吉祥文様一覧と意味を知る陶器選び

縁起の良い吉祥文様は、古来より陶器や着物に描かれ、人々の願いが込められてきました。七宝、松竹梅、鶴亀など、日本と中国由来の文様にはそれぞれ深い意味があります。ブランド陶器を選ぶ際、これらの文様の意味を知ることで、贈り物や日常使いがより豊かになりますが、どの文様を選べば良いのでしょうか?

吉祥文様一覧と意味

吉祥文様の主な分類
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中国由来の文様

龍、鳳凰、鶴亀、松竹梅など、大陸から伝わった長寿や繁栄を象徴する文様

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日本発祥の文様

橘、御所車、檜扇、熨斗など、平安時代以降に日本で生まれた吉祥文様

幾何学文様

七宝、亀甲、青海波、市松など、連続する美しい幾何学的な吉祥文様

吉祥文様とは、繁栄や長寿を表し縁起が良いとされる文様の総称です。日本において吉祥文様は、様々なお祝いの品、日用品、着物、陶器などに使われ、人々の幸福や繁栄を願う意味が込められてきました。その歴史は古く中国に遡り、中国で生まれた吉祥文様が韓国やチベットなどを経て日本に伝わり、日本独自の美意識や文化と融合して多様な文様が発展しました。
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平安時代には年中行事に使う和様の吉祥文様が定着し、室町時代以降は吉祥文として広く親しまれるようになりました。現代では、有田焼や九谷焼などのブランド陶器にも吉祥文様があしらわれ、日常使いはもちろん、お祝いの品や海外の方へのお土産としても高い人気を誇っています。

吉祥文様の長寿を表す文様一覧

長寿を象徴する吉祥文様には、鶴、亀、桃、菊、熨斗、兎などがあります。特に「鶴は千年、亀は万年」という言葉が示すように、鶴と亀は不老長寿を願う代表的な文様です。鶴はつがいで一生を添い遂げる習性から夫婦円満の象徴でもあり、松竹梅など他の吉祥文様と組み合わせて結婚式の器や着物に描かれることが多くあります。
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亀甲文様は亀の六角形の甲羅を模した幾何学文様で、飛鳥時代から奈良時代頃に中国から伝わりました。当時は亀の甲羅を焼き、表面のひび割れ方から吉凶を占い政治の判断を行っていたため、甲羅の柄である亀甲は格式高く神聖なものとして扱われていました。六角形は三角と三角が上下に重なったもので、陰陽道で安定と調和を象徴する形とされており、長寿と安定の両方の意味を持つ縁起の良い文様です。
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橘は柑橘系の古名で、古事記や日本書紀に書かれた「常世の国(不老不死の理想郷)」に生えているとされたことから長寿や不老不死の意味があります。一年中葉が茂る常緑低木であることから永遠や子孫繁栄の意味も込められており、数少ない日本生まれの吉祥文様として珍重されています。
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吉祥文様の繁栄を象徴する文様一覧

繁栄を表す吉祥文様として、七宝、宝船、扇などが挙げられます。七宝文様は、円(縁)が四方八方に広がっていく様子から円満や繁栄、調和を願う意味を持つ吉祥文様です。七宝とは仏教における七つの宝物(金、銀、瑠璃、玻璃、メノウ、しゃこ、珊瑚)のことで、円には七宝と同等の価値があると考えられています。
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始まりや終わりのない円は連鎖や拡大を意味し、古くから吉祥文様として染織物、和の小物、陶磁器、組子などで用いられてきました。均一サイズの輪を重ねて描かれることから「輪違い」や「七宝つなぎ」とも呼ばれ、七宝の中心に花菱が描かれたものは「七宝花菱文」という名称で親しまれています。
市松文様は色の違う正方形を互いちがいに並べた文様で、現代のチェック柄に相当します。同じ柄がどこまでも途切れることなく続く様子から子孫繁栄や事業拡大の意味があり、江戸時代に歌舞伎役者の佐野市松がこの柄の袴を身に着けていたことから市松模様と呼ばれるようになりました。それ以前は「石畳」または「霰(あられ)」という名で親しまれていました。

