ポップカルチャーは「大衆文化」とも呼ばれ、広く一般大衆に愛好される文化全般を指します。テレビ、映画、音楽、ゲーム、ファッションなど、幅広い人々に親しまれているのが特徴です。知識や教養を必要とせず、誰もが楽しむことができる点が大きな魅力となっています。
参考)サブカルチャーとポップカルチャーとは?違いや意味や歴史を分か…
日本におけるポップカルチャーの代表例としては、ジブリ映画やYOASOBIの楽曲、マリオのようなゲームキャラクターなど、多くの人が名前を聞いてすぐに分かるものが該当します。これらは世界に向けてのイベントが多く開催され、「訴求力が高く、等身大の現代日本を伝えるもの」として重要なツールの1つになっています。
参考)ポップカルチャーとサブカルチャーの違い、そしてその交差点|1…
ポップカルチャーは時代の「今っぽさ」や「流行」を映し出す鏡のような存在であり、メディアやマーケティングと結びつきやすく、トレンドの移り変わりが早いという特徴も持っています。海外の方が日本文化や日本語に興味を持つきっかけとなることも多く、日本と世界の橋渡しの役割を担っているといえるでしょう。
サブカルチャーは「副次文化」とも訳され、社会の正統的・伝統的な文化に対し、特定集団だけが共有する独特の文化のことを指します。用語の起源は1950年にアメリカの社会学者デイヴィッド・リースマンが使用したのが最初で、「主流文化に反する個人のグループ」という意味でした。
参考)サブカルチャー - Wikipedia
日本におけるサブカルチャーは、メインカルチャーとされる文学や伝統的な芸術などとは一線を画す新しい表現形式を含む文化として浸透しています。漫画、アニメ、ゲーム、フィギュア、コスプレ、アイドル、インディーズバンドの音楽、古着ファッションなどが代表的な例です。
参考)サブカルチャーとは
サブカルチャーの特徴は、小さなコミュニティで共有され、個性や違和感がむしろ魅力になる点にあります。「みんなにウケなくてもいい、自分たちが楽しければOK」という空気が根っこにあり、マイナーで独自性の強い文化といえるでしょう。愛知発の遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」の世界観は、型にハマらない自由な若者文化であるサブカルそのものを体現していると言われています。
かつてポップカルチャーとサブカルチャーは、あまり意識的に使い分けがなされず混用されていました。しかし比較すると、サブカルチャーはマイナーで独自性の強いオタク文化、ポップカルチャーはメジャーで大衆受けしているオタク文化という区分けができます。
参考)ポップカルチャーとサブカルチャーのあわいに - 〈棄想天蓋〉…
ところが最近では、この2つの境界線がどんどん曖昧になってきています。たとえば、初音ミクやボカロ文化は、かつては完全にサブカルだったものが、今ではNHKに出たり世界ツアーをしたりしています。秋葉原のオタク文化も、1990年代は「変わった人たちの世界」だったのが、今や世界中のファンが訪れるポップな観光スポットになっています。
この境界線の曖昧化には、インターネットの拡散力、SNSによるファンコミュニティの可視化、商業資本の「面白そうなものは拾う」姿勢といった複数の要因が絡み合っています。NetflixやYouTubeなどの登場で、「マイナー=見つからない」という時代は終わり、むしろ「ニッチ」であることが武器になることもあります。現代では「サブ→注目される→メジャー化→次のサブへ…」というサイクルが常に動いており、ポップとサブは対立するものではなく、互いに影響し合いながら文化のグラデーションを形成しているのです。
参考)サブカルチャーという言葉をポップカルチャーに変化させようとい…
ポップカルチャーは大衆文化の一形態であり、メインカルチャーとは異なる位置づけにあります。メインカルチャーは古来からの一般的な文化を指し、古典美術や古典文学など学問の対象とされ、大学で研究がされるなど知識や教養としての側面が強い文化です。
参考)大衆文化 - Wikipedia
一方、ポップカルチャーは移り変わりの激しい文化であり、その時期の大衆の好みを色濃く反映しています。ハイカルチャーとの対比でいえば、ハイカルチャーは19世紀までの間にヨーロッパを中心に確立された、もともと貴族やブルジョワ階級などの一部の人々によって育まれた高い水準の文化(クラシック音楽や古典絵画など)です。
参考)日本のポップカルチャーが世界にファンを増やしたワケ
興味深いのは、日本の伝統文化とポップカルチャーが融合する事例が増えている点です。古典文学や歴史上の人物をモチーフにしたアニメやゲーム、日本舞踊や着物がファッションアイテムとして再解釈されるケースなどがあります。抹茶アイスやきなこラテといった食文化でも、日本の伝統的な素材が現代的なスタイルで再解野され、新しい味わいを提供しています。このように、メインカルチャーや伝統文化とポップカルチャーは対立するものではなく、相互に影響を与え合う関係性にあるといえるでしょう。
参考)【日本のポップカルチャー】日本の伝統文化とポップカルチャーの…
日本のサブカルチャー史元年は、「太陽族」が誕生した1956年が挙げられます。太陽族とは、1955年に発表された石原慎太郎の小説「太陽の季節」に触発された若者たちのことで、慎太郎刈りと呼ばれる髪型やサングラスとアロハシャツの組み合わせが新たなファッションの一大ムーブメントとなりました。
参考)サブカルチャーとは?日本のサブカルチャーの歴史を解説!
戦後日本の混沌期には、進駐軍によってもたらされたジャズ、ロカビリー、ビート文化、そして学生運動とアングラ演劇などが登場しました。寺山修司の天井桟敷や唐十郎の状況劇場など、当時の「主流」から逸脱し体制に対抗する表現が「サブカルチャー」という言葉の土壌を形成したのです。
参考)サブカルチャーはどこから来たのか?──日本の“サブ”が“メイ…
1960年代から1970年代前半までは反体制的なカウンターカルチャーが主流でしたが、1970年代後半以降、形骸化・商業主義化し、サブカルチャーに変質していったとの見方もあります。近年では、かつての「サブカル」が社会に浸透し、ポップカルチャーとして確立されるようになりました。
現代では、メインカルチャーとサブカルチャーという区分けが意味を成さなくなってきており、サブカルチャーだったものが逆に主流になり、メインだったものが寧ろサブに置かれるという逆転現象も起きています。アニメや漫画、ゲームなどの異なるジャンルの統合がさらに加速しているため、日本のサブカルは独自の存在として世界中から注目されており、日本のポップカルチャーは世界中で影響力を持つ文化となっています。
参考)「メインカルチャー/サブカルチャー」という区分けが意味を成さ…
陶器収集などの趣味の世界においても、かつてはマニアックなサブカルチャーとして扱われていたものが、SNSでの発信や海外からの注目によって、徐々にポップカルチャーとしての側面を持つようになってきました。ブランド陶器への関心も、単なる「知る人ぞ知る」世界から、より多くの人が楽しめる大衆文化へと変化しつつあるのです。このように、文化の境界線は常に流動的であり、時代とともに変化し続けているといえるでしょう。
サブカルチャーとポップカルチャーの違いについて詳しく知りたい方へ - 両者の定義や意味、歴史を網羅的に解説
サブカルチャーの語源と社会学的定義について - Wikipedia
ポップカルチャーとサブカルチャーの交差点について - 現代における境界線の曖昧化を詳しく分析