スクラッチは、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボとスクラッチ財団が共同開発した、8歳から16歳を中心に世界中で1億人以上が利用する子供向けプログラミング学習ソフトです。完全無料で利用でき、インターネット環境があれば公式サイト(https://scratch.mit.edu/)にアクセスするだけですぐに始められます。
参考)https://coeteco.jp/articles/12507
アカウント登録をすることで、作成した作品をスクラッチのサイト上に保存できるようになり、別のパソコンからでもログインすれば続きを編集できます。登録に必要なのはユーザー名、パスワード、メールアドレス、生年月日、国名で、ユーザー名以外の情報は公表されないため安心です。画面右上の「Scratchに参加しよう」ボタンをクリックし、必要事項を入力するだけで登録完了です。
参考)【無料】小学生スクラッチでプログラミングのはじめ方(初心者向…
サインインすると、作成中のプロジェクトが自動的に保存され、「私の作品」ページから過去に作った作品を一覧で確認できます。また、「共有する」ボタンを押さない限り作品は非公開のままなので、完成するまで他の人に見られる心配はありません。
参考)Scratch(スクラッチ)のアカウントを作ると何ができるの…
Scratch公式サイト - アカウント作成や基本操作の始め方が分かります
スクラッチでゲームを作る流れは、まず「どんな種類のゲームを作りたいか」を考えることから始まります。初めて作る場合は、シンプルなシューティングゲームやピンポンゲームなど、ゴール設定が明確で分かりやすいものがおすすめです。
参考)Scratch(スクラッチ)ゲームの作り方!流れや基本操作・…
具体的な作成手順は以下の通りです。
📌 ゲームのアイデアとゴール設定
どのようなゲームを作るか、ルールや目的、必要な要素を計画します。ゴールが明確に決まっていないとゲームを作ることはできず、ゴールがあるからこそゲームは面白く感じられます。
参考)Scratch(スクラッチ)でゲームをつくる流れと作品例|L…
📌 プロジェクトの作成と背景設定
ホーム画面の「つくる」ボタンをクリックし、画面右下の「背景」ボタンから好きな画像を選んで設定します。
参考)【プログラミング入門】Scratch(スクラッチ)とは?勉強…
📌 スプライト(キャラクター)の設置
ゲーム内のキャラクターとなるスプライトを作成または選択します。スクラッチには最初から多くのスプライトが用意されており、自由に選んで使えます。
参考)スクラッチを作る四大要素とは?使い方と使っていい素材も紹介
📌 ブロックの組み合わせでコード作成
「動き」「見た目」「音」「イベント」「制御」「調べる」「演算」「変数」などのカテゴリから必要なブロックを選び、組み合わせてプログラムを作ります。
参考)https://scratch.programming-edu.net/sample/
Scratch基本的な使い方とプログラミング例 - 初心者向けのゲーム作成手順が詳しく解説されています
変数は「数字をしまって名前をつけられる箱」のようなもので、プログラミングにおいて非常に重要な概念です。例えばゲームのHPや得点など、変化する数値を管理するために使われます。変数の最大の特徴は「中身を後から変えられる」ことで、HPが20減った場合は変数から20を引くことで表現できます。
参考)【Scratch】変数ってなに?だれでもわかりやすく解説!【…
スクラッチで変数を作るには、画面左の「変数」カテゴリーをクリックし、「変数を作る」ボタンを押して名前を入力します。変数には「すべてのスプライト用」と「このスプライトのみ」の2種類があり、用途に応じて使い分けられます。「このスプライトのみ」変数は、クローン機能を使う際に特に便利で、クローンごとに独立した変数を持つことができます。
参考)Scratch 変数のスコープ詳説
制御ブロックは、プログラムに欠かせないループ処理や条件分岐(IF文)を作るために使用されます。「10回繰り返す」や「ずっと」といったブロックを使って、同じ処理を何度も実行したり、特定の条件が満たされた時だけ処理を実行したりできます。変数と制御ブロックを組み合わせることで、複雑なゲームのロジックも実現可能になります。
参考)Scratch(スクラッチ)のコード-制御の使い方を解説
スクラッチでは音とコスチューム(見た目)を使って、作品の表現力を大きく高めることができます。スプライトは「プログラム(動き)」「音」「コスチューム(見た目)」の3つの要素で構成されており、これらを組み合わせることで魅力的な作品が完成します。
音の活用方法:
スクラッチには録音機能があり、マイク付きのパソコンがあれば自分の声を簡単に作品に組み込めます。また、最初から誰でも使える音源がたくさん用意されているため、それらを選んで使うこともできます。音を追加するには「音」タブで新しい音を追加し、「〇〇の音を鳴らす」ブロックを使って再生します。
参考)【スクラッチ】「次のコスチュームにする」を使った簡単なプログ…
コスチュームの活用方法:
コスチュームは、お絵かきツールを使って自分で描いたり、用意されているものから選んだりできます。特にアニメーション表現では、コスチュームを切り替えることが重要です。「次のコスチュームにする」ブロックを使うと、パラパラ漫画のように少しずつ変化した絵を連続表示して、キャラクターが歩いたり動いたりする様子を表現できます。
参考)【Scratch(スクラッチ)入門】キャラクター(コスチュー…