吉祥文様の成長祈願を込めた文様一覧

成長祈願を表す吉祥文様には、桐、麻、竹などがあります。麻の葉文様は、麻が4ヶ月で4メートルにもなる生命力の強い植物であることから、健康や成長を意味する模様です。麻の葉をひし形に見立て、正六角形と幾何学的に重ねた美しいデザインで、子どもの健やかな成長を願い、魔除けとして産着やお守りに使われてきました。
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松竹梅は中国の「歳寒三友」に由来し、日本では江戸時代から吉祥の象徴とされてきました。松は千年もの寿命があり、雪を被りながらも緑を保つ冬の松の美しさと力強さから長寿の象徴、竹は常緑樹でまっすぐ天へと伸び、3か月ほどで親と同じ高さまで成長する生命力から子孫繁栄の象徴、梅は寒中に一番早く春の知らせを伝えてくれることから繁栄・気高さ・長寿の象徴です。
参考)吉祥の象徴「松竹梅」〜日本文化〜|日和《Pando》

 

松は一年中緑を保ち、厳しい冬にもその葉を落とさないことから不屈の精神と生命力を表し、竹は風雪にも折れることなくしなやかに揺れながらも強靭な生命力を示すため、成長や子孫繁栄の願いが込められています。梅は厳しい冬の寒さのなかでもいち早く花を咲かせることで知られ、忍耐力や女性の強さを象徴する文様として愛されてきました。
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吉祥文様の幸運を招く文様一覧

幸運を招く吉祥文様として、龍、鳳凰、宝尽くしなどが挙げられます。龍は中国から伝わった伝説の生き物で、天に昇るイメージから発展や栄光を表します。鳳凰は中国で大変おめでたいとされている伝説の生き物で、鳳凰が飛ぶと天下泰平を意味し、夫婦円満や長寿の吉祥文様としても尊ばれています。
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宝尽くしは縁起の良い宝物を集めた文様で、室町時代から吉祥文として定着しました。打出の小槌や隠れ蓑、如意宝珠など様々な宝物が描かれ、福を呼ぶと言われています。御所車は平安時代に貴族が乗っていた牛車で、源氏物語に登場することから源氏車とも呼ばれます。車輪が回り続けることから「いつまでも続く」「繁栄」などの意味があり、高位の人しか乗ることができなかったため高貴な吉祥文様として用いられています。
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瓢箪は実が鈴なりにたくさんつくこと、瓢箪の種は100個あると言われるほど数が多いことから家運興隆や子孫繁栄、多産などの意味があります。特徴的なくびれた形は邪気を吸い込んで逃さないと言われ、魔除けとして使われ、瓢箪を6つ描いた「六瓢箪(むびょうたん)」は語呂合わせで無病息災の縁起物とされています。

吉祥文様を陶器で選ぶ際の独自視点

ブランド陶器に吉祥文様を選ぶ際は、用途や贈る相手の状況に合わせて文様の意味を考慮することで、より心のこもった贈り物になります。有田焼や九谷焼などの高級陶器には、熟練の型職人がひとつひとつの模様を丁寧に手彫りし、微細な凹凸で表現された文様に釉薬を重ねることで、立体感のある美しい器に仕上げられています。
参考)kissho 吉祥 カップ / Oda-pottery 小田…

 

九谷焼は「九谷五彩」と呼ばれる赤・黄・緑・紫・紺青の5色の和絵具を厚めに塗って仕上げる大胆な色絵が特徴で、吉祥文様と組み合わせることで伝統的な味わいと鮮やかな色彩が楽しめます。有田焼は透き通るような白磁の美しさが第一の特徴で、白色の磁器に繊細な吉祥文様の絵付けをほどこす作品が多く見られます。
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近年では伝統的な吉祥文様を現代風にアレンジしたモダンなデザインも人気があり、七宝文様や市松文様などの幾何学文様は粋で和モダンなイメージとして若い世代にも支持されています。陶器の吉祥文様は使い込むほどに風合いが深まり、適切なお手入れをすることで長く愛用できるため、日常使いから特別な日のおもてなしまで幅広く活用できます。
山田平安堂 - 吉祥文様の詳しい解説
吉祥文様の歴史や各文様の意味を詳しく知りたい方におすすめの参考資料です。

 

小田陶器 - 吉祥シリーズの陶器
実際の吉祥文様をあしらった陶器の商品例として、購入を検討する際の参考になります。