フランス北東部に位置するロレーヌ地方では、1856年に岩塩鉱の採掘作業が始められて以来、約170年にわたり塩の生産が続けられています。この地域には約2億5190万年前の古代海が蒸発してできた岩塩層が存在し、現在でも貴重な天然資源として採掘されています。
参考)白松 (はくまつ)
ロレーヌ岩塩の製造方法には、採掘法と溶解法の2種類があります。食用として販売されている岩塩は、天然の岩塩層に水を注入し、溶かしてできた濃い塩水を再度釜で煮詰めて結晶化させる溶解法で作られています。この製法により、純度99%以上の塩化ナトリウムを含む高品質な岩塩が生まれるのです。
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地下250メートルから採掘される岩塩は、坑道と回転式の支柱を用いた地下採鉱法で掘り出されます。採掘現場は日も照らない薄暗い地下環境で、採炭機や爆薬を使用した本格的な鉱山作業が行われています。
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ロレーヌ岩塩は、まろやかで風味豊かな味わいが特徴です。塩辛さだけでなく、甘み、苦み、旨みが感じられる複雑な風味を持ち、ほのかに苦味のある後味が料理の味を立体的に仕上げます。癖のない味で刺激が少ないため、どんな料理にも合うところがロレーヌ岩塩の最大の良さです。
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成分面では、主成分の塩化ナトリウムに加えて、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。これらのミネラル成分は、体内の電解質バランスを維持し、血圧の調整、神経伝達、筋肉の収縮など重要な生理的プロセスをサポートします。特にマグネシウムは免疫細胞の正常な機能維持に必要であり、カリウムは心臓の健康を支える役割を果たします。
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同じフランス産の高級塩「ゲランドの塩」と比較すると、ゲランドの塩は天日塩製法で作られるためミネラル分がさらに豊富ですが、ロレーヌ岩塩は生産コストが低く安価で手に入るため、普段のお料理にも使いやすいメリットがあります。
ロレーヌ岩塩は魚介類や肉料理の旨味を引き立たせる効果が高く評価されています。その理由は、すっきりした旨味があり、味のボリューム感が出しやすいという特性にあります。サラサラとした食感で粒子が細かく、料理に振りかけやすいため、見た目の仕上がりも美しく仕上がります。
参考)フランス産 ロレーヌ岩塩 (1kg×10)
ステーキやハンバーグ、ローストビーフなどの肉料理に使用すると、素材の味を引き立て、しっかりとした塩味が楽しめます。特に赤身のステーキに振りかけると肉の旨みが引き立ち、ハンバーグや肉団子などのミンチ肉のタネに混ぜ込むと風味豊かに仕上がります。
焼きあがったローストビーフに粗塩のように厚めに振りかけると、肉の旨みがギュっと凝縮され、より深い味わいになります。粗塩は塩辛さがマイルドなので、料理の味付けに使う場合は粗塩とパウダーをブレンドして使うと下味がしっかりつき、ジューシーに仕上がるでしょう。
ロレーヌ岩塩は肉料理以外にも、幅広い料理に活用できます。魚料理では、白身魚や鮭などの焼き魚、ムニエルに振りかけると魚本来の旨みが引き立ちます。グリルしたサーモンやマグロ、魚のフライなどにふりかけると、独特の風味をプラスし、食感と風味を引き立ててくれます。
卵料理との相性も抜群で、目玉焼きやオムレツに振りかけると、シンプルながらも風味豊かな一品になります。パスタを茹でる際の水に少し加えると、パスタの味がより奥深いものになり、魚介類のパスタなら海産物の旨みをさらに引き立てます。
意外な使い方としては、お菓子作りへの応用があります。キャラメルやマドレーヌなどの甘じょっぱいお菓子に使うと特に絶品で、パンに塗って食べると風味豊かなトーストに変身します。森永の「塩キャラメル」にもロレーヌ岩塩が使用されており、現地ロレーヌ人からも美味しいと評判です。
サラダのドレッシングには、ロレーヌ岩塩とコショウ、オリーブオイル、レモン汁だけのシンプルなレシピが最もおすすめです。ハーブなど他の調味料と合わせて、オイルと混ぜてドレッシングにすると、より複雑で奥深い味わいになります。
岩塩は湿気に非常に弱く、湿度が約70%以上になると空気中の水分を吸収し、塩を吹いたり水が垂れてきたりすることがあります。水や大気中の水分を引き寄せて吸収するため、水分を吸った岩塩同士がくっついて塊になってしまうのです。特に粒の大きさが細かい岩塩ほど注意が必要で、塊になった岩塩は保存容器から出にくくて調理の妨げになります。
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保存の基本ルールとして、湿度の高い所を避け、常温で保存することが推奨されています。冷蔵庫内やシンク下のような湿度の高い場所は避け、風通しの良い常温の場所で保存するのが理想です。冬場は溶けることは滅多にありませんが、梅雨時や高温多湿な場所での保管には工夫が必要で、湿気の多い時期は出来るだけ風通しの良い場所に置くことをお勧めします。
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湿気対策として陶器の塩壺を活用する方法が効果的です。信楽焼や益子焼、常滑焼などの陶器は、目の粗い土が湿度を調整してくれるため、いつも塩をさらさらの状態に保ってくれます。陶器の調湿作用により、塩が固まる原因である湿度変化を防いでくれるため、いつでもサラサラのお塩が使いやすい状態で保存できます。
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密閉容器を使用する場合は、シリコンパッキン付きの容器が最適で、ガラス製やプラスチック製が安心です。さらに湿気対策を強化したい場合は、食品用の乾燥剤を一緒に入れると良く、容器内の湿度を低く保ち、塩が固まりにくくなります。