さらに、コスチュームの種類によって実行されるプログラムを切り替える仕組みも作れるため、状況に応じてキャラクターの見た目と動きを変化させることができます。
参考)速習!Scratch講座
スクラッチでプログラミングを学ぶことは、子供たちに多くの教育的効果をもたらします。最も重要な効果の一つが論理的思考力の向上です。スクラッチでは、指示の書かれたブロックを順序立てて組み合わせなければ思ったとおりに作動しないため、論理的に考える習慣が自然と身につきます。
参考)スクラッチはプログラミング学習に最適!スクラッチが人気の理由…
創造性と発想力の育成も大きなメリットです。自由度の高いスクラッチの環境では、子供たちが「こんなものを作りたい!」というアイデアを制限なく表現でき、自分の世界を創造する経験を通じて内に秘めた創造性が引き出されます。好きなキャラクターを動かしたり、オリジナルのゲームルールを考えたり、物語に沿ったアニメーションを作ったりする活動を通して、試行錯誤しながらアイデアを具現化する力が養われます。
参考)プログラミング・スクラッチが小学生の授業で選ばれる理由は?で…
問題解決能力の向上も見逃せません。プログラミングは本質的に問題解決のプロセスであり、ゲーム制作で思ったような動作にならなかった時、子供たちは原因を特定し解決策を考えます。このステップバイステップで問題を解決していく経験が、論理的かつ創造的な問題解決能力を育てます。
さらに、スクラッチはSTEAM教育(科学、技術、工学、芸術、数学の統合学習)に最適なツールです。物語の筋を考える芸術的スキル、変数を使ってスコアを計算する数学のスキル、プログラムのロジックを組み立てる科学・技術的スキルなど、多角的な思考能力を育てることができます。
スクラッチが人気の理由と教育効果 - 子供がスクラッチを学ぶメリットを詳しく解説しています
スクラッチには無料で利用できる教材が豊富に用意されており、初心者でも体系的に学習を進められます。例えば「うさプロオンライン」では、9年間の試行錯誤と300時間超のフィールドテストから生まれた教材を、登録不要・無料ですぐに試すことができます。公式サイトにも多くのチュートリアルやプロジェクト例が掲載されており、それらを参考にしながら学習を進められます。
参考)https://scratch.mit.edu/studios/1168062
作品を完成させたら、スクラッチコミュニティーで世界中のユーザーと共有できます。作品を共有するには、プロジェクト編集画面上部のオレンジ色の「共有する」ボタンを押すだけです。共有した作品は誰でも遊べるようになり、家族や友人にURLを送ってシェアすることもできます。また、他のユーザーが作品の一部を利用できる「リミックス」機能もあり、互いに学び合える環境が整っています。
参考)【プログラミング教育】Scratchアカウント作成をしよう!…
作品を公開する際は、使い方や説明文を丁寧に書くことで、より多くの人に楽しんでもらえます。保存しただけでは「非公開」となっているため、作者以外は見ることができませんが、共有ボタンを押すことで初めて公開されます。もし公開を停止したい場合は、いつでも非公開に戻すことができるため、安心して作品を発表できます。
参考)【2025年最新版】Scratch作品を公開して共有する方法…
外部の素材を使う場合は、スクラッチで使用が許可されているサイトの素材を選ぶことが重要です。Freesound、魔王魂、効果音ラボ、MusMusなどのサイトは利用が許可されていますが、いらすとややpixabayなどは使用が禁止されているため注意が必要です。
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スクラッチを活用したプログラミング学習は、従来の詰め込み型教育とは異なり、実践を通じて論理的思考を自然に身につけられる点が最大の魅力です。ブロックを組み合わせて「もし〇〇なら△△する」「〇〇を10回繰り返す」といった条件分岐やループ処理を実装する過程で、子供たちは筋道を立てて考える力を養います。
特にSTEAM教育の観点から見ると、スクラッチは理想的な学習ツールです。例えば、ゲームを作る際には以下のような多面的なスキルが統合的に育成されます:
🔬 科学・技術スキル
プログラムのロジックを組み立て、デバッグを繰り返すことで科学的思考が身につきます。
🎨 芸術スキル
キャラクターのデザインやストーリー構成を通じて創造的表現力が磨かれます。
📊 数学スキル
変数を使った得点計算や座標を使った動き制御で数学的概念を実践的に理解できます。
🛠️ 工学スキル
複雑なプログラムを効率的に設計・実装する力が養われます。
実際の学習現場では、子供たちが自分で設定した目標に向かって試行錯誤を繰り返すプロセス自体が、問題解決能力を高める貴重な経験となります。エラーが出たときに原因を探り、解決策を考え、実装して検証するという一連の流れは、プログラミングスキルだけでなく人生全般で役立つ思考法を育てます。
また、スクラッチでは感覚的にプログラミングが身につくため、難しい専門用語を覚えなくても、ブロックの色や形から直感的に理解できます。この「楽しみながら学ぶ」アプローチが、子供たちの継続的な学習意欲を支え、将来的により高度なプログラミング言語を学ぶ際の基礎となります。
小学校でもスクラッチが広く採用されている理由は、このように多角的な能力を育成できる点にあります。世界中で1億人を超えるユーザーに支持されているのは、単なる流行ではなく、確かな教育効果が実証されているからです。