬくもりが感じられる3階建ての構造になっています。入り組んだ階段はまるでアスレチックのようで、ところどころに小さな椅子やテーブルが置かれ、秘密基地のようなスペースがあります。建物は見た感じよりもかなり大きく、作り込みがされており、子どもだけでなく大人もワクワク感を味わえます。
参考)https://blog.goo.ne.jp/toshirouworld/e/419269c7545c5ffc0cb471a11865bde1
他にも園内には「子ども劇場」と呼ばれるドーム型の建物があり、音楽会や読み聞かせ、紙芝居、昔ながらの遊びの教室などのイベントが開催されています。さらに「森の家」は丸太を縦に並べて建てられた見たこともないような建物で、トーベ・ヤンソンとムーミンの歴史をたどるパネルが展示され、最上階にはムーミン童話や絵本が読める図書室もあります。
参考)href="https://hannoukun.life/a-local-guide-to-hannos-tove-jansson-akebono-childrens-forest-park" target="_blank">https://hannoukun.life/a-local-guide-to-hannos-tove-jansson-akebono-childrens-forest-parkamp;#8220;飯能の隠れた楽園: トーベ・ヤンソンあけぼの子…
公園北側を中心にアケボノスギ(メタセコイア)の植林が行われており、入り口から大きなメタセコイア並木が続き、秋には黄色やオレンジに色づいて美しい景観を楽しめます。
参考)トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園の紅葉情報【2025】…
トーベ・ヤンソンは児童文学作家としてだけでなく、陶器デザイナーとしても優れた才能を発揮しました。元々画家になるためにヨーロッパ各地で修行を積み、第二次世界大戦前後は政治風刺画家として活躍していたトーベは、父が彫刻家、母が挿絵画家という芸術一家の第一子として生まれ、幼いころから芸術と深い関りを持っていました。
参考)知ればもっと好きになる、ムーミンの世界
フィンランドの名門陶磁器メーカー「アラビア(ARABIA)」との協力により、最初のムーミン製品が1950年代に誕生しました。トーベ・ヤンソン自身がムーミンのテーブルウェアシリーズ最初の装飾をデザインし、彼女の母であるシグネ・"ハム"ハンマシュティエン・ヤンソンは陶磁器のフィギュアをデザインしました。トーベがデザインしたプレートとマグカップ、そしてトーベの母ハムがデザインした陶器のフィギュアが世に出たのです。
参考)https://www.moominarabia.jp/contents/about
アラビアは150年の歴史を持つフィンランドの老舗北欧食器ブランドで、パターン化されたモチーフが描かれているものや、黒い縁取りのあるイラストに色を足したデザインが特徴です。赤、紺、緑に黄色といった色の組み合わせを良く使い、はっきりとした色合いはどこかレトロな雰囲気があります。
参考)301 Moved Permanently
近年では「True to its origins(トゥルー トゥ イッツ オリジン)」という新シリーズが登場し、繊細なタッチと僅かな色使いで表現されたトーベ・ヤンソンの原画が描かれています。モノトーンをベースに、オレンジのアクセントを効かせたシックなテーブルウェアで、シリーズ最後の小説「ムーミン谷の十一月」と、その前作「ムーミンパパ海へいく」の場面から取られたイラストが使用されています。
参考)ムーミン True to its origins(アラビア/…
公園では土日祝日の日没から21時まで(または20時30分まで)ライトアップが実施されており、幻想的な雰囲気を楽しめます。平日の開園時間は9時から17時ですが、ライトアップ実施時は延長されます。月曜日は休園日となっているので注意が必要です。
参考)https://www.jalan.net/kankou/spt_11209ah3330042604/
園内には数多くのフォトジェニックなスポットがあり、特に園内最西端にあるわんぱく池からの眺めが定番の撮影構図となっています。この場所からはきのこの家や水辺の景色を一望でき、紅葉時期には特に美しい写真が撮影できます。三脚を立てられる足場もあり、カメラマンと観光客が半々くらいの比率で訪れています。
参考)あけぼの子どもの森公園のフォトウェディング・前撮り|ラヴィフ…
フォトウェディングや前撮りのロケーションとしても人気が高く、自然豊かな環境と四季折々の景観、メルヘンで可愛い童話モチーフが魅力です。特に紅葉時期のメタセコイアの木と樹木が黄色やオレンジに色づく様子は、まるで絵葉書のように美しい景観を提供します。
ただし、場所を占有して人を排除しての撮影はできないため、他の来園者への配慮が必要です。園内のカフェ「プイスト」の前にある池が見えるテラス席も、おしゃれで良い雰囲気の撮影スポットとして知られています。
参考)トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園における業としての写真…
飯能市公式サイトのあけぼの子どもの森公園ページでは、開園時間やライトアップの最新情報、イベント情報を確認できます。
ムーミン アラビアの食器は、日常使いからコレクションまで幅広い楽しみ方ができます。最近注目されているのは「Haru(ハル)」コレクションで、トーベ・ヤンソンが愛したクルーヴハル島(Klovharun)にちなんで名付けられました。このコレクションは、トーベ・ヤンソンが描いた青と白を基調とした独創的なリース模様にインスパイアされたテーブルウェアです。
参考)シリーズ説明 ムーミン
コバルトブルーは磁器にとって時代を超えた定番色であり、トーベ・ヤンソンの絵は多くの人にとって大切なものとなっています。トーベの芸術的な原画は、他の食器と組み合わせることで、より際立った世界観を持たせることができ、特にイッタラ ティーマの「ドッテドグレー」との相性が抜群です。海のような色のグラス、岩肌のような表情の和食器など、手持ちの食器と合わせれば物語はさらに膨らみ、料理も物語の一部として楽しめます。
参考)https://www.moominarabia.jp/contents/haru
日本のノリタケからも「ムーミン」シリーズが発売されており、「ムーミン谷の彗星」「ムーミンパパ海へいく」「ムーミン谷の夏まつり」3つのムーミン物語をテーマにした上質で美しいテーブルウェアが展開されています。それぞれの物語の印象的な挿絵があしらわれ、随所に遊び心がちりばめられたデザインとなっています。
また、フィスカース社とのコラボレーションによる「ムーミン アラビア ハサミ」も人気商品で、人間工学に基づくデザインと最高品質の素材による、持ちやすく心地よい切れ味のハサミがムーミン アラビアの人気コレクションのデザインをまとっています。Made in Finlandのハサミは世界中で高く評価されており、機能性とデザイン性を兼ね備えた北欧らしいプロダクトです。
参考)https://www.yodobashi.com/ec/product/100000001008010472/
飯能市は「ムーミンに会えるまち、はんのう」というシティプロモーションを推進しており、2024年8月9日には飯能市、株式会社ムーミン物語、西武鉄道株式会社の3者で地域活性化に向けた連携に関する基本協定が締結されました。この協定は、中心市街地等の賑わい創出や観光振興、市内回遊性向上等を通じ、定住人口、交流人口及び関係人口の増加による地域の活性化を目的としています。
参考)【公式】飯能市、株式会社ムーミン物語、西武鉄道株式会社の3者…
2019年3月には「ムーミンバレーパーク」が開業し、飯能市はムーミンをテーマにした施設の開業地として選ばれました。飯能市は市域の約76%が森林から成る人口約8万人の市で、池袋から鉄道で乗り換えなし、最短40分という立地でありながら、豊かな自然が残されているまちです。この自然環境の豊かさが、トーベ・ヤンソンの作品世界と親和性が高いと評価されました。
参考)「ムーミン」のテーマパーク、開業地に飯能市が選ばれた理由とは…
今後の協定のもと、市内イベント等へのムーミンアート活用やムーミンバレーパークのライブアクターの出演、西武鉄道飯能駅へのキャラクターオブジェ設置検討、スタンプラリー等まちなかの回遊企画、シェアモビリティ等の新たな交通手段の充実に取り組んでいます。トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園は無料で入園でき、ムーミンバレーパークと合わせて訪れることで、より深くムーミンの世界を体験できます。
参考)行ってきたレポ【あけぼの子どもの森公園】混雑状況・カフェ・近…
公園内には「カフェ・プイスト」があり、北欧料理を中心としたメニューが楽しめます。プイストとはフィンランド語で公園を意味し、カフェの内装や食事メニューも北欧の雰囲気を楽しめるようになっています。営業時間は10:00〜16:30(ラストオーダー16:00)で、ライトアップのある土日祝は19:30まで営業しており、お手頃価格で美味しいメニューが提供されています。
ムーミンバレーパーク公式サイトでは、飯能市との連携プロジェクトの最新情報や、ライブアクターの出演情報などが掲載されています。
トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園は、単なる観光施設ではなく、北欧の自然享受権の思想や、トーベ・ヤンソンの芸術家としての多彩な才能を体験できる文化的価値の高い場所です。公園を訪れた後は、トーベがデザインした北欧食器でお茶を楽しむことで、より深くムーミンの世界観に浸ることができるでしょう。ブランド陶器に興味がある方にとって、トーベ・ヤンソンの作品は児童文学の枠を超えた芸術的価値を持つコレクションとして、長く愛される存在となっています。